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池尾教授の危惧に答える

2010年04月03日 15時01分35秒 | 経済関連
いや、そんなに自信があるとまでは言いませんし、どこぞの妄言吐き釣り師の如く豪語癖があるというほどでもないので、断定できたり確約するとまでは言いませんがね。

コレね>はてなブックマーク - デフレ脱却は信用できる確約か--池尾和人 : アゴラ

学者というのは、ド素人の考える程度のことを、まず自分の頭でよく考えて考察したりはしないものなのでしょうか?
まあよい。

長期的には、名目成長率と名目利子率の上昇程度がほぼ同じくらいになる、という可能性はあるのかもしれない。


第一に、インフレ率が上がると財政破綻を招く、という点について。池尾教授が言うには、インフレ率が上がると、名目利子率が上がるので
・利払費も増える
・税収増効果よりも返済負担の方が重くなる
ということで、結局は「国家財政破綻ー!!」と言いたいのかもしれない。


多分、そういうことを言い出す人がいるであろうことは私でも予想できたわけで、その点を回避するための対策は元から入れてある。

日本経済復興の処方箋~その3

この中で、税収増を図るべく対策を盛り込んでいる。
『①名目成長率が4%(とりあえず、この水準ということで)を達成したら、消費税を毎年1%ずつ引き上げ(乃至2年毎でも可)。引き上げ開始は、半年以上前に事前に予告。』

なので、税体系が一定ということを前提としているわけではない。これが第一点。



もう一つは、国債金利上昇抑制というブレーキの組み込みである。

続・岩本東大教授の論を信じると、こう騙される

中央銀行が国債を買入する、ということで金利上昇を抑制可能とする、ということである。
以下のように書いた。

『中央銀行が買った国債はどうなるのか?
金庫で眠らせておけばいいだけなのでは。持ってる分には別に問題ないわけで。10年後に政府が金で払えるなら払えばいいだろうし、毎年一部は償却でもいい。20年後とか30年後にインフレ率が順調に経過しているのであれば、払えるはずです。政府はインフレ率がプラスになる間に利払いを確実に続けると共に、プライマリーバランスの黒字化をできるだけ早期に達成しておくことが必要になります。目標としては、大体5年程度、ということになるでしょうか。インフレ率が2%に上昇してくるということになると、これはかなり大変ではないかな、と思いますからね。1年では難しいだろうな、と。

この国債買入をどの時点までやるかというと、少なくとも2~3%くらいにコアコアCPIが到達するか、名目GDP成長率が4%以上を連続で達成できるようになり、名目GDPと実質GDPが完全に逆転するまでは行う、といったことを宣言しておく、というようなことですかね。』


なので、経済環境が安定的な姿となるまでは、そうした運営を続けるということである。よって、「名目利子率が上昇する」ということは起こることになるけれども、必ずしも返済負担が過重になって財政破綻を招く、ということにはならないようにできるであろう、というのが、私の基本的な考え方である。


したがって、税収を増やす方法は考えていること、第二に名目金利上昇を抑制する対策も入れてあること、これらを覆せる論点や対策の考えられていない論点を出してくるのが、プロの経済学者の役割なのではないかと思うが、いかがであろうか。むしろ、専門家とかいう立場の経済学者ですら「この程度かよ」、と落胆してしまうな。素人考え以上ではない、ということだからだ。


別な見方でも書いておく。
池尾教授は、「名目成長率と名目利子率が同率で上昇する」といった仮定を想定しているわけであるが、これが現実世界にどの程度適合しているのか、考えたことはあるのであろうか?日本では、どうなのか?近年では、そういう事実はあったか?

多分、これはあまり成り立っていないのではないかと思えるが。デフレだから、ということで特殊な環境下にあったからだ、といった主張はないわけではないだろうから、まあ、これはおいておく。


では、経済学でよく言われている、フィッシャー効果というのがあるはずであるが、これについてはどうなのだろうか?
少し前に、かなり酷い解説をしてくれていたこと(誤った説明がまかり通る経済学界)があったが、フィッシャー効果についての学界での共通認識というのはどうなのか?


期待インフレ率が上昇すると、名目利子率も同じく上昇してしまうので、実質利子率に変化はない、ということであるが、これは短期的には成立しているともいえないであろう。
更にいうと、どうしてこのような効果が発生するか、ということを経済学者といううのはよく考えているのだろうか?自分の主張のおかしいところは感じないのだろうか?
この効果は、基本的に貨幣需要関数がインフレ率に反映されていて、「物価水準は上昇」ということが起こってしまうからこそ、「実質利子率に変動はない」ということなんですよね?
これは簡単に言うと、マネーサプライを増やしたら増やした分だけ物価が上昇してしまう、ということだ。名目のマネー成長は、物価上昇率に反映されて(=インフレ)しまい、実質的には変動がないという仕組みが働いていますよ、ということだ。

これを肯定ないし支持しているのであれば、マネーを供給すればインフレになっている、ということじゃないの(笑)。自分の矛盾をどうして気付けないのか?
「マネーを増やしてもインフレにはできない」
とか、どの口で言ってるのか、ってことなんだわ。
マネー供給はインフレ率を上昇させない、ということであれば、物価水準が上昇しないということに賛成となるわけでしょう?
そうすると名目利子率の変動は、期待インフレ率の変動に一致するんですか?(笑)
期待インフレ率に近い変動を示す、というのであれば、マネーを増やせばインフレになるだろうね、ということを、どちらかといえば肯定するということになるんじゃありませんか、ということですわ。


まあ、かなり長い期間とかで見れば、ある程度は近い動きというものはあるだろう。物価が上がってくると中銀は金利引き上げを実行してくるわけで、そういう意味では似た動きになるだろうね、ということである。
名目GDP成長率は、物価水準の変動に影響されるから、そういう点では金利上昇とは似た感じだろうな、と。けれど、変動率が一致するかどうか、というのは、また別問題なのではないかと思えるが。そういう実証分析をたくさん見てみないと、何とも判らないのではないか。かつての、竹中時代の所謂「神学論争」と呼ばれたテーマでもあるので、そう簡単には結論は出せないのではないかな。


池尾教授が本物の学者であると言うならば、そういうことを明らかにするべきであるし、期待インフレ率の変動率は、名目利子率の変動率に一致する、とかいう命題を検証することなんじゃないのか。

それにだな、財務省の予測がデマだとまでは言わないが、政府には売れるものもあるわけだから、例えば郵政株の上場とかで返済に回せばいいんじゃないの?財務省管轄で売れるものは残されているはずだから、そういうのもきちんとしたらいいんじゃないか?
だよな?>理財局



一般政府のプライマリーバランスは、対名目GDP比で、以下の通りだ。


年度  (%)

98  -10.3
99  -6.4
00  -5.4
01  -5.4
02  -6.9
03  -6.3
04  -4.4
05  -5.4
06  -0.4
07  -2.3
08  -2.1


03年以降には、名目GDP成長率がプラスになっている。08年は大幅なマイナスを記録してはいたが。名目成長率だけの話ではなく、各種保険料値上がりとか、定率減税廃止といった収入面での改善効果というのもあるかもしれないし、地方政府の頑張りというのもあるだろう。なので、一概には言えない。
ただ、最低限の条件として、名目成長率がプラスであるのは当然であり、4%程度は達成できないと根本的にダメだろう、という話である。




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