Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「LOGAN/ローガン」

2017年06月04日 20時15分54秒 | 映画(2017)
誰にも訪れる人生の黄昏時。


ウルヴァリンが主役のX-MENスピンオフ作品はこれが3作め。

前作の「ウルヴァリン:SAMURAI」は、観たときの気分もあってかなり高得点を付けたのだが、ミュータントがあまり出てなくてX-MENシリーズじゃないとの声もちらほらと。そう言われればそうだ。

ただ「スピンオフ」という言葉を好意的に捉えれば、本編に囚われることなく作ってもまったく問題はない。例えばアクションの裏舞台をコメディーにしたっていいわけで、ウルヴァリンシリーズはミュータントの戦いではなくウルヴァリンという一人の男の生き様を描いた物語という考え方ができる。

とは言いつつも今回は同時に、2000年の「X-MEN」から出演を続けてきたH.ジャックマンが演じる最後のウルヴァリンであり、その意味ではスピンオフでありながら本編シリーズの区切りともなっている。

これだけの人気シリーズの結末を作るのは相当勇気と覚悟の必要な仕事だったと思う。

しかし、人気がある故に連載を延々と続けるコミックや、シリーズが完結しないうちにリブートと称して仕切り直してしまう作品が散見される中で、本企画はファンに対して誠実な姿勢を示したものと評価したい。

背景はさておき、最も重要なのは映画の中身である。

舞台は近未来の2029年。長年の戦いを経てさすがのウルヴァリンの治癒能力にも陰りが見えていた。ミュータントの仲間たちも消え去り、メキシコの田舎でかつてのプロフェッサーX:チャールズと細々と隠遁生活を送っていた。

この時点でもはや華々しい特殊能力とはかけ離れている。本作のタイトルが「ローガン」であるのは、能力が衰えた結果として残った生身の人間を前面に出したものだ。

生傷がなかなか癒えないローガン、身の回りのことができない上に時々発作に見舞われるチャールズ。老いた2人の姿はあまりに痛々しい。

しかし肉体以上に痛々しいのは、彼らが意義深い人生を送ってきたと顧みることができないところにある。

あれだけ命を懸けて戦ってきたにも拘らず世の中は何も変わっていないように見える。神から与えられし能力を自分は無駄遣いしたのではないか。

これはミュータントだけのことではない。年を取って自分の死を意識したときに必ず向かい合うに違いない。

そうした閉塞的な状況に現れる一人の少女・ローラが、迷えるローガンを導くことになる。

繰り返しになるがこれはミュータントの話ではない。死を間近に控えた男がどう終末を受け入れていくかの物語だ。

ローガンとチャールズが最後に味わったひとときの安らぎ。おそらく否定的な意見も出ると推測するが、戦い続けた男の一つの終着点として十分ありだと思う。

最後のローラが十字架を斜めに立て掛け直す場面はさりげなくも印象的だった。マーベル作品なのにおまけ映像がないという点にも作り手の覚悟を見た。

(85点)
ジャンル:
ウェブログ
コメント   トラックバック (3)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 「メッセージ」 | トップ | 「ちょっと今から仕事やめて... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

3 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
LOGAN/ローガン (試写会) (風に吹かれて)
最後のウルヴァリン 公式サイト http://www.foxmovies-jp.com/logan-movie6月1日公開 監督: ジェームズ・マンゴールド  「ナイト&デイ」 「ウルヴァリン:SAM
LOGAN/ローガン★★★★★ (パピとママ映画のblog)
「X-MEN」シリーズの中でヒュー・ジャックマンが17年にわたって演じてきた人気キャラクター“ウルヴァリン”の最後の戦いを描くヒーロー・アクション。治癒能力を失い、老いか......
「LOGAN/ローガン」 (或る日の出来事)
老いて、どう生きるか。