Con Gas, Sin Hielo

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「猿の惑星:創世記」

2011年10月09日 00時05分53秒 | 映画(2011)
本当にろくでもない人間たちの世界。


評判がいいとのうわさ。そしてあの印象に残る猿の表情。

この秋いちばんと言っていいほど大きな期待を寄せていたんだけど、正直あまり好きな作品ではなかった。

画はよかった。

主役のシーザーだけでなく、様々な性格の猿たちが心情を含め描き分けられていたし、猿の疾走で葉を散らす街路樹や霧のゴールデンゲートブリッジなど、いわゆる"絵になる"場面も多かった。

でも、物語としてはどうだろう。

何を置いても残念だったのが、人間のほとんどが救いがたい愚か者だったことだ。

収容所の看守はもちろん、研究開発の上司や隣人のパイロット、人間側の主役である科学者のウィルでさえ倫理観の欠如が目立ち、人間的な深みに欠けていた。

あくまでシーザーを中心とした物語であり、人間はむしろ彼を引き立たせる添え物だと言ってしまうこともできるが、そこまで卑下されてもと感じてしまう。

猿の側も頭がよくなったと言いながら、あそこまで暴れ回った目的が「自由への脱出」なのか「人間への復讐」だったのかよく分からない。

目的地への通り道を人間が塞いだからと言えなくはないが、はじめにジェネシス社に寄ってるし、前者というのは無理がある。

そうすると後者なんだけど、大元の原因者のウィルはおとがめなしでいいのか?

他方、橋の上での「察知」やら「戦友への儀式」など神の域の賢さを見せる場面もあったりして、何かすんなり消化できなかった。

同じ条件の下で、猿は頭がよくなり人類は死に絶える。

確かにいまの世の中の流れを見てると、進化が猿を選ぶというよりも、人間を見捨てる日も近いのかもと思えてくる。

結局本シリーズ全般を通してのとらえどころは、人類の自己反省って点に集約するのかもしれない。

(55点)
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4 コメント

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Unknown (mig)
2011-10-09 10:47:58
ニンゲンが愚かだと描いたからこそ、
よかったんじゃないでしょうかね?
猿達に征服されていく地球。。。

私は見事にエンタメ映画として出来てると思い楽しめました~
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いつか必ず行き詰まる (クラム)
2011-10-10 00:28:45
migさん、こんばんは。

人間が愚かだということにはまったく異論はありません。
むしろ今の世の中で起きていることを見ると、
今さら感すら覚えるほどです。
個人的に、警鐘よりも救いや癒やしが欲しい気分だっただけかもしれません。
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クラムさん♪ (mezzotint)
2011-10-10 11:32:59
こんにちは。
リアルなお猿さんの表情や動きなどに観入り、
何も考えていなかった私・・・。

よく考えると事の発端はやはりウィルではないか?と思いなおしたようなわけですが。
確かにおっしゃるようにおとがめはなかったですね。
多分続編ありそうな感じで、一体この後どういう展開になるのやら。
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続篇 (クラム)
2011-10-16 01:49:57
mezzotintさん、こんばんは。

この作品の難しいところは、続篇を作ろうとすると
今度はオリジナル脚本とはいかなくなるかもというところですね。

先日(平日の昼間ですが)テレビで旧作を放映してたみたいなんですが、
録画し損ねてしまいました。残念。
どっちにしろ名作の焼き直しはハードルが更に高くなると思います。
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