アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

感性は感動しない-美術の見方、批評の作法(椹木野衣)

2018-07-29 | 

 

感性は感動しないー美術の見方、批評の作法 (教養みらい選書)

美術批評家の椹木野衣さんの著書はいろいろと読んでいて、特に最近の大著「後美術論」や「震美術論」は(両方とも厚さ4センチくらい!)内容が深くて重層的で、すごくおもしろいんですが、ブログに記すには自分の力量と気合が足りなくて、なかなか取り組めていません。

この新著は、おそらく若い方(中高生とか?)向けへのメッセージとなっているのでしょう、語り口がとっても丁寧で、椹木さんの生い立ちやプライベートも垣間見れて、親密な感情を抱かせてくれる「随想録」となっています。

冒頭に収められている、本のタイトルにもなっている「感性は感動しない」というエッセイは、25校もの大学の入試問題に取り上げられたとのこと、ちょっと歯応えのある文章に、多くの受験生が頭を悩ませ、美術を鑑賞する感性について思いをめぐらせたとすると、それは素敵なことではないでしょうか?!

この本の、特に冒頭のエッセイと第1章「絵の見方、味わい方」には、私が考えて続けている「なぜ美術に惹かれるか?」という問いに対する答えが、とても明確に書かれている気がして、読みながら「そうだ、そうだ」と膝を打ちました。

以前、ヨコトリで押し寄せた「作品は、世界をまるごと切り取っている!」という感動。それをどう受け止めるかは、提示された私に委ねられている。世間の評価に惑わされず、自分の感じるところを信じたいが、自信を持つためには、やはり「本物」「実物」と心ゆくまで向かい合い、必要な知識を補っていくことだ。作品の力を、まるごと「かたまり」として受け取れること、そのような場所。それが私にはたまらなく魅力で必要なんだと思う。

久しぶりに書籍についてブログを書きました。このところ、読書量がメチャメチャ減ってます…。加齢に負けず、もっと本を読みたいのですが。8月には、夏休みの宿題として、ひとつ読書感想文をアップしたいと思います。乞うご期待!


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2 Comments

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Unknown (yoshikoo)
2018-07-29 08:32:17
椹木野衣さんの著書読んでみたいと思いつつ、なかなか手が出せていません。
art-aroundさんの記事を読んで、「読んでみたい」から、「読まなくては!」に変わりました。いつも刺激される記事や知らなかったことを教えてもらえる記事が多くて、ブログ楽しみに拝読しています。
yoshikoo様 (art-around)
2018-07-29 12:42:14
コメントありがとうございます。また、いつもブログをお読みいただき、大変嬉しいです!
椹木さんの本は、中には読んでいて難しい本もあるのですが、「アウトサイダー・アート入門」なども読みやすく興味深かったです。
一番おすすめは「震美術論」!美術への見方が一変するように感じました。
ぜひ読んでみてください。感想などもお聞きしたいです!

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