Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「スマーフ2 アイドル救出大作戦!」

2013年08月17日 16時26分17秒 | 映画(2013)
人畜無害の青いエキス。


家族用に楽しめるデキになっていると思う。スマーフたちは見かけよりかわいいし、人間界を含めてキャラクターも立ってる。

ドタバタの舞台となるパリの街並みはキレイで、エッフェル塔や大観覧車が映える見せ場もたっぷりだ。

でも、今はそれだけじゃダメなんだろうなとも思う。国際便のフライトで上映されている時間つぶしにこそハマる気がしてしまった。

ブランド力がないかぎり、何か極端に振り切れたものがないとウケるのは難しいとでも言えばいいのだろうか。北米でも、興行の数字を見るかぎり他の話題作に埋もれた格好になっているようだ。

そもそもよくわが国でよく劇場公開になったものだ。前作は声優と日本版主題歌にHey! Say! JUMPを投入するなど力を入れたが、それほどのヒットになったとは記憶していない。

今回は何を反省したのか、ゲスト声優はジャニーズを諦め高橋みなみとザキヤマこと山崎弘也という地味な布陣(ちなみに北米でのヒロイン・スマーフェットの声あてはK.ペリーだ)。

さらに北米で3D・2D同時公開とされていたところを2Dのみの公開にし、劇場公開に合わせた前作のテレビ放映をテレビ東京の平日昼の時間帯に実施。

まあとにかくやる気のなさしか伝わってこないデータばかり。Wikipediaによると、シリーズは3部作らしいが、次回作が映画館で観られることはまずないであろう。それなりにおもしろいんだけどね。

(70点)
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「パシフィックリム」

2013年08月17日 00時56分25秒 | 映画(2013)
ラブレター、受け取りました。


のっけから「カイジュー」である。映画監督は大概おたくの人が多いが、G.デル・トロ監督も例外ではなかった。

カイジューに立ち向かうイェーガーの造形や操縦方法などは、どこかで見たような気もするが、脚本も兼ねたデル・トロ監督のオリジナル。見事な世界観が観ている側を引き込む。

キャラクターは国籍・性別・性格等で簡単に色分けされ、これもマンガ的で親切。

イェーガーとカイジューの戦いは、どうしてもごちゃごちゃするのだが、「トランスフォーマー」シリーズよりは分かりやすい感じ。なんとか付いていける。

ストーリーはといえば、海底に開いた時空の裂け目から突如現れたカイジューに、人類が滅亡の危機に晒されるというもの。

当然、人類はそれに立ち向かっていくのだが、その経過がなかなか練られていておもしろい。

まず、世界が一致団結して生み出したイェーガーがカイジューを倒す。本来であればこれで映画1本撮れるところを、敢えて序章にしている。

連戦連勝して調子に乗ったのも束の間、カイジューはレベルを上げて次々に押し寄せてるようになるのだ。

イェーガーでは対抗できないと見切った人たちは街を防護壁で守ろうとするが、あっけなく突破されてしまう。そういえば「ワールドウォーZ」でも壁は役に立たなかったっけ。

絶望に暮れる世界で、僅かな希望を抱くレジスタンス。その中でも土壇場で力を発揮するイェーガーの動力がなんと原子力である。

でも、ここでまた興味深いのは、決して原子力を単なる危機突破の切り札として描くのではなく、功罪の陰の部分も見せるところ。

物事は完全な善でも完全な悪でもない。これまた未来を生きるために、人類は選択をしなければならないのである。

菊地凛子は見事にヒロインを演じ切っていた。パートナーを組む主人公のローリーが惹かれる設定もまったく無理がない。

そのローリー、最後の戦いに向かうところで「未来を見た」と言っている場面が印象深い。それがラストにつながるわけだから、やはり前向きな考えを持てない者に未来はないってことなのかな。

(80点)
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「ワールドウォーZ」

2013年08月11日 21時54分24秒 | 映画(2013)
ついに娯楽大作の舞台へ。


市民権を得たのははるか昔。今では全世界で様々なゾンビ映画が作られている(「桐島、部活やめるってよ」の映画では学生が作っていた)。

コメディも恋愛もなんでもござれのゾンビだが、実はシネコンの1ばん大きい箱で上映されるような大作って、せいぜい「アイアムレジェンド」くらいしかなかった。

「アイアム~」は大作だし面白かったのだが、W.スミスがひとりぼっちの世界という設定だったので、あまりスケールを広げる性質のものではなかった。

他方、本作は主役の国連職員OBジェリーにあのB.ピットを配し、とにかく金がかかった感が満載の作品に仕上がった。

わずかなほころびから感染症が爆発的に拡散し、街が一気に破壊されていく。「アイアム~」では描かなかった(描けなかった?)前日譚が、最大級の絶望感を携えて眼前に迫ってくる。

エルサレムに造られた巨大な壁が破られる光景は、不謹慎を承知で言えば巨大な構造物を越えて陸地を飲み込んだ津波のようであった。世の中には人間の知力が及ばないとてつもない存在があるのだ。

しかしジェリーは立ち向かう。それはすべての人類のため以上に、愛する家族のため。・・・って、この辺りの作り方が「娯楽大作」なのである。

もちろんご都合主義な部分も目立つ。数々の苦難に遭うジェリーの回復力が驚異的だったり、思わぬアクシデントに見舞われながらも、目的地から遠くないところに不時着していたり。

それでも、この世界観には萌える。

まず音で反応するゾンビというのがいい。物語の前半は、圧倒的なスピードで襲いかかり集団暴徒化した彼らが、獲物がいなくなり不自然な音がしなくなると、休眠状態となり、あの往年ののろのろゾンビと化すのである。

彼らに気付かれないように移動するジェリーたちの姿が、あるときからコントに見えてしようがなかった。「志村、うしろ!」って立場が逆だが。

そして何よりクライマックスだ。途中から展開は分かったが、それでも、爆発でも転落でもない要素で、あれだけのカタルシスが得られることがあるとは思わなかった。

エンディングには少し変化球が混じる。人類滅亡の危機が遠のいた瞬間から現れる人間のエゴ。

それは感染ではなく、そもそも人間に備わっているウィルスであり、これまで多くの不必要な戦いを生み、人の命を奪ってきたのである。

戦いはこれから。ジェリーの言葉は、すべての人間へと向けられている。

(85点)
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「アンコール!!」

2013年08月02日 03時27分07秒 | 映画(2013)
つのる思いを歌に込めて。


言ってみれば、とことん甘い。

容姿は違えど、誰もが明るく気さくなお年寄りたちが集まったコミュニティ。若くてキレイなセンセイは本業以上に熱心に指導にあたる。

少しぎくしゃくしている親子関係ながら真面目に仕事と育児に取り組むデキた息子に、生意気さのかけらも見当たらない完璧にかわいい孫娘。

自分を除いた周りにこれだけ恵まれて人生を見直せないとしたら救いの道はない、というくらいのお花畑設定なわけである。

でも憎めずについ微笑んでしまう。それはきっとおとぎ話だと考えれば辻褄が合う。

そして音楽の力だ。ロックやラップの曲を合唱に採り入れ、活き活きと歌い上げるお年寄りたちの姿は、それだけで観る側を惹きつける。

偏屈なじいさんであるT.スタンプ演じるアーサーだが、長年連れ添った妻・マリオンへの想いは、誰もが認めるまっすぐなものであった。

それはマリオンのすべてを理解し包み込む愛の映し鏡である。年老いて変化する夫婦という形態の最終理想形だろうと思う。

映画を観ながら思い出していたのは山口県周南市の事件。

高齢者に限らず人間が生きていく中で大切なのは社会への適応性だ。基本中の基本であり、それがありさえすれば結構幸せに生きられる。

アーサーは、これまで息子とうまく行かず、特定の友人以外には自分を閉ざす人生だった。それでもやってこられたのは、マリオンとの関係が良好であったとともに、マリオン自身が周囲との潤滑油になってくれたからに相違ない。

マリオン亡き後、裸になった自分と向き合い、改めて妻の偉大さを知るアーサーが、彼女を夢中にさせていたコーラスに関心を抱く設定はなんらおとぎ話ではない。こうした話の肝が強いことも本作の印象を良くしている要因なのだろうと思う。

繰り返しになるが、様々な歌の場面が時にはとても楽しく、時には心に迫ってくる佳作だ。

(80点)
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