その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

映画 阿弥陀堂だより

2009-02-02 01:53:45 | 映画
 5,6年前のGWに家族旅行で、信州の飯山市・木島平村を訪ねました。遠くに残雪の残った山を望みながら、川の土手沿いに菜の花が一面に咲き乱れる風景の美しさや和やかさに、日本の田舎の原景を見るようで、非常に記憶に残る旅となりました。

 この映画(阿弥陀堂だより)は、その飯山市、木島平村をロケ地として、日本の農村の四季を描きながら、都会の生活に疲れた夫婦が、人としての在り方を見直していく映画です。こう書いてしまうと、いかにも「都会の生活は人情味がなく、日本の田舎は自然と人情があって良い」というステレオタイプ的なイメージを持つかもしれませんが、そうではなく、田舎の生活を通じて、「自然」「一生」「死」「四季」「夫婦」を見つめなおすという映画です。

 自分が旅行で見て、感じた風景がそのまま映像化されているのに感動しました。まさに、この美しく、素朴な映像が心に残ります。また、夫婦役の寺尾聡、樋口可南子、お梅さんの北林谷栄、小百合役の小西真奈美、恩師の田村高広などなど、各俳優が存在感の高い、演技をしています。そして、小百合がお梅さんの語りを村の広報誌に掲載する「阿弥陀だより」の文章や、節々に出てくる味のあるセリフ(「人は姿が大切。姿は人の心を映すから」などなど)、胸に残ります。

 淡々とした地味な映画ですが、見終わると、深く感動する映画です。(2009年2月1日 機内にて) (★★★★★)

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