アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

見つめて、シェイクスピア!展 ~美しき装丁本と絵で見る愛の世界

2015-02-22 | 展覧会

引き続き、我が地元の滋賀県立近代美術館の展覧会をご紹介いたします!

16世紀イギリスを代表する劇作家、おなじみのシェイクスピアが昨年生誕450年を迎えたのを記念して開催された本展は、大きく2つの内容で構成されています。

パート1はシェイクスピアの物語の名場面を絵画や版画にした作品や挿絵本の原画など。シェイクスピアの代表作のストーリーとともに、そのドラマチックさに触発された作家たちによる作品が展示されています。四大悲劇をはじめ簡単に紹介されているストーリーを読んでみると、いや~、ホンマにドロドロの人間模様ですな…。いつの時代、土地においても、人間の愚かさって不変だし、そういうことが人々の興味の的なんでしょうかね~。

紹介されている作家は、なんと!ドラクロワ、ウィリアム・ブレイク、ダリ、シャガールなどけっこう有名どころもいっぱい。ドラクロワの描く繊細そうなハムレットは素敵だった…。どの作家が描くどの場面も、まさにドラマチック!そんなところが、作家たちの創造性を刺激したのでしょう。

古くて立派な本もたくさん展示してあって興味深かったです。昔の本は文字のページの合間にカラーの挿絵がふんだんに挟まっており、画集のような美しさ。楽しいわ~。

そしてそれに続くパート2は、シェイクスピアの作品をテーマにした約80点の装丁本の展示です。これは、イギリスの装丁家協会「デザイナー・ブックバインダーズ」が2013年に行ったコンペティションの入賞・入選作品。京都でご活躍の日本の作家、藤井敬子さんの作品もありましたよ。

シェイクスピアの作品をイメージした本のデザイン、特には表紙がめちゃくちゃ凝っています。同じ作品でもこんなにバラエティ豊かに発想できるんだと、見ていて本当に楽しかったです。展示は表紙が見えるようになされていましたが、どうも、本誌も凝ってそうで、できれば手にとってパラパラとしてみたかったです。本好きにはたまりませんな~。

イメージしていたもの(?)より、ずっと楽しい展覧会でした。シェイクスピアの作品のことをよくご存じの方は、いっそう楽しめるのではないでしょうか。シェイクスピアの作品は、想像力豊かに文学、視覚に訴える絵画、そして立体的に五感で感じる芝居と、いかようにも堪能できます。しかも国境を越えて!改めて素晴らしさを実感しました。

展覧会は、4月5日(日)まで。桜のシーズンもまたぎますので、ぜひお出かけくださいませ!

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滋賀近美30年の至宝展

2015-02-01 | 美術館

1984年に開館した滋賀県立近代美術館が今年度(26年度)30周年を迎え、記念展覧会のひとつとして、いつもは企画展で使用している展示室を使って、当館の幅広い所蔵作品の中から、珠玉の名作を紹介するコレクション展を開催。残念ながら本日までなんですが、入場無料ということもあり、思いの外多くのお客様がお越しくださっているようでした。初めて来館される方も少なくなく、このような機会に当館の素晴らしい所蔵品に触れていただけるのはとても嬉しいですね。

滋賀県立近代美術館は、オープン以来<日本美術院を中心とした近代の日本画><郷土滋賀県ゆかりの美術><戦後アメリカと日本を中心とした現代美術>を3つの柱としたコレクションを行っています。特に郷土ゆかりの女流日本画家・小倉遊亀さんについてはまとまった作品を所蔵し、それらを常時鑑賞できる展示室があります。

今回の記念展覧会では、やはり主要なお客様層に合わせてか、日本画の作品の占める割合が多かったですね。目玉はやはり速水御舟の「洛北修学院村」でしょう!先般の日曜美術館でも紹介されていましたが、そのブルーとグリーンが混然とした色合いにうっとりし、よくよく見ると緻密な筆に驚嘆する、スバラシイ作品です!そこに流れるひんやりとした空気感まで伝わって来るようで、いつまでも見ていたくなります。

現代美術のコーナーは、展示室の最後の1/3くらい。けっこう抽象画で勝負されてました。アーシル・ゴーキーやマーク・ロスコの名品が展示されてましたが、日本画からの流れだと、やや分が悪いですね。抽象画もとってもおもしろいことをもっとわかっていただきたいものです。

さて、この展覧会に合わせて、美術館サポーターによるイベントも行われました。「おしゃべり美術館」は、サポーターがお客様を、作品について語り合いながらエスコートするイベント。個人的に作品を解説してもらえるとあって、期間中、好評を博していました。

昨日、私もサポーターの一人としてこのイベントに参加させていただきました。私の場合、まだまだ作品に対する知識が不足していて不十分なご案内だったと思いますが、おそらく、美術館で作品を見ていると、いろんな感想が浮かんでくると思うので、そんなことを口に出す、受け止めてもらえる、というだけでも鑑賞者にとって楽しい体験になるのではないでしょうか。(…と願います~)

先日参加したACOP鑑賞会に刺激されましたが、深い対話を引きだすというのは短い時間では難しいし、やはり予め十分なトレーニングが必要なのだな~と改めて感じました。

企画室でのコレクション展は本日で終了ですが、いつもの常設展示室では、引き続き珠玉のコレクションを展示中。今、滋賀県が誇る洋画家・野口謙蔵の作品が7点も展示されています。あまり知られていない画家だと思うのですが、なんかイイ!のです。中でも「ヒヨドリ」は、最高にかわいくて大好きです。この機会になんでこんなにイイ!と思うのか、探ってみようと思っています。

こちらは3月8日まで展示。ぜひ、足を運んでみてください!

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