Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「ヤング≒アダルト」

2012年02月26日 00時06分47秒 | 映画(2012)
ふるさとは必ずしもやさしい場所ではない。


ほぼ万人が美しいと認めるC.セロンが限りなくイタい女性を演じていると話題の作品。

おもしろいのは、外見で極端な崩し方をしているわけではないのに、「イタさ」が確実に伝わってくる点だ。

自分は何故幸せになれないのか。一方で、見かけは地味だし、毎日何も考えずに田舎で暮らしているような人が、苦労なく幸せを手に入れられるのはどうしてなのか。

高校時代に周りにちやほやされ、更なる飛躍を求めて「ミニアップル」=ミネアポリスへ旅立ったあの頃の思い出は遠く、アルコール漬けで元カレを追い回す姿に誰もが哀れみの視線を向ける。

故郷を離れた人には、ほぼ必ずと言っていいほど、一定の年月を過ぎると不意に過去に呼び寄せられる時期が来る。

しかし、それが自分の中の弱気に端を発したものであった場合、故郷の歓迎は手厳しい。

そもそも故郷を出ようと思った理由があったはずなのに、行き詰まりを感じたときには地元を頼れば何とかなるのではないかと思う甘え。

田舎を出ずに暮らし続けてきた人たちは、その人たちなりの考えを持って生活しているわけで、安易な甘えの構造は完全に見透かされる。

恥に恥を塗り重ねボロボロになった主人公・メイビスがたどり着く結論は至極真っ当だ。

故郷は時によって厳しいが、もちろん優しく包んでくれることも多い。

本作は、いつかゆとりを持って過去や故郷を振り返れる日が来るようにと、メイビスだけでない、全ての働く人たちへのエールのように思えた。

(80点)
コメント (4)
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「TIME/タイム」

2012年02月19日 00時04分21秒 | 映画(2012)
歪んだ秩序はどうすればいい?


時間が通貨となる。

技術の発展が時短や効率化という言葉と密接な関係を持っている以上、この着想は突飛かもしれないが決して非現実的ではない。

と言うより、映画のように整理されていないだけで、本当の世界も既に似たようなものなのかもしれない。

富める者に力が集中する一方で、貧困層は世代を継いでも抜け出すことができない。

それなのに世界人口は爆発的増加の一途。食糧・エネルギーを考慮すれば、持続可能な社会づくりが困難なのは明らかだ。

そんな全体を見れば、力ある者が社会を守るために世界をコントロールしようとするのは実に自然な話である。

コントロールされる側の当事者として、主人公・ウィルは必死に闘う。持てる者の支配を打ち砕き、貧しい者への分配を始める。

この映画のおもしろいところはラストだ。

ウィルの行き着く先をハッピーエンドと捉えることができるか。ここに作中を通して描いてきた世界、つまりは現代社会の病巣の根深さが垣間見えるのだ。

ウィルを追い続けた時間監視局員のレオンは、出自は同じスラムだが、いち早く抜け出た彼は秩序を守り通すことを正義とする。主人公と対照的な人物でありながら、それなりのリスペクトを持って描かれていたのには好感が持てた。

分け合えば解決する問題ではない。かといって、何もせずに不幸が固定化されることも本来あってはいけない。

古い秩序が壊された後には、新しい秩序が作られるか混沌がはびこる。その中には間違いなく新しい不具合が生じる。

最も性質が悪いのは、そうした負の可能性に目を向けようとせずに、きれいごとを押し付けようとする者たちであろう。

それにしても、世界観を画で観るだけでも十分におもしろかった。時間のシェアや奪い合い。小ネタを話の筋に巧く絡ませていた。

基本的に見かけは25歳以上にならないという設定の中で、ちょっと無理のある方も散見されたが、J.ティンバーレイクA.セイフライドは、主役としての華もあって良かった。

(90点)
コメント (2)
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「麒麟の翼~劇場版・新参者」

2012年02月18日 01時58分13秒 | 映画(2012)
この選択は後に響くのだろうか?


一度行かなくなると映画館もなかなか行きにくい。

やっと時間が取れて、さて何を観ようかと考えたのだが、やっぱり濃いものは選べず、同じ上映開始時刻の「メランコリア」を避けて選んだのがこの作品だった。

父と子の愛がテーマだとか、JUJUの主題歌が割りと気に入っているとか、気になる作品であったことも事実。

ちゃんとした原作があるので、映画の評価云々というよりは、犯人は?真実は?と小説を読んだりドラマを見たりする感覚に近い。

2時間そこらで本を1冊読むのと同じわけで効率的といえば効率的。こうやって活字から離れて、ますます頭が悪くなっていく気もするが。

肝心の父と子の話は、何も情報がない中でてっきり阿部寛新垣結衣が父娘だと思い込んでいたので、ちょっと肩透かし。

でも、オチは考えさせられる重みのある曲球だったし、意外な人物が最後にやり込められるところはよかった。

ただ、映画としては全体的に薄っぺらい印象が残った。

例えば、事件の後に関係者がメディアの好奇にさらされるという設定があったのだが、都合のいいときだけ家の前にこちゃっといるのは極めて不自然だし画的に安っぽい。

あとそもそも推理ものを見てると思うこととして、主人公の洞察力やら目撃者の記憶力やら何でみんなこんなに超人的なんだ?とどうしても引っ掛かってしまう。

印象に残る行動をしていたと言っても、数か月前に一度会っただけの人の顔を憶えられるものかなと。私の記憶力が劣っているだけかのしれないが。

その辺りは活字として頭に入ってくる場合は感覚が違うのだろう。この類の違和感が拭い去れない限り、作品としての評価は難しいと言わざるを得ない。

(60点)
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