アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

ブリューゲル「バベルの塔」展@国立国際美術館

2017-09-10 | 展覧会

久しぶりの投稿です!いろいろあって、美術館に出かけるのもほぼ2カ月ぶり。眼が「美」に飢えていました。秋はガシガシ出かけますヨ~。

さて訪ねたのは「バベルの塔」、オランダ・ボイマンス美術館からの24年ぶりの来日です。ブリューゲルの「バベルの塔」は、現存している作品が2点あり、もう1点もウィーン美術史美術館で見ました。今回の作品と、構図はほぼ同じですが、塔の階層も少なく、人物も大きめで、何となく明るい牧歌的な雰囲気が漂います。対するボイマンスの作品の方が後に描かれたのですが、塔がずっと巨大になり、そこここに人間の営みが垣間見れるものの、神のいる天を脅かす建造物の威容さが際立っているように感じます。

ところが!実際この作品を目にして驚くのは、イメージに比べてずっとずっと小さいこと!情報として、とても細密な描写であることを知っているものだから、実際の作品を前にすると、どうやってこれほど細密に描くことができるのか、驚嘆してしまいます。会場にめっちゃ拡大したパネルが貼ってあるのですが、その大きさでフツーに見えるほど描き込まれているのです!今の感覚からすると、いったん大きいサイズで描いたものを縮小コピーしたんじゃないか?!って思えるほどに。ひええ~~

そして会場で作品を眺めていると、ブリューゲルがこの大きさ(小ささ?)で描いた意味、みたいなことを考えてしまいました。調べてみたら、先に描かれたウィーンの作品の方が2倍ほどの大きさがあるとのこと、それよりも塔をずっと大きく描いているのに、サイズは小さくしたんだ…。細密描写の技術の誇示もあったのかもしれませんが、以前の記事で書いたように、宗教をテーマに教訓を込めた作品を多く描いたブリューゲル、このサイズに人間の愚かさ、傲慢さを眺める神の視点が込められていたのかもしれません…。

ブリューゲルの油彩画はこの1点だったのですが、版画作品を多く見ることができました。そこには、この展覧会のもうひとつの目玉であるヒエロニムス・ボスの異様な空想世界の影響も見られ、独特の系譜を生み出しているなあと感じました。ボスってどんな変な人やったんやろ~、と思ってたら、裕福で名士で工房も運営して…と、けっこう現実的な人だったようで。意外!

展覧会の前半は、1500年前後の宗教画や木彫などが展示されており、北ヨーロッパらしい素朴な表現が興味深かったです。「表現」の進歩というか変遷っておもしろいなあ!

展覧会は10月15日(日)まで。休日はけっこう混んでいます。ぜひお早めに!


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