ピアノと海と花との生活 Ⅱ

~創造する芸術~

オーケストラアンサンブル金沢第269 回定期公演

2009-10-25 | 音楽

 

                  

                  2009年10月22日(木)

         石川県立音楽堂 

       1・ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調op.27-1「月光」
       2・ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調op.57「熱情」
       3・ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調,op.73「皇帝」
       アンコール  ショパン 夜想曲第20番嬰短調ハ短調遺作
               ショパン ワルツ第6番変ニ長調op.64-1「小犬」
               ショパン 幻想即興曲嬰ハ短調

    この日の定期は、中村紘子さん、デビュー50周年記念コンサート。ソロ2曲のあと

    休憩をはさんでピアノコンチェルトという定期としては異例のスタイル。

    何といっても、このマイスターシリーズは、真ん中の1番前!まさにピアノの足元できけた幸せな

    時間。

    この日の中村さん、音がすばらしい!ご自分の弾いた音、全部を全身できいている。

    音楽の流れがすごい!中村さんは、その流れを、心から楽しんで、聴いていた!

    月光も熱情も、ものすごい華麗なテクニックと、表情と、テンポと、それが圧倒的なエネルギー

    となって、ホールに響き渡っていました。

    この日は、目を閉じて集中して音をきこう!と思っていったのに、目の前で繰り広げられる

    指の動きに目が離せず、難しいベートーヴェンのぺダリングも駆使されていて、

    次から次に中村さんが、’こう弾いたらこんな音になるのよ’という言葉の代わりに目の前に

    華麗なピア二ズムが押し寄せてくる感じ、多彩な音色、フレージングにただただ圧倒されました。

    『皇帝』は、中村さんが女王という貫禄の演奏。オケとの絡みは、すばらしいバランスで、

    オケのほうを見ながらのこの曲を知り尽くした、文字通り円熟の演奏。

    目の前の中村さんは、どんな音も、ものすごい集中力で、情熱で、目を見開いて、もうその

    オーラの強さに、気が遠くなりそうでした。

            

         中村紘子さんは、普段からものすごい練習量だということは知っていましたが、

         先日、NHKの朝の番組で、トークのあと、スーツ姿で、グラナドスを弾いていらっしゃる

         のをみて、その集中度と曲の完成度に感激し、

         レコーディングのためにずっと弾き込んで、今、すごい域に達しているのだろうなあと

         思っていましたが、まさにその通り!すばらしい演奏でした。

         大好きなホロヴィッツの全盛の頃の演奏みたいだった。

               

          前日は、音楽堂アワーとして、池辺晋一郎さんとのトークの時間があり、

          池辺さんのお得意のだじゃれを、巧みにかわして、楽しく、盛りだくさんの

          1時間半でした。私は、中村さんの書かれた本は愛読書で、音楽雑誌に

          書かれるエッセーも大ファン。

          この日のトークには、ずっと日本を代表するピアニストとして、世界を渡って

          来られた様子と共に、チャーミングなお話も満載。

          リパッティのグリーグのコンチェルトのレコードをいつもきいていた・・・私も

          大好き!マリア・カラスの追っかけをしていた・・・私の周りも小さい生徒まで

          カラスファンが多くて、今週初めもカラスのDVDをみてたところだったので

          思わずうれしくなったり・・・と紘子さんのトークに大満足の90分だったのです

             

            私がピアノを始めたのは5歳の時で、その時は能登の輪島に住んでいて、

            今、考えると、大変な状況でした。熱心な私の先生は、金沢でピアニストの

            来日公演があると、よく一緒に連れていってくださって、ケンプや、ラザール・   

            ベルマン、エッシェンバッハなど、今でも当時のプログラムをとってあります。

            でもその時は国鉄の時代で、輪島から金沢まで片道、鈍行(各停)で4時間近く!

            かかってました。幼い私が生まれて初めてきいたクラシックのコンサートが

            七尾であった中村紘子さんのリサイタル。

            そして高校2年のとき、輪島市文化会館というホールがようやく出来、その

            こけら落としに中村紘子さんが演奏されたのでした。

            そのとき、私が代表で、舞台で花束を渡して、楽屋に当時弾いていたショパンの

            バラードの楽譜を持っていったら、紘子さんが「ここにもショパンを弾いてる子が

            いるのね」と 《中村紘子 81’》とサインをしてくださったのです。

             

          

        今回、コンサート後に、その楽譜をもってサイン会に並んでいたら「まあ!古いわね」

          ととても喜んでくださってその下に《2009 再び》と書いてくださいました!

          何だか、今回のコンサートで、自分の幼少の頃から受験のころまで、珍しく思い

          出してしまって、感慨深く、長いUPになりました。

          音があまりによかったので、帰ってからすぐに、50周年記念CD9枚、DVD付きという

          BOXセットを購入!昨日到着したので、ほとんどききましたけど、

          すごいです!ものすごくいいです!どの音も完璧に整えられた環境で、

          2年半じっくり時間をかけたというものすごい集中した音がはいっていました。

          ライブでは、高揚感も感じられたソナタも、すごいです。ベートーヴェンはこういう風に

          弾いてもらいたかったんだろうなあという気がします。

          今年の9月から来年の7月まで、69箇所!長いツアーですね。

          その11番目の金沢公演だったのですね。

          本当に幸せな時間をありがとうございました。

         

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