シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

欲望のバージニア

2013-07-05 | シネマ や行

ここ最近注目しまくってるジェシカチャスティンが出演しているということで興味があり、予告編を見てますます興味が湧いたので見に来ました。大阪では一館だけでしか上映していません。なぜ?

禁酒法時代のバージニア州。密造酒ビジネスを手掛けていたボンデュラント三兄弟という実在した人たちの物語。
長男のハワードジェイソンクラークは大酒飲みでいつも酔っ払い、怪力の暴走野郎。
次男のフォレストトムハーディが事実上のリーダー。無口で佇まいに凄みがある。
三男のジャックシャイアラブーフは上の二人からいつもヘタレ呼ばわりされているが頭を使ってのし上がろうとしている。
彼らは「不死身」だといういわば生きる伝説と化していた。

彼らの表向きの商売として経営する食堂に都会から一人の女が職を求めてやってくる。都会の生活に疲れ田舎暮らしがしたいというマギー(チャスティン)を雇い入れるフォレスト。一方ジャックはお堅い牧師の娘バーサミアワシコウスカに恋していたが、彼女はお堅い牧師の娘で彼との交際など許されるはずもなかった。

彼らは地元の警察に賄賂を渡し、ビジネスはうまく行っていたが時折入るチンピラなどの邪魔者は容赦なく倒していた。そんな折新しく赴任した特別補佐官レイクスガイピアースがこの地域一体の密造酒業者に法外な賄賂を要求してきた。それをフォレストが突っぱねたときからレイクスにより執拗な脅迫が始まる。

その間にもジャックは幼馴染のクリケットデーンデハーンとともに上質の酒を造り、マフィアの大物フロイドバナーゲーリーオールドマンに認められビジネスを行うようになる。堅実にビジネスをしたがるフォレストの反対をよそにジャックは大金を手にし、新車を買い服を新調し舞い上がっていた。

ある日初めての商売相手がマギーに銃をつきつけて嫌がらせをしてきたことから諍いが起こり、フォレストが相手をボコボコにして退散させたかと思いきや後から相手のワナにはまり喉を掻っ切られてしまう。

フォレストが喉を掻っ切られたのが多分映画の真ん中くらいのときなんです。「え?不死身って言うてたんちゃうん?ここで死ぬん?ウソやろ?」と思っていると、なんと喉を掻っ切られたにも関わらず自分で30キロ先の病院まで歩いて行って助かったって言うやないですか!ウソーん!って思いましたけど、フォレストには死んでほしくなかったんで生きていてくれて嬉しかったです。いや、ほんまに不死身でした。

レイクスは他の密造酒業者をどんどん摘発していき、ついに残るはボンデュラント兄弟のところだけとなってしまう。その間にも大きな蒸留所を作っていた兄弟だったが、ジャックがバーサとのデートに成功し嬉しがって彼女に秘密の場所の蒸留所を見せようとしたことでレイクスたちにつけられてついに蒸留所を爆破されてしまう。しかもその時逃げ遅れたクリケットをレイクスは非道にも殺害してしまう。

そのことでキレた兄弟はついにレイクスと一戦交えることに。群境の橋で密造酒業者対汚職警官たちの血みどろの戦いが待っていた。

いやーーーーもうなんでしょうねー、これ。ボンデュラント兄弟ってただの無法者なんですよ。密造酒業者やし、暴力的やし。でも、それなのに、なぜかめちゃくちゃカッコいい。決して見た目とかじゃないんです。見た目はもの凄い田舎もんやし、むっさ苦しい。それなのに。特に次男のフォレストのカッコ良さったらハンパないです。無口でねー。なんか言うと思ったらすぐ"mmmm..."って低音ヴォイスで。そのくせ女にはめちゃくちゃ奥手で。マギーのことずっと好きなくせに全然手ぇ出さない。ついにはマギーのほうがしびれを切らせて素っ裸で部屋に入って行って「永遠に見てるだけのつもり?」とか言われちゃう。それくらい奥手。そこがまた可愛いっていうかフォレストらしさを表してました。無口で不器用な男って普段嫌いなタイプのキャラクターなんですけど、フォレストはめっちゃくちゃカッコ良かったです。トムハーディって「ダークナイトライジング」のときもいいなぁって思ったけど、今回で一気にファンになってしまいました。

そしてそのマギー演じるジェシカチャスティンがまた今回最高です。都会から来たマギーは明らかに服装とか全然違ってて、徐々に田舎に染まっていくのかなぁと思っていたけど全然そんな気配はなくて終始キレイな格好してました。フォレストに惚れるくらいですから、マギーも一筋縄ではいかない女なんですが、はすっぱなわけでも威勢がいいわけでもなく一本スッと筋の通った雰囲気で、とびきりの美人でもないしお色気満開でもないのにそこはかとないイイ女の魅力を醸し出していて初対面でボンデュラント三兄弟が全員帽子を取ったまま押し黙ってしまったのがすごくよく分かります。実はこのマギーが喉を掻っ切られたフォレストを病院まで車で運んだんですけど、ここぞと言う時まで何も言わないんですよねー。そして自分がフォレストの喉を掻っ切った悪党どもに何をされたかもクライマックスまで自分の心の中に留めてきていました。このマギーのねぇ、なんて言うんでしょうね、プライドっていうかね、彼女の気質が魅力的過ぎ。出演時間はそんなに多くないんですけど、むさ苦しい画面に一輪の花という感じでした。

他のキャストも全員がものすごくハマリ役ですね。シャイアラブーフのあどけない顔は末っ子ジャックにピッタリだったし、ゲーリーオールドマンのマフィアも板についてるし。ガイピアースのちょっと変質的な捜査官にはビックリしました。超変な髪型だし。。。何アレ?まゆ毛まで剃ってちょっと笑っちゃった。

そして、つい先日「プレイスビヨンドザパインズ」でこれから注目株と思ったデーンデハーンが出ているじゃないですかー。クリケットはちょっとひ弱な感じで「ギルバートグレイプ」のときのディカプリオみたいでした。

男三兄弟の話なんですけど、三人とも性格とかバラバラで絆って言っても全然べたべたしてなくて、最終的にはもちろん助け合うんだけど普段は結構バラバラな感じがなんかリアルだなぁと思いました。一番上の兄貴は頼んないし、次男はリーダーだけど"mmmm.."だし、末っ子が一人で頑張ってた感じで、その辺がワタクシはなぜか好きでした。それでもやっぱりずっと最後まで一緒に過ごして切っても切り離せない仲だったんだろうなぁと思います。バージニア州には彼らの博物館まであるっていうじゃないですか。行ってみたいなぁ。



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