3月22日に「共通番号」法案が、衆議院で審議入りした。反住基ネット沖縄では安倍伸三総理大臣と新藤義隆総務大臣宛に、「共通番号」法案の再提出に抗議し撤回を求める要請文を送付している。以下に同要請文を引用して紹介したい。
「共通番号」法案の再提案に抗議し撤回を求めます
政府は3月1日、国民一人一人に番号を振り、所得や年金、税務などの個人情報を一元的に管理する「共通番号法案」を国会に提出、22日に審議入りしました。衆議院本会議で安倍首相は、3年後には金融など民間に量拡大すると答弁、昨年末解散で廃案となった民主党提案の「マイナンバー法案」よりさらに人権を損なう恐れの内容となっています。マスコミや市民の間から個人情報漏洩への危惧や「国民総背番号制」につながるとして批判の声が高まっています。
私たち「住基ネットに反対する市民ネットワーク沖縄」は、昨年1月政府総務省が開いた「マイナンバー制」シンポジウムにおいて、国民の「プライバシー権」や「自己情報コントロール権」をないがしろにする同法案をただちに廃案にするよう反対の意見を述べました。また県出身の国会議員に対し同趣旨の要請行動を行いました。しかしながら安倍政権は、廃案になった民主党案を踏襲しながらも、さらに劣悪な内容の法案を提出したことに強い怒りを禁じえません。私たちは、以下の理由から「共通番号制」法案に反対するとともに法案の撤回を強く求めます。
①「共通番号」法案は、国民のさまざまな個人情報を国が一元管理するものであり、最も重要な人権の一つであるプライバシー権を著しく侵害するものである。さらに3年後には金融や医療など官・民両分野での拡大を言明しています。さらにこの法案では、迅速・効率的な情報管理の名のもとにデータマッチングを行う情報システムの運用を明記。憲法で保障された自己情報コントロール権をないがしろにしています。
②前民主党政権は、「マイナンバー」「納税番号」として活用することで所得の正確な把握を図り、「給付付き税額控除」制度などと真に手を差し伸べるべき人に対する給付を実現することが出来る等をその導入の理由としました。しかし自民党・公明党政権は「給付付き税額控除」より「軽減税率」による低所得対策を取る方針であり、同法案の提案理由が不明確です。
③「共通番号」法案では、刑事事件の捜査への個人情報の提供も明記されており、軍事基地に反対する人や自然破壊に反対する人など国にとって好ましくない市民を識別監視するために個人番号が使われることが懸念されます。
④アメリカや韓国では、個人情報漏えい事件、成りすまし犯罪が多発し、深刻な社会問題になっています。日本も同様な犯罪が起こるのは必至であり、大量の個人情報を一元的管理する「共通番号」制に反対します。
以上、引用終わり。
3月13日付北海道新聞の社説も、「共通番号法案」の問題点が列挙されていて分かりやすい。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/448671.html
共通番号制度は、低所得者層への配慮どころか、年金、医療、福祉予算の切り下げのために利用される危険性がある。膨大な個人情報を利用したい財界の思惑や、自民党が「憲法改正草案」で目ざしていることとの関連で検証する必要もある。数の力で一気に可決されないよう声をあげましょう。