その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ターナー展 @東京都立美術館

2013-10-13 06:32:15 | 美術展(2012.8~)


 ロンドン在住時に幾度も足を運んだテート・ブリテンのターナー・コレクションが上野にやって来るとあれば行かないわけにはいかない。いつもは会期終了間際にあわてて駆け込む美術展だが、今回は開幕早々に出かけた。

 正直言うとテート・ブリテンでは、ターナーの絵はじっくり見ると言うよりは、いつも何となく見ていたし、似たようなモチーフの絵がとっても沢山あるので、今回来日した展示作品を観ていると「こんなのあったけなあ~」という絵が沢山あった。リッチモンド・ヒルからの風景画(これはテート所蔵ではないが)や旅行で出かけた湖水地方のバタミア湖の絵など、懐かしい再会が幾つかあった。ターナーの絵にはイギリスの風土が染み込んでおり、絵そのものから描かれた風景を超えたイギリスの匂いを発している。涙が出そうになった。


《バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨》
1798年発表 油彩、カンヴァス 88.9×119.4cm


≪2010年10月に訪れた湖水地方の風景 バターミア湖ではなかった気がするが雰囲気は同じ≫

 私自身がそうだったが「ターナーの絵はちょっと」と思う方は是非、本展覧会に足を運んで、ターナー漬けになってみてほしい。回顧展なので、若き日(14歳で王立美術学校へ入学)から晩年に至るまでのターナーの絵が鑑賞できる。きっとイメージが変わるに違いない。イギリスやイタリアの風景画が山盛りで、この展覧会だけでバーチャル欧州・英国旅行も楽しめる。イギリスの風景画とイタリアの風景画の光の違いを是非、楽しんでほしい。イタリアを描いた絵には、イギリスから南欧に旅して人が感じる強い太陽の光に対する羨望が滲み出ている。

 いつもながらであるが、夜間開館日の閉館1時間半前入場をお薦めしたい。ゆっくり、マイペースで鑑賞できる。

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2 コメント

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Unknown (守屋)
2013-10-13 21:17:08
こんにちは。

 凄いですね。ターナー展が年末まであって、1月に入ると「ラファエル前派」、そして三菱美術館でもう一つイギリス絵画の展覧会が続き、イギリスの近代絵画を観たいのであれば、東京に滞在した方が良いのではと感じます。

 ずっと改修工事中だった、テイト・ブリテンの正面部分の工事が来月中旬に終わるそうです。ラファエル前派のコレクションが戻るのは先ですが、どのように改修されたかを見学にくる人は多いだろうと思います。
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Unknown (かんとく)
2013-10-14 19:35:10
守屋さん
そうイギリス美術ラッシュです。来年の2つの展覧会はセットで2000円の前売り券が期間限定で売り出しているので早速購入しました。
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