教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

ツインが来た (下巻)

2010-02-10 00:10:59 | 科学
(・・・前回からの続き)



さて前置きはおいといて、街へ繰り出してみる。

前のコスモに比べたら異常に運転しやすい。
パワーはぜんぜん無いのだが、ロータリーに比べたら低速トルクは体感的にはこっちのほうがあるかもしれないくらいに乗りやすい。
おまけに超ショートホイールベースなために、ビックリするくらい取り回しやすい。
無駄に長かったコスモのノーズに比べたら実にコンパクトにできているわけで、右折左折のときもありえないくらいにやりやすい。

いやまあ、たぶんコスモの乗りにくさが異常だったのだろう。
当時それはわかってて買ったのではあるが。

とはいっても乗りやすいのはせいぜい40~50km/hくらいまで。
スピードを出したときのコスモのあの安定感には絶対に叶わない。

コスモはタイヤが地面に張り付いているかのような安定感があり、けっこうな危険速度で運転してもハンドルに車体の信頼感がひしひしと伝わってくる感じがした。
これは後ろから抱きしめられて運転しているような感じと言ったらいいかもしれない。

だがツインにはそれがない。
ないどころか、フツーの車にさえ劣るだろう。
安定感がないおかげで、ハンドルを握ったときの体感速度が5割増しくらいになっている。

なんでそうなのかは良くわからない。
ホイールベースが短いからなのか。
ボディー剛性が低いからなのか。
サスペンションがケチだからなのか。
バネレートの違いによるものなのか。
重心の高さの問題なのか。
タイヤの太さの問題か。
FRとFFの違いなのか。

原因はそれら全部だったとしてもおかしくない。
かたやコスモは高級車のスポーツカー、かたやツインは軽規格。
まあ比べるほうがムチャだというものだ。

じつはスピードを出したときの乗り味の違いはこれだけではなくて。
ロータリーエンジンをぶん回したときの、あの原始の脳を直撃するような魂の躍る快感。
ああいうのはレシプロな上に軽なんだから望むべくもないわけで。

これはツインが悪いわけでも何でもない。
ロータリーエンジンでなければ何を買ってもそうなのだ。
逆にいうと、コスモはその1点のためだけに全てを捨ててまで得る価値を見出して当時買ったのだ。
そして買っただけの価値は確実にあった。
何とも惜しいものを亡くしたものだ。

かつていいことを言ったヤツがいる。
コスモは「美人だけど彼女にしたくない女」だと。
これは実に言いえて妙なわけで、実際乗ってみるとその意味がよくわかる。
買うときはある種の覚悟を要求した。
そしてその覚悟に耐えられる精神を持つ者のみがコスモとの暮らしを楽しめた。

ツインにはそういうのはない。
良くも悪くもお手軽だ。
いい意味でも悪い意味でもオモチャのような車なのだ。

ツインにコスモほどの愛情を注げられるだろうか。
良くて同等か。
コスモを上回るというのは今から無理な気がするように思う。

まあ、そんなことは今さら悔やんでもしかたがない。
何はともあれ新しい恋人が来たわけで、それはそれで新しい暮らしを楽しむのだ。