ピアノと海と花との生活 Ⅱ

~創造する芸術~

音楽家のお墓  Vol.14  バルトーク

2007-11-27 | 音楽

     

          

           べラ・バルトーク(1881~1945)は、ハンガリー領のトランシルヴァ二ア

     に生まれ、ニューヨークで没した作曲家、ピアニスト、そして民族音楽

     研究家です。

     ピアノ教師だった母親の教えで、ピアノを始め、後に作曲も才能を開花

     させ、活躍します。

     バルトークは、特に民俗音楽の収集に努め、東ヨーヨッパだけでなく、

     遠くアフリカのアルジェリアまで足を伸ばし、精力的な活動を行いまし

     た。

       

        写真は、録音した民謡をききながら記譜するバルトーク。

     バルトークの作曲技法の特記すべきことは、自然界に見られる「黄金

     比(1:0.618・・・)を実際に音楽に利用し、黄金比を生み出す「フィボ

     ナッチ数列(1、2、3、5、8、13・・・)」で、これを主に音程に適用しまし

     た。 バルトークの音楽は、この厳しくも、透明な感性があふれています。

     時折ジャズのような音楽にもきこえ、快感です。

             

                   写真は2番目の妻ディッタと

        以前にⅠのブログで書いたことがありましたが、バルトークの研究

        をしている作曲家の神津善行氏によると、 この黄金分割率は

       、地球に住んでいるすべての生物が、何らかの形でもっているらしく、

        植物がこの黄金分割を使って、音を発している!  

        植物どおしお互いに連絡を取ったりしている!

        バルトークは、この植物と黄金分割の謎の鍵を、誰にも言わずに

        亡くなったそうです。

        不本意ながら、アメリカに亡命し、ニューヨークで白血病で亡くなった

        バルトーク。彼の音楽は、今でも斬新な響きで、後世の私たちに

        喜びを与えてくれます。

     

      お気軽に聴くバルトーク

           以前、’ビフォー アフター’という家の改築の番組で、古い家を取り壊すとき

           に流れていたテンポの速い曲、あれが、バルトークの「ルーマニア民族舞曲」の

           最終曲。速いテンポが、妙に画像にマッチしてましたよね(笑)

           ずいぶん前に、「管弦楽のための協奏曲」をスコアからアレンジしてエレクトーン

           の大会で弾いたことありましたけど、これもお勧め!

           4月の発表会でも、小学4年生が、バルトークのソナチネ、演奏しますよ。

           こんなところからお気軽にバルトーク、お楽しみ下さいね!

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オーケストラアンサンブル金沢第231回定期公演

2007-11-20 | 音楽

 

             

        2007年11月5日(月)  

     1)ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
       2)ロドリーゴ/アランフェス協奏曲
         3)(アンコール)タレガ/アルハンブラ宮殿の思い出
          4)(アンコール)ディアンス/タンゴ・アン・スカイ(ギターと弦楽合奏版)
             5)バルトーク/ルーマニア民族舞曲Sz.56
              6)バルトーク/ディヴェルティメントSz.113

         この日も前列2番目できけた!

           1曲目ロッシー二「セヴィリアの理髪師」序曲。軽快な曲、きいていると

           いつもオペラの場面が浮かんでくるのですが、ピヒラーさんの指揮だと、

           すごく緊張感があって引き締まっている感じ。

           次に村治佳織さん、登場。前髪を切って、完全にイメチェン!赤いスペイン風

           のドレスで、まるでお人形さんのよう!

           村治さんは、繊細な細い手で、タッチも繊細。アランフェスの2楽章は、深く

           力強いタッチもあり、フワッと音が拡がる感じが絶妙。ただ、マイクロフォンも

           やはり使っていて、あとからちらほろきいた話では、もう少しダイナミクスがつい

           ていてもよかったという意見も。本当に綺麗にまとめている。目をつぶって曲

           に入り込んでいる様子がすごく印象的。

           アンコール、特にタンゴがよかった!オケの弦楽といっしょの珍しいケース。

           休憩後のバルトークは興奮ものでした!

           「ルーマニア民族舞曲」は、よく生徒さんのコンクールにも使っていて、原曲の

           ピアノ版も大好きですが、ピヒラーさんとOEKの息もぴったり!

           この日のメイン「ディヴェルティメントSz.113」は難しい曲で練習も相当時間かけ

           ていたようですが、ピヒラーさんが第1ヴァイオリンを勤めるアルバン・ベルク四重

           奏団の中心的レパートリーのバルトークは、ものすごい迫力がありました。

           先日、ブーニンのベートーヴェンのピアコン3番は、ピヒラーさんとOEKの録音

           があったようですが、バルトーク、大変でも録音してほしい!

           この日のプログラムはこの間のナッセンさんのときと同様、大満足でした。

            

            
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音楽家のお墓  Vol.13   シューベルト

2007-11-13 | 音楽

 

           

       シューベルト(1797~1828)は、ウィーンで生まれ、ウィーンで教育

       を受け、ウィーンで没した数少ない生粋のウィーンの大作曲家です。

       早くから音楽の楽才を示したシューベルトは、11歳の時、皇帝の宮

       廷礼拝堂の合唱団に入り、ソプラノ歌手として主要な任務を任され、

       コンヴィクトと呼ばれた国立中学校で、高い水準の教養を身につけ

       ました。

       多くの天才作曲家は、早熟ですが、シューベルトは特に早く、彼の

       傑作として名高い歌曲〈糸を紡ぐグレートヒェン〉は17歳、〈魔王〉、

       〈野ばら〉は18歳の作品です。

       身長わずか153センチぐらいで、ぶ厚いめがねをかけた彼の個性

       は、不思議と人を惹きつける力があり、彼の周りには、常にいろい

       ろな友人が集まり、そのグループは、「シューベルティアーナ」(シュ

       ベルトの仲間達)に成長していきます。

       シューベルトの歌曲は彼のグループで歌う目的で書かれ、弦楽四重

       奏曲は父や兄達と演奏するため、ピアノ連弾曲は友人達と楽しむた

       めに、交響曲ですら、最初は仲間達の小オーケストラで演奏する目

       的で書かれました。

       シューベルトの存命中に、彼の交響曲が演奏されたのは彼が21歳の

       とき、交響曲6番のみで、、それから彼の交響曲は1度も演奏されない

       まま、シューベルトは世を去っていったのです!

              

       先日OEKの演奏できいた交響曲第7番〈ザ・グレイト〉は、彼が不

       特定多数の聴衆を意識して書いた最初で最後といわれる大規模な曲、

       そして有名な第8番〈未完成〉は、音楽協会のために書かれ、3楽章の

       途中まで書かれたものを役員が預かり、机の引き出しに入れたまま、

       43年も眠ったままだった!という音楽史上の謎になっています。

       演奏名技のために書かず、その要素を、意識的にさけていたシュー

       ベルトの作品は、その深い旋律の美しさが、心から生まれ、心に帰って

       いくすばらしい芸術作品となっています。

       生前、同じ街に住みながら、そのシャイな性格ゆえに、店で会っても

       話しかけることができなかった憧れのベートーヴェン。(彼には2回ほど

       楽譜を見せに行った記録がありますが)

       ベートーヴェンの亡くなった次の年に、わずか31歳でこの世を去った

       シューベルトは、ウィーンの中央墓地に、その遺言どおりのベートー

       ヴェンの隣で、のちのブラームス、ヨハン・シュトラウス、スッペらとも共

       に、美しい彫刻の墓石の中に眠っています。   

       (肖像画はごく最近発見されたもので、画家の名前はわかりません)

 

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オーケストラアンサンブル金沢第229回定期公演

2007-11-06 | 音楽

 

           

   2007年10月3日(水)      

        1)シューベルト/歌劇「アルフォンゾとエストレルラ」序曲
           2)シューベルト/交響曲第7番ロ短調D.759「未完成」
              3)シューベルト/交響曲第8番ハ長調D.944「ザ・グレイト」


大山平一郎指揮オーケストラ・アンサンブル金沢

           娘の強い希望で、1番前の席で並んでシューベルトをきく!

           最初の曲はあまり演奏されない曲。華やかな感じで、一気に流れます。

           「未完成」はあまりにも有名なシューベルトの名曲。

           なぜ、2楽章だけで終っているのか?ベートーヴェンの不滅の恋人が誰か?

           という謎と、2大音楽史上の謎・・・

           ヴィオラ出身で、今でも演奏もしているという指揮の大山さんは、

           渋く、落ち着いたシューベルトをきかせてくれました!

           この日のメインは、「ザ・グレイト」!

           何しろ長い!1曲が1時間近くある!

           シューマンが、’天国的な長さ’と評し、初演は長すぎる、といって拒否された曲

           でも、この日の演奏は、長さを感じさせないいい演奏でした。

           大山さんの気迫がこもった、繊細な構成。アンコールもなかったけれど、

           逆に、このシューベルトのシリーズにかける気合が感じられました。

           あの長い曲を、1番前で、娘もキンキンになってきけてよかった

 

       ベートーヴェンにあこがれ、死の床で天国に着いた幻覚をみて「ここは天国じゃない!

       ベートーヴェンがいないじゃないか!」と叫んだシューベルト。

       31歳という若さで、この世を去りますが、その強い願いで、お墓はベートーヴェンの

       横にあります。

     と、いうことで次回は久しぶりに音楽家のお墓シリーズ「シューべルト」

    です!          

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オーケストラアンサンブル金沢第230回定期公演

2007-11-04 | 音楽

 

            

  10月24日(水)

            1)ナッセン/2つのオルガナ
               2)コープランド/バレエ組曲「アパラチアの春」
                 3)ブリテン/チェロと管弦楽のための交響曲op.68
                  4)(アンコール)カルツネンによる即興演奏


オリヴァー・ナッセン指揮オーケストラ・アンサンブル金沢 アンシ・カルツネン(チェロ)  

      

           今日は大好きな現代曲ばかりのプログラム。

            身長が2メートルはあるんじゃないかという大きなナッセンさん、     

            でも指揮はすごく繊細で、

                           「おもちゃのノートルダム大聖堂:オルゴールの中身」という副題にぴったりの

                           素敵な1曲目、

            「機関:シェーンベルク・アンサンブル20周年を称えて」という副題の2曲目も

            おもしろかった。

            美しいコープランドのあとは・・・

            やっぱりすごかった!ブリテンの「チェロと管弦楽のための交響曲」

                           今年の4月、80歳で亡くなった、

            あのロストロ・ポーヴィチに捧げられた曲で、この日が日本初演。

            ソロのカンツネンさん、すばらしいテクニックで、

            前から4列目できいていた私は、もう釘付け!

            圧巻は、アンコール!

            指が弦を飛び跳ねているような、天才的超絶技巧!

            即興演奏だったそうです。

            目の前で、きけて見れた私は、もう幸せいっぱいの夜でした

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