ドーン!と、迫力のこのチラシと、Twitterの噂「ほとんどの仏像が、ナマで全方位ビュー!」に魅せられて、大阪市立美術館に出かけました。
お寺の展覧会の中心的な展示物となる仏像ですが、この展覧会は「木」という素材が切り口。な、なんと飛鳥時代、7世紀につくられた仏像(これは、さすがにケース入り)から、平安・鎌倉・江戸・昭和の仏像まで、時代によって異なる作風なども概観できるのですが、全体を通して、日本という国にとって、樹木がいかに身近で恩恵をもたらす存在であったのか、それがために木を崇め仏像に仕立てさせた、日本人の樹木に対する深い思いを知ることのできる内容となっています。
チラシの気になる仏像は、重要文化財「宝誌和尚立像」(平安時代)。中国南北朝時代の僧・宝誌は観音の化身で、割れた額の中から金色に輝く十一面観音像の姿が現れたという説話があるそうです。よくよく見ると、鑿の跡がハッキリ見られて荒々しい印象。不思議な説話を、なんとか形にあらわそうとした、仏師の心情を想像してしまいます。十一面観音とか、千手観音とか、優れた技術が必要とされる造形は、もちろん信仰心があってのこととは思いますが、やはり腕に覚えのある仏師にとっては、挑戦しがいのある仏像だったのだろうなあ…とか思ったり。
今回、全方位からナマで見ることのできる仏像たちは、臨場感たっぷり。宗教色がほとんどないからこそ、仏像ひとつひとつに、すごく親密感を覚えます。あらためて横顔に注目してみると、どの仏さまも、耳がでかい!長い! 作り方がわかる展示も興味深かったし、木材のちがいなどもわかりました。やはり鎌倉時代の仏像は、躍動感に充ちていて魅力的ですね。今、奈良国立博物館で開催されている「快慶展」への、よい導入にもなっていたようです。
「木×仏」展、「快慶展」とも、来週6月4日(日)まで。秋には、東京で「運慶展」も開催されますね!