アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

『格闘から生まれた絵画  白髪一雄展』

2009-08-31 | 展覧会
 8月31日、子どもたちにとっては夏休み最後の日(でもないか?)。尼崎市総合文化センターに『白髪一雄展』を見に行ってきました。

 滋賀県立近代美術館も1点所蔵している彼の作品は、大画面に絵の具の痕跡も荒々しく色彩がのたくっているようで迫力満点です(今回も借り出され出品されていました)。いつも解説で問います。「これはどうやって描いたでしょう?」お客さんは??と絵の具の痕を見つめ、やがてそこに人の足型を見つけます。「足!」「そーです。天井から吊るされた紐につかまって、足で描かれたんですよ!」

 この白髪さんの作品をたくさん見れるめったとない機会。初期の具象画も珍しかったですが、この画法を確立してから、本当に一貫して描き続けた事がすごいなあ!と思いました。
 ほとんどの作品が2m、3m以上あるような大きな作品で、絵の具が画面のそこここに固まったまま残っており、絵というより絵の具による造形作品といった感じ。そこにあるのは、絵の具の物質感と、色彩の迫ってくるような迫力、そして作家の肉体性とでもいいましょうか、足を動かすスピード感とか、踏みしめる重量感とか、身体の動きそのものが画面の閉じこまれているようです。

 白髪さんは、1960年前後に関西で活躍した前衛美術集団「具体美術協会」のメンバーであり、当時はまさに絵の概念をひっくり返すような新しい絵画だったのではないでしょうか。

 会場では、90年代の実際の制作風景が上映されていました。絵の具を画布に叩きつけ、足で形づくっていく様の一部始終はとても興味深かったです。奥様の献身的な補助も素敵でした。天台宗に帰依していて、見るからに思慮深そうな白髪さんの汗まみれになって集中している姿は何だか修行のようにも見えました。

 久しぶりに展覧会で図録を購入。2000円でいろいろ当時の資料なども載っていてお得だったので。ポスターもオマケにつけてくれて、嬉しかった。

 白髪さんは、昨年春惜しまれつつ84歳で亡くなり、没後初の回顧展。9月6日(日)まで。
コメント (4)
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夏休みワークショップ@滋賀県立近代美術館

2009-08-07 | 美術館
 ホーム・ミュージアムの滋賀県立近代美術館にて、普段は展覧会の解説でサポーター活動を行っているのですが、毎年の夏のお楽しみ、子ども向けのワークショップにスタッフとして参加してきました。今年ではや4回目。
 
 きょうは、「アートのぼうけん!フシギくうかん」と題し、アートゲームとミニ美術館づくりを行いました。参加した子どもは、幼稚園児から小学校高学年まで総勢26名。
 まずは、アート博士に扮した学芸員が、子どもたちのハートをがっちり鷲掴みにし、常設展示を鑑賞に連れ出します。子どもたちは博士に群がるように、その説明をききながら、作品に眼をこらします。みんな、まなざしがキラキラ!博士の質問にも面白い答えがポンポンと飛び出します。
 そして、次はアートゲーム。プロジェクターで写し出される世界の名画とジャンケンしたり、フシギな絵に想像をめぐらしたり。
 最後に、ミニ美術館(1/40サイズ)づくりに取り組みました。子どもたちが喜ぶキラキラグッズを豊富に取り揃え、美術館の壁にミニ作品とさまざまな装飾品がくっつけられ、すっごく派手な美術館がそこここで出来上がりました。(写真撮り忘れて残念です)
 毎年思うのですが、子どもたちのアイデアってとっても突飛。そして細かい出来にこだわらない大胆さで、そう来るか!って驚かされるのです。面白いなあ!!

 今夏は、1プログラムしか参加できませんでしたが、当美術館は、普段から作品づくりワークショップがさかんに実施されています。子どものうちから美術館で楽しいワクワクする体験ができるのっていいですよね。こうして美術館という場所に愛着を持ってもらえるといいなあとほんとうに思います。
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