シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

外事警察〜その男に騙されるな

2012-05-25 | シネマ か行

日本のCIAと呼ばれる警視庁公安部外事課の活躍を描いたNHKのドラマの映画版。ドラマのほうは未見ですが、ストーリーとしては独立しているようでしたので、試写会に行ってきました。一応、基本的なキャラクター設定や相関図などはサイトでチェックしてから行きました。

東日本大震災に乗じて某大学から原子力関連のデータが盗まれるという事件が起きる。同じころ、ウランが韓国に持ち込まれていた。警視庁公安部外事課の住本渡部篤郎のチームは日本でダミー会社を持ち裏で不正輸出をしているとみられる韓国人の男金正秀イムヒョンジュンの妻・奥田果織真木よう子を協力者として取り込み夫の会社を探らせる。

日本の公安部外事課っていうところが実際にこんなふうに活動しているのかどうかは分からないけど、それは別としてフィクションドラマとしては結構楽しめました。外事課の魔物という異名を持つ住本が奥田果織を意のままに動かさんとするために、彼女の経歴を徹底的に調べつくし、彼女の弱みを巧みに利用して自分たちの協力者に仕立て上げてしまうところは、人間としては最低の行為だと思うけど、物語としてはとても面白い。一見良い人そうな顔をして、丁寧な言葉で相手を追い詰めていく住本というキャラクターに魅力を感じました。渡部篤郎うまいね。

協力者を獲得するために住本班の松澤陽菜尾野真千子が任務にあたるんだけど、あんなに主任である住本に楯突くような子がチームにいて大丈夫なのかなぁ?あんなふうに協力者の前で対立しあうなんてどうもね。あれがわざとでいわゆる“グッドコップ”“バッドコップ”作戦だっていうなら分かるけど。

ドラマのほうではどうだったか分からないけれど、住本班の他の人たちの影が薄すぎてちょっと可哀想だったな。もう少しチームで活躍する筋書にしたほうがリアルだった気がする。あくまでも主役は住本であり、彼の活躍を追うことに重きが置かれているということなのかな。

それから、明らかに北朝鮮のことを話しているのに「あの国」とか「祖国」みたいな言い方しかしないのは、なんだかねーって感じだった。はっきり言えよ!ってなんかムズムズしてしまいましたよ。

住本というキャラクターは外交官・黒田とは違って、単純に実は良い人みたいなんじゃないところがいいよね。本当んとこ、どんな奴なんだかよく分かんないっていうのが。「その男に騙されるな」っていうのがサブタイトルになってるけど、ワタクシはすっかりうっかり騙されてしまいました。疑ってはいたんですけどね、やっぱり冷徹な奴だったって最後に分かるところで映画的なカタルシスを感じました。なんか「実は良い人なんだよ」なんてつまんないから。そういう意味ではちょっとネタバレ的なサブタイトルはいらないと思うんだけどね。日本映画ってなんかサブタイトルが好きだよね。なんでなんだろ?

映画の中でも言われていましたが、一般国民を騙したり利用して守りたい「国益」っていったいなんなんでしょうね?こんなこと言うと右側の人には「そんなことも分からないのか!?」って怒られそうですけど、国益を守るためなら国民の一人や二人犠牲にしても良いというのはそれ自体に大いなる矛盾をはらんでいますよね。



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孤島の王

2012-05-11 | シネマ か行

ノルウェーに存在する監獄島、バストイ島で20世紀初頭に起きた暴動を映画化した作品。現在は成人の刑務所になっているらしいが、当時は非行少年たちを収容する施設だった。

殺人の罪を犯した船乗りのエーリングベンヤミンヘールスターはもう一人の少年イーヴァルとともにバストイの施設に送られてくる。彼らはここではC19、C5と記号で呼ばれた。院長ステランスカルスガルドは彼らがここで更生することを願っていると言い、寮長のブローデンクリストッフェルヨーネルともうすぐ退院するオーラブ(C1)トロンニルセンの言うことによく従うように言う。

非行少年たちが集まるこの施設では規律は厳しいものだったが、それでもやはりいじめやケンカなどが起こる。そのたびに少年たちはブローデン寮長たちから厳しく処罰され、食事を半分に減らされた。

エーリングはここでの生活に耐えられず、脱走を試み一度は成功したかのように見えたが、やはり本土から連れ帰られてしまう。このとき、イーヴァルはエーリングに一緒に連れて行ってくれと懇願するが、足手まといになるからとエーリングは断った。イーヴァルがここから出たい理由は実はブローデン寮長に性的虐待を受けているからだった。

そのことを知ったオーラブは院長に直に訴え出た。しかし、院長はオーラブには「つまらんことを言うな」と言うが、ブローデン寮長には直接注意をし解雇しようとした。しかし、ブローデン寮長は院長がここの予算を私的に流用していることを知っていると院長を脅した。

院長はイーヴァルを遠くの作業へと移し、ブローデン寮長から遠ざけようとするが、イーヴァルは自分の運命に絶望して海に入って自殺してしまう。院長はこれを脱走の末の死亡と片づけてしまい、少年たちの不満は募るが、その後寮長が島を出ていくのを目撃した初めて自分たちが勝ったのだと歓喜する。

信頼していた院長の隠ぺいに不満を覚えながらも退院の日を迎えるオーラブ。エーリングは、そんな不満は封印してとにかく退院してしまうように言うが、出ていく道のりで出て行ったはずのブローデン寮長が帰ってくるのをオーラブは目にしてしまう。「院長の使いで本土に行っていただけだ」という言葉を聞いてオーラブの中で何かがキレてしまう。ブローデン寮長に殴りかかるオーラブ。そんな彼に他の少年たちも続き、暴動が島全体に広がってしまう。

実際、非行少年たちはここに来るだけの罪を犯してここにいるわけだから、彼らは別に擁護すべき人間ではないのかもしれないけれど、こういう物語を見ているとどうしても肩入れしてしまう。もちろん、罪を償うためにここに来ているわけで勝手な行動は許されないけど、だからと言って大人たちの横暴も許せない。院長は一見少年たちの味方に見えて、実は裏で自分も予算を流用していたから、そのせいでブローデン寮長をクビにすることができなかった。表では「健全なキリスト教徒を育てる」とか言っといて偽善もいいとこだ。

最初は対立していたエーリングとオーラブが少しずつ心を開いていく描写がいい。読み書きのできないエーリングの代わりにオーラブが手紙を読んでやったり、エーリングが語る物語をオーラブが書き留めてやることで二人は友情を育んでいった。そして、エーリングの語る銛を3本打っても死なない鯨の物語が彼ら自身に重なって閉塞的な孤島での映像ばかりになってしまうのを避けられる効果を生み出している。

最後の彼らの暴動はもちろん褒められたものではないが、最初に書いたようにどうしても少年たちに肩入れしてしまった。制圧しにやって来た軍隊にことごとく捕らえられた彼ら全員のその後の運命が気になった。

劣悪な状況下での囚人の脱走や反乱をテーマにした映画は多い。こういう環境を世に知らしめて改善しなければいけないというメッセージとともに、映画的な題材として魅力がある。この作品も純粋に映画として楽しめるものだった。

オマケ1暴動を軍隊が制圧しにきたとき、エーリングとオーラブは凍った海を渡って本土側へ逃げていく。そのとき溶けかけた海にエーリングは落ちてしまう。オーラブの懸命の救助もむなしく冷たい海に沈んでいくエーリング。。。あー、どうしても「タイタニック」でディカプリオが沈んでいくシーンが頭に浮かんでしまうよー。これ作った人たちは全然気づかなかったのかなぁ。絶対に笑えるシーンじゃないのに、「パロディか?」と思ってちょっと微笑んでしまった。ごめん。

オマケ2「ステランスカルスゲルドが母国語で演技してるのを久しぶりに見たなぁ」なんてぼーっと思っていたら、「ん?この人ノルウェー人じゃないくてスウェーデン人じゃなかったか?」と映画の最中に気になってしまった。あとで調べたらやっぱりスウェーデン人なんだけど、言語が似ているからネイティヴが聞いても違和感はないのかなぁ?



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クイーン

2012-01-27 | シネマ か行

以前からずっと見たいと思っていた作品ですが、なぜか機会を逃していました。今回やっとレンタルで見ました。

まず、ヘレンミレンがエリザベス女王を演じるというだけでかなりの興味が湧く。彼女が演じるなら絶対に間違いはない。そう思わせてくれる。しかもダイアナ妃が亡くなったあとの王室の内幕を描くという勇気のある作品だ。

ダイアナ妃が亡くなったとき、イギリス王室一家は保養地にいた。すぐにパリに飛ぼうとするチャールズ皇太子アレックスジェニングスだったが、もう王室の人間でない者のために専用機を使うとまた王室の無駄遣いを批判されることになると反対するエリザベス女王。エリザベス女王の夫フィリップ公ジェームズクロムウェルも母・皇太后シルビアシムズも女王に賛成する。

しかし、チャールズ皇太子は結局ダイアナ妃の遺体を迎えに行き王室旗をかけた棺を持ち帰りロンドンに安置する。翌日からケンジントン宮にはたくさんの花束やメッセージが所せましと置かれ、衛兵の交代の儀式もままならないほどになっていく。各国のイギリス大使館に設置された記帳の数は膨れ上がり、バッキンガム宮殿に半旗のあがらないことや、女王からなんのコメントもないことなどによって、国民の反王室感情はピークを迎えた。

首相のトニーブレアマイケルシーンは、しきたりや伝統を頑なに守ろうとするエリザベス女王に対してダイアナ妃を国民葬にし、女王からコメントも出すようになんとか説得を試みる。

ここまで王室家族のみのやりとりを克明に再現しているかのような物語というのは、執事か誰かが漏らさない限り無理だと思うんだけど、その辺は想像で描かれたものなのかな。首相とのやりとりなんかは記録として残っていると思うけど。

いつも女王の脇で好き勝手なことばかり言っているフィリップ公は、こういうときも言いたい放題言い散らかしていたし、皇太后はやはり一世代前の人だからしきたりというものに強いこだわりを見せていた。エリザベス女王本人も、もちろん伝統的な価値観というものにこだわりを見せつつも、やはりフィリップ公などとは違って、自分がすべての矢面に立たされるだけあって、現実的な対応が必要になるということを分かっていながらの苦悩というものが見えた。

それゆえに、王政そのものに反対の姿勢を取っていたトニーブレア首相でさえも、最後にはエリザベス女王の立場を守るような発言をしている。1953年からずっとイギリス連邦の女王としてその生涯を捧げてきた女王に対してブレア首相が理解を示すシーンではなぜか自然と涙が流れた。おじさん(エドワード8世)の勝手な行動で父親(ジョージ6世)に継承権が移り、その仕事の重圧からその父親も病気になってしまった立場なのに、それだけの長きに渡って重いものを背負ってきた女王にやはり尊敬の念を抱かずにいられなかったブレア首相にとても共感を覚えた。

たとえどんなに批判を受けようとも、決して品位は失わず堂々とした態度で公の場に出ていくエリザベス女王。王政に反対か賛成かということは別として人間として尊敬に値する方だという描き方をしている作品で、決して安易な王室批判ではない実直な作りになっている。

この作品で数々の主演女優賞を受賞したヘレンミレンは、本当に素晴らしい演技を見せていた。王室の人ということでやはり世間とは多少ズレたお茶目な面を見せたかと思うと、誇り高い女王の顔、孤立し傷つき苦悩する君主の顔を自在に見せる。この映画を見ている間中、本物のエリザベス女王ってどんな顔だったっけな?と思うほど、まるで本物の女王のように見えてきた。エリザベス女王だけじゃなくて他の王室のメンバーやブレア首相までよく似てる人を集めてあるんだよねー。ダイアナ妃の国民葬とかニュースとか本物の映像も多々入るので、なんだかドキュメンタリーを見ているような錯覚に陥ってしまいました。

オマケ1日本の皇室に比べて開けて自由なイメージのあるイギリス王室だけど、女王が大きなレトリバーを3頭も連れて一人で運転して狩場まで行くなんてすごいなぁと思いました。車が動かなくなった時も自分で様子を見て「シャフトが折れてるわ」なんて言うから、えーそんなこと分かんの?とびっくりしたけど、大戦中には従軍して軍用車両の整備などしていたというから驚きだ。

オマケ2ヘレンミレンが2007年のアカデミー賞主演女優賞を受賞し、翌年2008年のアカデミー賞の主演男優賞のプレゼンターを務めたとき、ダニエルデイルイスがヘレンミレンの前でひざまずき、女王が爵位を与えるときのようにオスカー像で両肩に触れたのが面白かったです。女王からイギリス人俳優へだったので、ダニエルデイルイスがとっさに取った行動のようでしたが洒落た演出でした。


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クリスマスのその夜に

2011-12-22 | シネマ か行

以前からベントハーメル監督の作品は気にはなっていたんだけど見たことはなかった。今回、時間が合ったので見ることにしました。

小さな劇場ではあったけど、意外に人が来ていてびっくりしました。もっと少人数だろうと思っていたので。女性誌などで取り上げられているのかな?

ノルウェーの町でクリスマスの夜に様々な人に起こる出来事を描いた物語。

クリスティーネルイシュレッテバッケンに追い出されたパウルトロンファウサアウルヴォーグは、クリスマスに子供たちに会うためサンタに扮装してプレゼントを渡しに行く。

パウルの友人で医師のクヌートフリチョフソーハイムは、コソボから逃げてきて二度と故郷に戻れないというカップルの出産を手伝ってやり、彼らがスウェーデンにいる姉のところまで行けるように車まで貸してやる。

中学生(くらい?)のトマスモッテンイルセンリースネスは、イスラム教だからクリスマスを祝わないというビントゥサラビントゥサコールと過ごしたくて、自分のうちもそうだと嘘をつき、一緒に星空を見て過ごす。

カリンニーナアンドレセン=ボールドは不倫相手のクリステントマスノールストロムの妻とは別れるという嘘に怒って、クリステンが妻と過ごす教会のミサに乗り込む。

昔有名なサッカー選手だったヨルダンライダルソーレンセンは故郷に帰りたいがお金がなく、途中で偶然会った昔付き合ったことのある女性イングンベアチオイエンにお金を借りて故郷に向かうが…

いくつかのエピソードが交互に語られるのだけど、特に大きな事件らしきものが起こるわけではなく、かなり淡々と語られるので、申し訳ないけど途中で眠くて眠くて仕方なくなってしまった。コソボのカップルに車をあげたり、トマスの恋心が可愛らしかったり、パウルの子どもに会いたいがための努力がいじらしかったり、最初に紹介されたスナイパーの正体が最後に分かったりと多少惹きつけられる部分もあるにはあるんだけど、それもそんなに長い間ではないので見ているのが結構つらかった。

素朴なお話なのに、どうしてレートがR-15なんだろうと思っていたら、カリンとクリステンのベッドシーンがやたらと激しくてちょっと閉口した。激しいベッドシーンとかって別に苦手じゃないけど、なんかこの映画の全体的な雰囲気からすると妙にそこだけが浮いている気がして変に生々しくてイヤだったな。

コソボのカップルに赤ちゃんが誕生して、母親のほうが紛争時代にスナイパーをやっていたけど、子供を殺すことはしなかったということが分かるラストでは少し心が温まりました。

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コンテイジョン

2011-11-04 | シネマ か行

試写会に行ってきました。普通の公開で見るつもりの作品だったのでラッキーでした。

スティーブンソダーバーグは特に好きな監督というわけではないのですが、いつも興味深い作品を作っていることは間違いないし、彼が撮るとなるといつも豪華キャストになるのでそれも楽しみのひとつであります。

香港出張の帰り経由したシカゴの空港でどうやら密会した男性からの電話を受けるベスエムホフグイネスパルトローは咳をしていて体調が悪い様子。その後夫マットデイモンと息子の元へ帰るが、その後様態が急変。救急車で運ばれるが間もなく死亡。そのころベスの息子も家で発病しそのまま亡くなってしまう。(グイネスの迫真の演技に冒頭からとても恐ろしい。彼女は解剖で頭の皮まではがされるシーンもある)

同じころ、香港、東京、ロンドンでも似たような症状で亡くなる人が続出し、You Tubeには東京のバスで亡くなった男性の動画がアップされる。フリージャーナリストのアランジュードロウはいち早く伝染病の可能性を疑う。

アメリカのCDC(疾病予防管理センター)やスイスに本部のあるWHO(世界保健機構)なども調査に乗り出す。CDCの医師ドクターミアーズケイトウィンスレットは調査中に発病し、WHOのドクターオランテスマリオンコティアールは香港のある村で拉致される。薬が発明されたときに一番に手に入るように人質に取られたのだ。

パンデミックものと言えば「アウトブレイク」を思い出す人が多いと思う。1995年の作品でダスティンホフマンの主演作だ。あの作品に比べるとこちらの作品はかなり静かな進行。伝染病がものすごい勢いで世界中に広がるのと反比例するかのように映画の進行そのものはとても静かだ。「アウトブレイク」のスピーディさとスリリングな展開はこちらにはない。CDCやWHOの職員の活動も地道な感じで描かれる。CDCのドクターミアーズが亡くなる直前まで自分の隣に寝ている患者のことを気遣っていたのが印象的だったし、WHOのドクターオランテスも拉致はされたけど、村人のことを心の底から心配していたし、薬の開発に当たる女医も自ら実験台となったりと医師たちの真摯が姿が描かれる。

その進行の地味さが返ってじわじわとこちらの恐怖をあおるような構成になっている。「アウトブレイク」のときには大きな存在ではなかったインターネットもこちらでは大きくものを言う。フリージャーナリストのアランがブログを通じて送るメッセージが余計な混乱を招く。CDCの責任者ローレンスフィッシュバーンが個人的に恋人に極秘情報を流したり、ベスの不倫が伝染病が相手に移ったことによって彼女が亡くなってから夫にバレてしまったり、個人的なドラマにもスポットがあたっている。

始めにベスが発病した日が「Day2」となっていて、「あれ?Day1は?」と思っていたけど、最後の最後に忘れたころに「Day1」の描写があって、ソダーバーグのうまさを見せつけられた感じがした。

豪華キャストの中で光っていたのはやっぱりケイトウィンスレットかな。全体的に地味なので豪華キャストじゃなかったらちょっと見るのが辛い作品かもしれません。

これを見ている最中に会場で咳をされるとゾッとしますよ。

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ゴーストライター

2011-10-11 | シネマ か行

マイナーな作品ながら、やはりロマンポランスキー監督の作品だからかなのか、ロバートハリスのベストセラーの映画化だからか劇場はそこそこ混んでいました。ワタクシは別にポランスキー監督のファンではありませんが、ユアンマクレガーの新作だし、予告編でも面白そうだったので見に行きました。

イギリスの元首相アダムラングピアースブロスナンの自叙伝の発表のためゴーストライターとして雇われた作家(ユアン)。(彼には役柄の名前がない。まさにゴースト)彼の前任者は不可解な事故で死亡していた。

まず、元首相が自叙伝を発表するにあたって、前任のゴーストライターが何か大きな秘密を発見してしまい何者かによって始末されたのだとしたら、どうして次のゴーストライターを雇ってまでまだ自叙伝を発表させようとするのか。自叙伝の発表そのものをやめさせる手だてはなかったのか?と思いつつ。新しく雇われた彼はそこまで深入りしないだろうと楽天的に考えていたというのか。秘密を守るために人殺しをするような人たちが?と思いつつ。

話の展開としては途中はちょっと退屈でした。元首相とのやりとりの中で何か秘密が少しずつ露呈するのかと思いきや、そういう緊張感のある会話はなかったような。元首相の奥さんルースラングオリヴィアウィリアムズの行動がなんだか不可解だったのは、結末への伏線だったのか…

CIAなのに、前任者が残した証拠をほったらかしておいたのはぬかったね。バレそうなったら殺せばいいや、なんていくらCIAでもちょっと短絡的過ぎる。ただ、刑事でも探偵でもない、ちょっとドンくさそうな雰囲気のゴーストライターが秘密を追っていくという姿はなかなかに面白くはありました。

カーナビが親切丁寧に重要人物のおうちまで案内してくれたり、インターネットで最重要とも言える証拠を見つけたり、都合よく味方の携帯番号を手に入れたりするところはなんとも簡単だわねーと言った感じなんだけど、ユアンマクレガーが冴えないゴーストライターであるがゆえにこのあたりも許してしまう気にもなれる。

映画の作りとしては、静かな緊迫感はありスタイルとしては古い感じです。それはわざとそういう演出がされているのかポランスキー監督がお歳だからかは分かりませんでした。往年のサスペンスっぽい雰囲気でした。

結局アダムラング元首相はCIAの操り人形だったってわけだけど、奥さんまでグルでその事実に気付かないまま死んだのだとしたら、それはそれで彼は幸せだったのかもしれない。ロバートハリスはイギリスの作家で、彼が自分の国の首相がアメリカのCIAに操られていたという物語を書くというのは、アメリカを支持してイギリスも参加したイラク戦争への批判をこめていると考えていいのでしょう。

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glee/グリー ザ・コンサート 3Dムービー

2011-09-26 | シネマ か行

題名を見ていただけば分かると思いますが、これはアメリカのドラマ「グリー」のキャストたちがドラマのシーズンオフにアメリカ、カナダ、イギリス、アイルランドをツアーして回ったコンサート映像の映画です。なので、グリークでない人にとってはまぁぁぁぁぁったく面白くもなんともない映画と言えるでしょう。

アメリカでは8月の終わりに公開されたこの作品。ワタクシは日本での公開が待ちきれず、アメリカで見た人のレビューなどを読んでいました。すると、なんとグリーファン3人のエピソードが挿入されていて、コンサートの雰囲気がとぎれとぎれになってイマイチ!というレビューをたくさん目にしました。

そういうこともあって、ぶっちゃけちょっと期待薄かなーって思っていたのです。もちろん、グリーキャストたちを映画館のビッグスクリーンで見られることや、いままでYou Tubeの映像でしか見ることができなかったライブ映像を見られることは超超楽しみだったのですが、あんまり期待しすぎてはいけないかもと思っていました。

しかも、アクション映画でもなんでもないのになぜかワタクシの嫌いな3Dだし!「なぜか」って言うか、これってFOXと映画館が結託して儲けたいだけよなーって思っていたんです。どんなアクションものやSFものでも3Dを避けて見ているワタクシですが、今回は3D上映オンリーなので選択肢はありません。が!が!ですよ!コンサートの3D、なかなかイイじゃないですかー。最初にグリーキャストが「Don't Stop Believin'」で登場してきたとき、ちゃんとレイチェルリアミッシェルの後ろにブリタニーヘザーモリスがいて、、、みたいなのが臨場感を持って感じられました。それぞれのソロのときも本当にキャストがそこにいるかのようだし、ウォブラーズの編隊もきちんと見えたし、紙ふぶきもリアルに舞っていました。

確かに、1曲1曲が終わるたびにコンサートに駆け付けたファンのコメントや、小人症のチアリーダーの話とアスペルガーの女の子の話とゲイの男の子の話が代わる代わる挿入されるので、コンサートの盛り上がりをうぉーーーーーって体験できないのがちょっと残念なんだよなー。「グリー」というドラマが見ている人にどれだけ影響を与えたかっていうのを言いたいのは分かるし、ひとつひとつのお話には実際感動もしたんだけど、グリーキャストのコンサート映像を見に来た観客にとってはちょっと時間割き過ぎだなぁという気がしてしまう。これはアメリカのレビューを見ていて知っていたから良かった、と思いました。もし知らずに行っていたらガッカリしすぎで怒りに変わってしまったと思う。コンサートに来たファンのコメントなんかは可愛いものが多かったし、日本ではリアルの世界で普通にグリーファンに遭遇するということができないだけに、「あー、やっぱグリーってこんなに人気があるんやなー」って思えただけでも嬉しかったですけどね。

選曲に関してはそれぞれの好みがあるのでなんとも言えませんが、ソロ中心だったのがワタクシとしては残念でした。ワタクシはソロよりもニューディレクションズ全員で歌っているのが好きなので。だって、グリー部ってそもそも合唱部なんだしねぇ…あとは、キャストの目立ち方に偏りがあってイヤでした。レイチェルやフィンコーリーモンテースが目立ってしまうのは仕方ないけど、クインダイアナアグロンのインタビュー映像もないし、ティナジェナアシュコウィッツなんてどこ?っていうくらいにしか映ってない。

いろいろレビューを見てから行ったのでだいたいの内容は知っていたんですが、ミニウォブラーが登場したのはサプライズで嬉しかった。子供で芸するのとかってあんまり好きじゃないんだけど、彼はめちゃくちゃ可愛い。

日本ではNHKで見ている人はまだシーズン1までなので、映画の曲はほとんど分からないよねぇ…後ろに座っていた高校生がシーズン1しか知らないみたいでグィネスパルトローのことを「真ん中らへんででてきたおばちゃん誰?」って言ってたのがちょっと悲しかったです。高校生にかかれば、グィネスも知らないおばちゃんかぁ…

とか、いろいろ文句言いつつ、最初の曲が鳴ったときには感動してぶわーって勝手に涙が出ちゃいました。コンサート行くといつも最初泣けちゃうんですけど、みなさんは泣けませんか?

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君のためなら千回でも

2011-08-24 | シネマ か行

公開時点で見に行きたかったんですが、時間が合わず見に行けなかったことをずっと残念に思っていたところ、原作本を友達に薦められたので、やはり良い作品なんだなぁと原作本を読む前にDVDをレンタルしてきました。

1970年代のアフガニスタン。お金持ちのお坊ちゃんアミールゼキリアエブラヒミとその家の召使いアリの息子ハッサンアフマドハーンマフムードサダは兄弟同然のように育ち、毎日仲良く遊んでいた。ハッサンはものすごくアミールのことを大切に想い、いつもいつもアミールが窮地に立ったときには助けてくれた。いつもハッサンにかばってもらっているアミールをアミールの父親ホマユンエルシャディが苦々しく思うほどに。

そんなアミールにも得意なことがあり、それは物語を書くことだった。父親の友人ラヒムハーンショーントーブはその才能を認めてくれていたし、字の読めないハッサンもアミールに物語を読んでもらうのが大好きだった。

凧の大会の日、戦った相手の凧をアミールのために取りに行ったハッサンがその帰りに民族差別をする年上の子たちからからまれているところをアミールは目撃するが、出ていって助ける勇気がなく、ハッサンがリーダー格の子にレイプされるところを目撃してしまう。その日からぎくしゃくしてしまうアミールとハッサン。アミールは罪の意識からかハッサンに冷たく当たり、ハッサンが自分の時計を盗ったと父親にウソの報告をしてしまう。そんな中、ソ連がアフガニスタンに侵攻。アミールはハッサンと仲直りができないまま父親とともにパキスタンを経由してアメリカへ亡命する。

アメリカでアフガニスタンのコミュニティに育ち、アフガニスタン人の女性アトッサレオーニと結婚し父親も亡くなり、作家になったアミールハリドアブダラに一本の電話がかかる。父親の友人ラヒムハーンがアフガニスタンに帰ってくるよう電話してくる。2000年のアフガニスタン。情勢が不安定なところには帰れないと言うアミールだったが、重い病気にかかっているというラヒムハーンの申し出を断れず、アミールはラヒムハーンのいるパキスタンへと向かう。

そこでラヒムハーンからハッサンに関する重大な秘密を聞いたアミールは、情勢の不安定なアフガニスタンに向かう。自分の人生の贖罪のために。

ハッサンの献身的な友情とそれに応えることのできなかったアミールの文字通り命を懸けての贖罪。ハッサンの健気さと勇気に心を打たれる。差別される側の民族に生まれついた自分の運命を受け入れる強さを持っていたハッサン。同時にアミールの弱さに寄り添う気持ちもある。アミールに腹は立つけれど、誰もがハッサンのようにまっすぐに生きることはできず、多かれ少なかれアミールのような弱さを持っていると思うからだ。

アミールが直接ハッサンに謝罪と恩返しをすることはできなかったことで、見終わったあと少しモヤモヤ感が残ったのだけど、アミールがハッサンのためにしたことは、きっとハッサンなら分かってくれるだろうと考えなおした。この2人の友情が純粋な友情ではなく、主従関係であったところもモヤモヤの一因であったと思うのだけど、それは彼らの生まれた状況下においてある程度は仕方のなかったことなのかもしれない。またそれだけに余計観客はハッサンに強く惹かれてしまうのでしょう。

この物語はアミールとハッサンの物語であると同時に、アフガニスタン内戦とソ連、アメリカ、国際社会の縮図を描いた物語でもある。生き残るために祖国を捨てた人々と、祖国を守るために暴力に走ってしまった人々。ソ連の侵攻と国際社会の反応、タリバーンの台頭というアフガニスタンの近代史を描いていると言える。

何よりも驚いたのは、ソ連侵攻前のアフガニスタンの風景の美しさだ。アフガニスタンと聞けばワタクシは砂漠と廃墟しか思い浮かぶことがなかった。アミールがお金持ちの子どもということももちろんあるけれど、それだけではなく市場の様子、木々が豊かに生える町の様子など、およそワタクシたちが想像しないアフガニスタンの本来の姿がそこにあった。あんなに美しい風景を壊してしまった歴史の罪の重さを感じる。風景もそうだけど、アミールとハッサンが「荒野の七人」に夢中になっている描写とかがね、あ〜こんな時代もあったんだなって心が痛くなりました。

「君のためなら千回でも」というのはハッサンがアミールに言う感動的なセリフで、原題は「The Kite Runner」でこれにも物語の中での意味があるのだけど、邦題のほうもストレートでとても良いと思う。

オマケアフガニスタンの近代史について少しだけ学んでおいたほうがより楽しめる作品だと思います。


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「母と子の手作り服 flip frappe」 ワタクシのいとこがやっているサイトです。
ご興味あれば見てやってくださいませ。

 

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きみの帰る場所〜アントワンフィッシャー

2011-08-22 | シネマ か行

海軍兵のアントワンフィッシャーデレクルークはちょっとしたことでカッとなり、仲間とケンカをしてしまう。その結果、彼は上官から軍の精神科医ダベンポート医師デンゼルワシントンの診察を受けるよう命令を受ける。

反抗的な態度で、ダベンポート医師にも何も話そうとしないアントワン。そんなアントワンをダベンポート医師は忍耐強く彼が話し出すまで週一回の診察を続けた。1時間の診療時間中黙り続けるアントワン。ダベンポート医師はアントワンに無理強いすることなく何週も待ち続けた。そんな彼の粘り強さに根負けしたアントワンは辛い過去を少しずつ話し始める。

子供の頃虐待を受けていて人格的に問題を抱えてしまい、それを克服する話。と聞くと、こう言っては悪いけどぶっちゃけ珍しいお話でもなんでもないんだけど、それでもやはりアントワンがダベンポート医師の力を借りて成長していく姿を見るのはとても清々しいものがある。誰にも話せなかった、話したくなかった子供の頃の精神的、肉体的、性的虐待の話をアントワンは少しずつダベンポート医師に心を開いていく過程で話していく。それと同時に現在のアントワンの恋や、ダベンポート医師自身が抱える問題なども語りつつ、観客の心に染み入るようにスムーズに物語は展開する。ダベンポート医師を演じるデンゼルワシントン自身が監督をしている。彼の監督第一作目だ。デンゼルワシントンが監督をしたと聞くと、この映画の誠実な作りにもとても納得が行く。

欲を言えば、ダベンポート医師と妻サリーリチャードソンの関係をもう少しだけ時間を割いて見せてほしかったというのと、アントワンの彼女シェリルジェイブライアントとの間にひとつくらい波乱があっても面白かったかなぁとは思うのだけど、これは実話の映画化ということなので、あまりフィクションとしての波風を立たせなかったということなのかな。

最後にアントワンが亡くなった実の父親の妹ヴィオラデイヴィスや他の親戚たちにあまりにも温かく迎えられたところは「えー、これはちょっとウソっぽいなぁ」と思ってしまったけど、その辺ももしかしたら実話のまんまかもしれないので、勝手にウソっぽいとか言っちゃったら怒られるかな。

ものすごくストレートな物語で単純と言えば単純ですが、とてもいいお話だし、デンゼルワシントンはもちろんですが、当時新人だったデレクルークの演技も素晴らしいです。

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母べえ

2011-08-18 | シネマ か行

この作品が公開されたとき「母べえ」ってどっかの方言で「お母さん」のことなのかなぁって思ったんですが、これはこの家族独特の呼び方で父べえ坂東三津五郎がユーモアのある人で、家族にそれぞれ「べえ」をつけて呼ぼうって決めたってことらしい。というわけでこの家族は、父べえ、母べえ吉永小百合、初べえ志田未来、照べえ佐藤未来とそれぞれを呼び合っていた。

昭和15年。ある日の夜中にいきなり特高警察がどかどかと家に入ってきて家の中を引っ掻き回した挙句、ドイツ文学者である父べえを逮捕して行ってしまう。それからは父べえの教え子である山崎(山ちゃん)浅野忠信と父べえの妹、久子おばさん壇れいに助けを借りながら、母べえを筆頭に女3人で肩を寄せ合って戦中戦後を生き抜くことになる。

悲惨な時代を描く作品だけど、随所にユーモアがちりばめられていて、ほっと一息つかせてくれるシーンも多い。山ちゃんが初めて父べえの面会に行って、泣き崩れてしまうところとか、照べえがまだ9歳なので、食べ物に執着してしまっているところとか笑えた。

一家の長が思想犯で捕らえられたのだから、もっと近所や職場や学校で冷遇されただろうと想像するけど、ここで描かれるのは初べえが学校で教師にまでいじめられてつらいと告白するシーンと母べえが父親中村梅之助から勘当されるシーンくらいかな。山田洋次監督の焦点はそこではなかったということかな。

まぁなんと言っても戦中の話だからやっぱりそこここで泣けますわな。父べえが獄中で死んでしまうとことか、山ちゃんが出征しちゃうとことかはもちろん泣けたんだけど、12歳という複雑な年齢であの時期を過ごした初べえの辛さが一番かわいそうだったな。親戚の変なおじさん笑福亭鶴瓶にからかわれたりさー。それでも母べえがおじさんは嘘のない人だと言うのを聞いてちゃんと最後には理解していたんだよね。そういうところがとても健気で可愛かった。志田未来って好きとは思わないけど、やっぱ演技はものすごくうまい子だなぁと思いました。

しかし、これ母べえはどう上に見積もっても30代後半だよねー。あの当時で12歳と9歳の子どもがいてたとえ晩婚だとしても現代のように40代で産んだと考えるのは難しい。その役に吉永小百合っていうのはちょっと苦しすぎやしないかい?鶴瓶が母べえから見ても“親戚のおじさん”なんだよねぇ…浅野忠信が恋心を抱いてるんだよねぇ…いやー、く、苦しい。このキャスティングはなんとかならんかったんかねー?ただただ吉永小百合を使いたいだけじゃないの。山田洋次監督から見たら吉永小百合もまだまだ娘っ子に見えちゃうのかなぁ。こういう役を演じられる女優がいないっていうほど、日本の女優さんはダメじゃないと思うよ。中高年の観客層にアピールする女優を使いたかったってことなんだろうけど。その辺、思いっきり目をつぶらないともう作品全体が苦しいです。

それは置いておくとして、最後に死の床で照べえ戸田恵子に「死んで父べえに会うなんてイヤだ。生きている父べえに会いたい」と言った母べえにまた泣けたなぁ。何十年も経ってもやっぱり愛する父べえに生きて会いたい。そう言える母べえがとても素敵に思えたし、そういう人だったからこそ父べえと愛し合って付き合っていたんだろうなと思えた。何はともあれ、とーーーーっても山田洋次監督っぽい作品でした。

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カーズ2

2011-08-11 | シネマ か行

前作を見たときにはまぁまぁかなーと思ったので、「2」を見に行くつもりはなかったのですが、「面白かったよー」という従姉の情報を聞いて行くことにしました。しかも、その従姉の息子、小学校4年生にはちょっと理解できない内容で大人向けの面白さだと聞いたので俄然行く気に。

今回主役がメーターラリーザケイブルガイに変わってましたね。しかも話の内容がすっかりスパイものに。「1」から引き継いでいるのはラジエータースプリングスの仲間たちくらいであとは「1」とは全然関係ありませんでした。

新しい燃料アリノールの宣伝のため世界を舞台にグランプリシリーズが行われるということでマックイーンオーウェンウィルソンも参加することに。今回はメーターもピットチームに加えるということで一行は日本へ。そこでなぜかメーターはイギリスのスパイフィンマックミサイルマイケルケインとホリーシフトウェルエミリーモーティマーにスパイと間違えられて、陰謀と戦う彼らの作戦に巻き込まれる。確かにこの陰謀っていうやつがちょっとややこしいので小学生には難しいかもしれませんね。初めから大人向けに作ったのでしょうか?

日本、フランス、イギリス、イタリアとそれぞれの土地でそこの車が登場するので車好きの方ならいろいろと楽しめるのではないでしょうか。ワタクシは車に詳しくないので細かいところまでは分からないけど、それでもそれぞれの国の車くらいは分かれば結構楽しいです。フィンはやっぱアストンマーチン?って思ったけどどうやら初期のBMWモデルみたいですね。マイルズアクセルロッド卿エディイザードはレンジローバーっぽいけど、彼の場合あんまり車種が分かるといろいろマズイ大人の事情があるかもしれませんね。

メーターは「1」のときから笑わせてくれるキャラだったけど、今回かなり暴走しています。途中、「ちょっともううるさい!」と思うところもあるにはありましたが、デキの悪いメーターだけど、車の知識はピカいちだし、マックイーンに対する友情も誰よりも深くてちょっと見直しちゃいました。これ、スパイものでシリーズ化なんてこともあるのかな。今度はマックイーンも一緒にスパイ活動するとかっていうのも面白いかも。

最初のレースの舞台が日本なんだけど、ここでperfumeの「ポリリズム」が使われていることはテレビでさんざん言われているのでほとんどの方がご存知だと思います。ワタクシはperfumeが好きなので、知っていてもやっぱり実際に映画の中で流れるところを聞くとすごく嬉しい気分になりました。エンドロールにも使われていたしね。「ポリリズム」が流れている間、ちょっとセリフをうわの空で聞いてしまいました。

この作品でも“アメリカ人から見たニッポン”っていうものが登場しますが、相撲とか歌舞伎とかを車がやっているのを見るだけでも楽しかったし、レースの応援でスポーツ観戦でよく見られる長い風船を叩いて掛け声をかけるとかっていうのとか、しゃべるトイレとか、大げさではあるけど、デタラメの日本ではないところが良かったな。

「1」での仲間たちの活躍が少なかったのが少し残念ではありますが、「1」から「2」までの間に亡くなってしまったポールニューマンが声を担当していたドックハドソンは同じく亡くなったことになっていて、スタッフの彼への敬意を感じました。

上映する国によって、エキストラで登場するキャラクターを変えてたりするらしく、そういう細かい気配りがとてもピクサー作品らしいですね。他にも街の風景とかでかなり細かいところまで色んなスパイスがちりばめられているようですから、何度見直しても新しい発見があるかもです。

上にも書いたようにこれからスパイものでのシリーズ化するとしたら、「2」はこれからの作品への架け橋的な作品という位置づけになっていくのかもしれません。


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奇跡のシンフォニー

2011-08-05 | シネマ か行

これもハードディスクに撮りだめしていたものです。

原題は「August Rush」で邦題が「奇跡のシンフォニー」ですが、まさしくこれは「奇跡の」物語。最近テレビでなんでもかんでも「奇跡、奇跡」っていうのが耳について「こんなん全然奇跡ちゃうやん」とか「人の努力を奇跡って言うな」とかツッコミを入れてしまうのですが、この物語はまさしく「奇跡」です。てか、奇跡以外ではこんなことほんとにありえない。つまるところは完全なファンタジーってことです。

ロックミュージシャン・ルイスコネリージョナサンリースマイヤーズとの一夜限りの出会いで妊娠してしまった有名チェリストのライラノヴァチェックケリーラッセル。お腹の子は交通事故に遭ったときに生まれることなく亡くなったと聞かされていたが、11年後ライラの父親が実はその子を施設に送っていたことを告白され、息子を探しにニューヨークへ。

一夜で別れてしまったライラを想いながら11年のときを過ごしたルイス。ライラとの別れのあと自暴自棄になり音楽はやめ、いまは証券マンとして成功していたが、やはり音楽とライラを忘れられずニューヨークへと向かう。

自分の両親がいつか迎えに来ると信じながら孤児院で暮らすエヴァンフレディハイモアは両親から受け継いだ音楽の才能に溢れていた。ある日ニューヨークの街角でストリートキッズを通して彼の音楽的才能を目覚めさせてくれるウィザードロビンウィルアムスに出会う。ウィザードは子供たちにストリートオパフォーマンスで稼がせていた。

エヴァンが忍び込んだ教会の牧師に音楽的才能を認められ、牧師はエヴァンをジュリアード音楽院に入学させる。ジュリアードでメキメキと才能を伸ばしセントラルパークでの公演を控えたエヴァンだったが、ウィザードは目ざとくエヴァンを見つけ連れ戻してしまう。

本当の親子3人がニューヨークですれ違いながら、最後の再会までハラハラさせながら見せてくれるところはなかなか良かったと思います。初めて会った人とビルの屋上で妊娠しちゃうようなことしちゃって大丈夫?とか、SAFE SEXはどこへやらとか、同じタイミングで全員がニューヨークへ?とかエヴァンの天才ぶりがすご過ぎるとか、いくら天才でも素性のまったく分からん子をジュリアードが入学させるか?とか、一夜限りの男が11年ぶりに突然隣に来て手をつながれたらもっとビックリした顔するやろうとか、下手したら顔も覚えてないくらいちゃうん?とか、もうツッコミたいことは山ほどあるんですけど、ケリーラッセルとジョナサンリースマイヤーズが美しいから許す。音楽も美しいしね。ケリーラッセルとフレディハイモアは吹替えだけど、ジョナサンリースマイヤーズは本当に歌っていて素晴らしい歌声ですね。

あとは、施設の職員でテレンスハワードがせっかく出ていたのに、彼の良さがいまいち活かされてなかったのが残念でした。

ジュリアード出身のロビンウィリアムスに「古臭い理論なんか教えるな」ってジュリアード批判させるところが一番ウケたかな。これ、本当に卒業生だからこそシャレになるセリフだったと思います。

色んなことに目をつぶってファンタジーとして割り切って見られる方は楽しめる作品だと思います。


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クロエ

2011-06-09 | シネマ か行

これでここんとこのアマンサイフリッド祭りは終了です。

アトムエゴヤン監督にしては随分分かりやすい設定の作品だなと思っていたらフランス映画「恍惚」のリメイクなのですね。ワタクシはエマニュエルベアールのファンなのですが、なぜか「恍惚」は見逃していますので、これがこの脚本そのものも初見ということになりました。

倦怠期の夫デビッドリーアムニースンの浮気を疑う妻キャサリンジュリアンムーアは、娼婦のクロエ(アマンダ)に夫を誘惑するように依頼し、それにどのように夫が反応するかを報告させる。ちょっと「ロンハー」のスティンガー的な感じ?

クロエはデビッドを誘惑し、そのときの様子を生々しくキャサリンに報告していきます。クロエとデビッドの情事の様子は、映像ではそんなに詳しく映し出されず、主にクロエの証言として語られます。それを聞くキャサリンの表情、仕草。このあたりはもうジュリアンムーアの独壇場。アマンダちゃんは天性の美しさでクロエを演じていますが、妖艶さで言えばジュリアンムーアに比べるとまだまだ小娘の域を出ず、頑張ってる感ありました。

なぜかクロエはキャサリンに執着するようになり、この二人もなんだかおかしな関係に陥っていきます。クロエは初めから妙にキャサリンを慕っている感があって、母親からもらった髪飾りを執拗にキャサリンにあげたがったりして、なんかクロエって母親との問題があった子?みたいなことを匂わせているのかな?その辺はやっぱりアトムエゴヤンなので勘ぐってしまうのですが、特に物語の中での説明はありませんでした。

アマンダサイフリッドは非常に魅力的なのですが、そこまで悪女という演出ではないので、後半夫と和解するところでは「ミドルエイジクライシスもの」って感じになっていますね。妻キャサリンを演じたジュリアンムーアは「キッズオールライト」でもミドルエイジクライシスゆえにレズビアンなのに男性と浮気をし、「クロエ」ではストレートな女性なのに女性と浮気をしてしまうというなんとも複雑なことになっちゃってますなぁ。

クロエはキャサリンに捨てられた腹いせに息子マイケルマックスシエリオットに手を出したりしちゃうんですけど、一番かわいそうなのはこの息子だよねー。自分を誘惑してきた可愛い女の子が、自分のおかんにキスしてるとこを目撃しちゃうわ、目の前でおかんがその子を突き飛ばして窓から落ちて死んじゃうわ。あの子ってまだ未成年の設定ですよね?あんなのトラウマになっちゃうよ。

結局、クロエが話してた旦那の浮気話は全部クロエのでっちあげと分かって、クロエが死んでハッピーエンド???みたいになってるけど、もうあの家族、わだかまりありまくりやん!あんなんで元の家族になんか戻れるかーーー!

と、現実的なことを言いつつ、、、(おそらく家族愛も知らず)娼婦という仕事をしていたクロエは初めてキャサリンを通して母親に愛されているような幸せを感じ(ゆがんた愛情表現であっても)、映画の冒頭でのクロエの独白にあった「あなたを満足させれば私はあなたの夢となって生き続ける。そうすれば私は消えたって構わない」をついに現実のものとし、たとえ死んでもキャサリンの心の中で生き続けることで満足したのではないか。それが最後のキャサリンの髪をまとめていたクロエの髪飾りに象徴されている、と娼婦クロエのもの悲しさにスポットを当てて考えることもできるなぁと思いました。

これでアマンダ祭りはいったん終わっちゃいましたが、これからも彼女には注目していきたいと思います。


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キサラギ

2011-05-23 | シネマ か行

これ完全に密室劇なので舞台が先かと思っていたら映画が先でその後の舞台化だったんですね。

売れないグラビアアイドル如月ミキ酒井香奈子が自殺して1周忌に集まったファンサイトの5人。彼らの中の一人が如月ミキは自殺じゃなくて殺されたのだと言い始めたところから騒動が始まる。

5人はそれぞれネットで知り合っているのでハンドルネームで呼び合っています。
家元:小栗旬
オダ・ユージ:ユースケサンタマリア
スネーク:小出恵介
安男:塚地武雅
いちご娘:香川照之
という具合。

このオダ・ユージがミキは殺されたのだと言い出すわけだけど、最初はいちご娘を疑っていて、そこから意外な全員の素性がバレていく過程が非常に面白い。強いて言えば、スネークがちゃちゃ入れ過ぎてちょっとうっとおしいけど。

こういう類の密室劇は、演技がまずしっかりしていて、セリフのテンポが良くて、筋書が面白くてグイグイ引っ張られる感じで見ているこっちもつい前のめりになるようなものじゃないと面白くないのだけど、その点この作品はそれをすべてクリアしていると言えるだろう。最初は少しテンポが悪いようにも思えるけど、尻上がりに良くなっていく。

全員の素性が分かって、実はただのいちファンに過ぎなかったのはキミちゃんのことなら自分の右に出るものはいないという理由から「家元」と名乗っていた主催者だったというのが分かるシーンでは、あまりにも家元が憐れで心が痛んだのだけど、この事件の真相が明らかになっていくにつれて、実は彼こそがもっともミキちゃんの心の支えとなっていたのだとなるくだりはなかなかうまくできているなぁと感心してしまった。

ただエンドロールでミキちゃんの歌に合わせてオタクたちが踊るシーンは良かったけど、“如月ミキ”という存在はみんなの回想の中のぼやけた存在であったほうが良かったように思う。あそこでミキちゃんの歌う姿は逆にないほうが良かったんじゃないかなぁと。あと、次の年にまたみんなが集まって新たに問題提起をする人物宍戸錠が現れるシーンも、物語の中で十分二転三転しているだけに、「もうええわ」という気分になってしまった。

というわけで、エンドロール以降はちょっとイマイチだったけど、それまでは十分に面白い作品でした。


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キッズオールライト

2011-05-17 | シネマ か行

ゴールデンウィーク中に見に行った作品なので、ちょっと前のことになるのですが。

以前から賞レースで話題になっていた作品だし、アネットベニングがゴールデングローブ賞を受賞したりしていたので興味があり見に行きました。

ニック(アネットベニング)とジュールスジュリアンムーアがレズビアンカップルで、精子バンクから精子を提供してもらってそれぞれが一人ずつ子供を設けている。ニックの子が長女のジョニミアワシコウスカでジュールスの子が長男のレイザージョッシュハッチャーソン。4人は“普通”ではない家族の形ではあったが、幸せに暮らしていた。そんなある日、レイザーは好奇心から自分たちの生物学上の父親を知りたいとジョニに相談する。

18歳になったジョニは希望すれば精子提供者を知る権利がある。レイザーの代わりに電話をかけたジョニは精子提供者のポールマークラファロを突き止める。ポールも子供たちに会うことを承諾し、二人は両親に内緒でポールに会いに行く。

レイザーは両親にそのことをバラしてしまい、今度は家族全員でポールに会うことにするのだが、ニックはポールに対して敵意をむき出しにしており、一方ガーデニングを仕事にしているジュールスはポールの家の庭を作ることになる。

最初父親に会いたがっていたレイザーはあまりポールに良い感情は持っていないようだった。そして、レイザーに頼まれて仕方なく会ったジョニのほうが教育熱心でしつけに厳しいニックへの反発もあり、ポールに魅かれていた。

庭を作るために毎日会うようになったポールとジュールスはいつしか男と女の関係になってしまう…

完璧なハーモニーを保っていた家族の中に侵入者が現れてその調和が壊れるというのは、珍しい設定ではないし、それがレズビアンカップルという世間では一般的でない設定であるというだけで、妻(便宜上役割的にニックが“夫”でジュールスが“妻”と思われるので)がその侵入者と浮気して、子供たちにも夫にもバレちゃってさてどうする?みたいなのって、それこそ珍しくもなんともない。ポールとジュールスを不倫関係にした時点でちょっとなんか物語の本質が違う方向へ行っちゃったなぁという感じがして残念でした。ただ二人とも女性というだけで、要は倦怠期の夫婦に訪れた危機みたいなことになっちゃってましたね。まぁ、それはそれで語るに足ることだとは思うけど、ちょっとこの物語の焦点にしてはいけないような気もした。結局ポールは悪者みたいになっちゃったしね。もう少しジョニたちが大人になればまた会えるときが来るかもしれないけど、わだかまりは消えなくなっちゃったもんな。

ニックは家族の中でやはり“父親”であり、“夫”的な役割だろうから、ポールが現れたときの反応は子供たちやジュールスのようにはいかないだろうし、ニックがポールに冷たかったのはそれで良かったと思うけど、お酒を飲み過ぎるところやジュールスに対して冷たい態度だったりしたところが、なんかちょっと情緒不安定な人みたいになっていたのもちょっと意図がぼやけてしまった気がする。純粋にポールへの拒絶だけを描いたほうが良かったような。

ニックがポールに言う「あなたは侵入者でしかない」「自分の家族が欲しければ自分で築きなさい」というのはまさにごもっともな意見なんだけど、ポールは自分からこの家族に侵入してきたわけではなくて、子供たちが望んだ結果だったわけだから、ちょっとポールも災難だったよね。確かにジュールスを奪って子供たちと暮らそうなんて虫が良すぎたわけだけれども。

ニックの子供が優秀なジョニだったり、ジュールスの子がイージーゴーイングなレイザーだったり、本筋ではないディティールがわりと細かく描かれていたり、レイザーがポールに父性を求めるという単純なものではなかったことにも好感が持てるのに本筋が一番もったいない感じのする作品でした。中心的に登場する5人の演技は全員すごく良かったと思います。まぁ定評のある人たちばかりですもんね。レイザーを演じたジョッシュくんが可愛くて良かったなぁ。

結局子供たちが本当に良い子たちで良かったね、みたいな話です。ま、それは二人の子育ての賜物ということなんでしょうけれども。


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