その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、映画、本などなどについての個人的覚書。SINCE 2008

中野 晴啓 『退職金バカ 50歳から資産を殖やす人、沈む人』 (講談社+α新書、2016)

2017-05-19 08:00:00 | 



 50歳を超えてからの資産形成についての入門書。要は、信頼できる投資信託を長期で持ちなさいというのが要旨なのだけど、単なる資産運用に止まらず、ライフスタイルへのアドバイスが多く含まれる。

 「見栄を捨てて、生活をリセットする」「会社でなく仕事にロイヤリティを持つ」「50代は金融資産と人的資産の充実が課題」など、どこぞやの本や雑誌で見たことがあるようなアドバイスが多いが、生きてくこと、お金を貯めることにはこうした基本がやっぱり大事ということなんだろう。

 では、その信頼できる投資信託を6000本の商品の中からどう選ぶか?ポイントは次の6つと言う。(1)継続的に資金が流入していること、(2)信託期間が無期限であること、(3)幅広く分散投資されていること、(4)積立投資ができること、(5)分配回数は年1回で、かつ再投資型であること、(6)販売手数料がノーロードで、信託報酬がリーズナブルであること。きっとこの条件で絞っても6000本が数百本になるぐらいでは?という気もしないではないが、ここでもやっぱり基本が大事ということだろう。

 ただ、ちょっと首を傾げるような説明もある。積み立て投資を勧めるのは良いとしても、その一番のメリットは「1年、2年と買い付けていくうちに、自分がいくらで買ったかわからなくなる」(p166)ことと言う。これはちょっと読者を馬鹿にしてないか?いくらで買ったか分からなくなったら、上がっているのか、下がっているのかもわからないということで、これじゃ運用にならんではないか。本気で言ってるんだろうか?

 まあ、そういったことは差し置いても、運用入門としては悪くないと思った。

目次
第1章 50代のリアル
第2章 これが新しい「50歳からの生き方」
第3章 50代の資産運用法
第4章 生活をリセットすれば、老後資金は捻出できる
第5章 老後の資産運用に適した投資信託の選び方

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