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インフレ・ターゲット政策への理解が乏しいのか?

2016年12月27日 19時49分05秒 | 経済関連
銀行、殊にメガバンクの保有する国債残高が減少してきた、という報道があったようだ。


>http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF16H0W_U6A221C1NN1000/


民間銀行が持つ国債が減っている。日銀の黒田東彦総裁が就任した2013年3月と比べるとほぼ半減した。長短金利を操作する新たな政策の枠組みのもと、金利は低い水準で推移しており、かつては資金運用の主軸であった国債での運用は一段と難しくなっている。

 日銀がまとめた「国内銀行の資産・負債等(銀行勘定)」によると、メガバンクや地銀が保有している国債の合計残高は10月末時点で84兆4419億円。リーマン・ショックがあった08年9月末以来8年ぶりの少なさだ。13年3月末は166兆6255億円だった。


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これは、黒田日銀の緩和策が実施される以前から、想定されていたものであり、政策効果がそこそこ発揮されたものと受け止めている。事前想定の通りに推移しているなら、予知性という点において事前検討が無駄ではなかった、と考えている。


当時から、あれほど油断は禁物、と警告しておいたのに、お調子者どもは短絡思考でしかないせいなのか、局地戦に勝った勝ったと浮かれるわけだ。


13年4月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a4d28c16b8213b7eb0fb57fb0d2536f5

一部の浮ついた「りふれは」連中なんかは、大戦果に狂喜乱舞の様相のようだが、愚か者たちには今後が大事なんだということが理解できないのであろうか。ヤツらは、自分の主張を通すことが目的であって、「政策実行の効果、結果」というものが大事なのだという視点が決定的に欠けているのだろう。

(中略)

多くの記者諸氏は気づいていないんじゃないかと思うが、元々は白川前総裁が記者会見で説明していた「機械的に計算してみると…」という数字の意味を覚えているかね?
あの近未来の「マネタリーベースの水準」というのが、今後13年末に向けてどのくらいまで到達するか、という説明を聞かされた時、白川前総裁の意図する所がぼくには何となく判っていた。


今回の黒田総裁の出した水準は、それに加えて上積みということではありますけれども、白川時代の数字とよく見比べてみるとよい。拙ブログには、白川総裁に向けて「ピッチが届かなかった」と申し上げたわけですが、新体制下では、偶然にもそのピッチの上積みが実現されることになった、と受け止めている。


今後は、国債価格が反転して、金利上昇局面となってゆくことが起こらなければならないわけで、それは「銀行から国債を引き剥がす」ということでもあるわけだ。

日銀が競合して国債を買うことで、銀行は別な資金の振り向け先を探さざるを得なくなる、ということだ。当預残高の上乗せというのは、ある種の「飽和攻撃大作戦」のようなものであり、金融機関と国債の結合度を低下させ、国債買いに銀行資金が向かうのを阻害する、という機能が期待されるだろう。


だから、国債買いに資金が集まらなくなっていかないと、マネーストックの増加率があまり伸びないということになる。現実の結果として、量的質的緩和策が効果を発揮したかどうかは、待つより他ないのである。



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良かった、というのは、そういう意味だ。
政策効果が事前予測の通りに推移するかどうか、そこが大事なんだから。そして、国債保有残高は目論見通り減った、ということであり、その資金は別に向かったはず、ということだ。



それと、インフレ・ターゲット政策が白川前総裁が述べていたような「フレキシブル」なもの、ということの意味が、山形浩生あたりには理解できないのかもしれないが、これも当時から説明しておいた。

金融政策の効果が最大になるというのが、「総裁のクビ」と捉えているなら、日銀総裁は「インフレ期待」を自由自在に操り調節できる、とでも思っているのだろうか?

政策に失敗したらクビにするなら、総裁は「ワタシ、失敗しないので」式に、インフレ目標を達成できるとでも?

そういう発想が理解できない。
というか、そんなに簡単に解決できるなら、とっくの昔にデフレ脱却できてるだろうに。


傲慢である。或いは、自己の経済学知識とか、金融政策に関する知識と効果について、過信してるとしか思えないわけだよ。そんなに簡単なものではなかろうに。


で、現実世界では、黒田総裁も岩田副総裁も、事前の宣言通りに辞任なんかしたのかね?(笑)

2年で達成の目標が達成できなければ、「フレキシブルじゃないインフレ・ターゲット政策」の餌食となってもらい、クビにせよ、と?
そのような発想を、愚かと呼ぶに相応しい。


拙ブログでは、そうした金融政策の在り方は、効果があると思ってないし、実際的ではない、と言っておいたよな?
所詮は、「りふれは」連中の多くは、その程度のものだったということではないかね。


13年3月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/36cd62a872d26763faeeaf7f37bd65a2

(再掲)

かつて、インフレーション・ターゲティング政策というのは、目標が達成できなければ総裁(や執行部)を「更迭する」といったような人事権を掌握し、これを「ムチ」として用いることで、政治的強権を背景に目標達成を強いる、という暗いイメージ(笑)があったわけです。
金融政策効果としては、人事権の有無というのが決定的な要因かどうかというのは疑問の余地がある(確か文献的には関係ない、だったかな?)わけですが、90年代はじめくらいまでというのはそういうのを称して「インフレ・ターゲット政策だ」と強硬に主張してきた人たちがいたわけです(その認識のまんま今に至っている方々は、はやり同様に「クビにできなければインタゲの意味がない、効果がでない」などと言い張っているかもしれません)。そうした、どちらかと言えば近年の”modified”インタゲではなく、よりオリジナルのインタゲを意識しているとなれば、最大効果を狙うべく「辞任」という責任の形に言及したものであろう、ということです。
白川前総裁が言っていたフレキシブルなインフレ・ターゲット政策というのは、旧来型の「特定指標・数値(=CPIで2%)」と目標の達成と未達(=失敗なら更迭)という、極めて機械的な政策とは異なる、ということです。日銀の出したインフレ目標政策というのは、紋切り型の枠組みではありません。


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仮に、そうした人事権で未達の場合にクビにする方式を、rigidなインフレ・ターゲット政策と呼ぶことにしよう。
フレキシブルなのは、目標とするレンジを自由に変更してもよいということではないですよ。例えば、「2%±0.5%」と目標レンジを決めるなら、それはそれでいいでしょう。


しかし、「2年」で達成と言ってたのに2年を超えると「はい、アウト」ってクビなのが本当に良いのか?或いは、買入額が「80兆円」っていうのがきっちりその額じゃないとダメなのか?国債指標金利が「0%」だったら、それを超えるとアウトなのか?


そういうのは、その局面で、或いは将来見通しとして、どうするのが適切なのか、というのは、違いが生まれることは避けられないのではないのか、ということなのですよ。

2年と宣言したとしても、その見通しが違ったからとて、2年という期日に拘る理由とは何だ?2年は、金融政策効果の判定基準に、何らかの意味を持つのか?


そうじゃないでしょ。
本気で考えたことがあるのか?
できもしないこと、できそうにないことを、平気で語る連中が多すぎて嫌になるわけですわ。


何度も再掲してるが、また書いておくわ。


これまで日本は「失われた20年」を過ごしてきました。
そして、デフレは15年にも及ぶ長期となってきたこともご存じの通りです。これから日銀が行うのは、史上最大の、過去に例のなかった挑戦です。ある意味では、日本経済を舞台にした、壮大な実験です。

またヘンな喩えで申し訳ありませんが、誰も見たこともないような「巨大な大浴場を沸かす」という作業を実行するようなものだ、ということなのです。これを成功させなければなりません。この大きな風呂は、過去のデフレ期間に魔物が成長するように巨大化してしまいました。しかもこの風呂には、人類史上最大規模の「国債プール」というものが付いています。これらを含めて、風呂が「いい湯加減」になるようにすることが求められるのです。


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風呂の温度が思ったより上がって行かない、という時、連結されている緩衝用の水が大量に入ってる「国債プール」に貯まってる水量が事前の予想よりもずっと冷たいとか量が多かったとしたら?誰も見たことのない規模のプールなんだぞ?そんなに最初から正確に分かるもんなのか?


つまり、適宜対応するしかなかろう、って言っているんだわ。予想と違うなら、どういう感じで違うのか、火力を上げるべきか、緩衝用プールの弁の開閉を調節するのがいいのか、別の逃がしルートに流れるようにした方がいいのか、とか、色々と方策があるだろ?


更には、折角温めてきたのに、激冷えの氷水を大量にぶっ込んでくる、アベ政権と財務省とかみたいなのだっているんだぞ?
冷えるだろ、どう考えたって。

なら、温める為に、風呂の火力を大幅に強化するとか、必要になるだろ?時間が長くかかっていいなら、火力が同じでも、待ってさえいえば、いつかは上がるかもしれないし。

そういうことって、局面ごとに違うって言ってるんだ。対処するのは、柔軟にやっていかないと、目標値はあくまで目標であって、対応は厳密に事前予測通りに事が運ぶわけじゃないってことなんだわ。そんなこと、やる前から、誰でも気付ける話だろうに。何故、これが分からないのだろうか、と不思議でならんわ。


で、結局は、”rigidな”インフレ・ターゲット政策を支持し、主張していた人間の言ってたことが正しかった、と実証されたんですかね?

現実は、どうなのですか?

黒田総裁と岩田副総裁の代弁者ではないんですが、当方がもし代わりに発言してよいなら、「rigidなインフレ・ターゲット論者の主張を採用してなくてよかった」、ではないですかね?


風呂にいちいち氷水をぶっ込んでくる連中のせいで、クビになってたら、誰も実現なんぞできんわな(笑)。あれだ、シーズン途中で監督をクビにすれば、必ず優勝できる式の発想のプロスポーツ球団みたいなものか?クビにできる権限があったからって、勝つわけでもあるまいに。


総裁のクビを賭ければいい、とか、そういう問題ではないのですよ。純粋に、政策効果の発現を予想したり、考えたり、修正したり、という具体的な実務面での、理屈が間違っている人々が殆どだった、ということではないですかね?(笑)


それは、日銀のせいばかりではない、ということですよ。
日銀批判派も同罪だった、ってことです。しかも、一度や二度言うくらいでは、自覚できない連中が多すぎるってことです。




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