アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

モリムラ@ミュージアム

2019-02-04 | 美術館
1月の寒い日、大阪市内から南に向かった水辺のまちへ、話題の美術館を訪ねました。11月にオープンした美術家・森村泰昌の作品を展示する美術館「モリムラ@ミュージアム(M@M)」です。
 
場所は北加賀屋、以前、やなぎみわさんのデコトラで芝居を鑑賞した名村造船所跡のあるところ。森村さんとこの場所のご縁は、2016年に国立国際美術館で開催した大規模な個展のとき、会場で上映された映画をこの地で撮影をしたことにより生まれました。このエリアは、約半分の土地を所有する千島土地株式会社が、「北加賀屋クリエイティブ・ヴィレッジ構想」として芸術文化の発信・支援を進めている貴重なまち。千島土地の芝川社長は、芸術のパトロンとして、大阪が誇れる存在ですね。
 
美術館は、昭和50年代に建てられた家具屋の倉庫を改修して作られたとのこと。入口から階段、そして引き戸なんかがレトロですが、改修された2階の展示場所は広々と白くて現代的。森村さんが名付けた「白い闇の回廊」「時をかける箱庭」という二つのギャラリーが展開されています。他にもミニシアターや書籍などが置いてる窓際のサロン、ショップなどがあり充実しています。
 
開館記念展は「君は『菫色のモナムール、其の他』を見たか?森村泰昌 もうひとつの1980年代」。オープニングにふさわしく、森村さんが本格的に作品を発表し出した1980年代の作品が取り上げられていて、森村さんが森村さんとなるまでの作品を見られる貴重な機会でした。
 
最初期には写真を撮っておられて、グラスやフォーク、ナイフなどを建築物に見立てたモノクロ写真「卓上の都市」シリーズは、とても理知的で静謐で、その後の混沌(私のイメージ)とした作品からは想像できない。他にも、抽象的でグラッフィクデザイン的な作品や、80年代らしいニューペインティング風、イメージを貼り込んだアッサンブラージュなど、多彩な作品が。自身の表現へ模索し続けている様子が伺えました。
 
そして衝撃のデビュー作となる「肖像(ゴッホ)」。本展ではベルギーでの美術展のために作られた四方が1メートルを超える大型版で見ることができました。ギョロリとした目のリアリティ、それ以外の絵に見える部分はどうなっているんだろう?不思議でまじまじ見てしまいます。
 
奥のギャラリーでは、森村さんがロダンの彫刻に扮してる(?)濃い写真作品が展示されていました。これは、1986年にギャラリー白で行われた、初のセルフポートレイトによる個展「菫色のモナムール、其の他」の再現展示。当時の写真と見比べると、会場の広さも似ていて、時代が遡ったような、まさに「時をかける箱庭」だ〜と思いました。
 
それから30年以上。このとき、自分は何にでもなれる、と確信を得た(のでしょうか?)森村さんのその後の活躍は、ご存知のとおりです。本当に、唯一無二のアーティストですよね。
 
オープニング展は残念ながら1月27日で終了してしまいましたが、次なる展覧会は、3月15日からの「モリメール」。まもなく大阪にフェルメール展がやって来ますが、なんと、あなたもフェルメールの絵になれる!森村さんの変身術を体験できる斬新な展覧会とのこと。自分が参加するのは勇気いるけど、どんな風に作品が作られるかを目撃してみたいな〜!
 
とってもワクワクできる美術館「モリムラ@ミュージアム」。大阪に来られましたら、ぜひ、お出かけくださいませ!
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