行儀の悪い客が増えて来た

　最近、また客の行儀が一段と悪くなっているような気がする。新しい人が増えている時期でもあろうし、近いうちに改めて、手綱を引き締めた方が良いのではないか。

　一つは、席に座っている時に手を上げる高さの問題だ。あの劇場では、手を自分の頭の上に出さないというのが暗黙の了解だったはずなのだが ( 例外的に許容される場面もあるが、それは 1 ステージで 1、2 箇所の特別なシーンだけだったはずだ ) 、メンバーに手を振ったり、いわゆる「ケチャ」や「YKK」をやったり、フリ真似だのをしたりする時に、平気で腕を伸ばしきって、頭の上に振りかざしている。他の場所では、そういうことが許容されるかも知れないが、少なくとも AKB48 劇場では、みんながそれをやり始めたら、公演を気持ち良く見られない人が増え過ぎるということは確認済みであるはずだ。

　次いで、座席での幅の問題。先日、私が座ったところ、踊りまくるやつが片方の隣に、逆側の隣には手拍子やフリ真似で無自覚にはみ出して来るやつがいて、かなり辟易した。あの劇場の座席は、普通に座っていたって肩が触れ合うほどの幅しかない。そこで激しく踊ればどういうことになるか、どうして分からないのだろうか。フリ真似は気をつけないと隣の人の目の前に手を出してしまうし、たかが手拍子ですら、不注意にやれば、肘が隣にぶつかってしまう。フリ真似や手拍子といった、ごく当たり前のことですら、あの狭さの中では他人に迷惑をかけないよう、気をつけてしなければいけないのだ。しかも、自分が踊ったり、フリ真似したりしているせいで他人にぶつかっているにも関わらず、何をどう勘違いしているのか、逆恨みしてこちらに肘打ちを入れて来るに至っては、あきれるほかない。

　手拍子にせよ振り真似にせよ、肘を両脇に張らないよう脇を締めて、自分の肩幅と頭の高さまでの、前方のわずかな空間だけで小さくやる、というのが、あの劇場での暗黙のルールだったはずだ。そして、どうしても大きく踊りたいならば、最後列かカフェに行く、というのがマナーではなかったか。というか、本当はルールだのマナーだのと言う必要すらなく、周囲の人に迷惑をかけないように心がければ、必然的にそうならざるを得ないはずであって、常識ある人間なら、自分の頭で考えてたどりつくはずの結論でしかないのだが、頭が悪いのか、分かっていても他人に迷惑をかけて平気なのか、どちらかは分からないが、とにかくひどい。

　そういうことを知らない人がいるのだとしたら、誰かが教えてあげるしかないのだが、今は「良く来る人」どうしで教え合うということも期待できない。となるとやはり、劇場側から何らかのメッセージを発した方が良いのではないか。

　また、入場時の席取り、と言うより特に、立ち最前での場所取りが、かなりひどくなっている。我が物顔に占拠し、見知らぬ顔が来ようとするとにらみつけたり、威圧的なことを言ったりして追い払う。不当に広い幅を確保しておいて、知り合いが来た時だけ詰めて入れる。そういう振る舞いが常態化しているように見える。言うまでもなく、いつも同じような顔ぶれがやっていることだ。常連面をして我が物顔に振る舞うやつらは、劇場にとって、そしてより多くのファンを獲得していきたいメンバーにとって、迷惑でしかない。

　さらに、最近は公演中に友人どうしでしゃべりまくっているやつが多いのも気になる。もちろん誰しも、どうしても曲中に、隣の人と確認したい何かができてしまう、ということもあるだろう。でも、周囲に迷惑をかけないよう、相手の耳元で小声で話して、一言二言で済ませる、というのが、常識的に許容される範囲だろう。メンバーが歌っている時に、周囲かなり広い範囲に聞こえるほどの声でしゃべり続けているのは、論外だ。これはわりあい広範に見られる現象なのだが、中でも特に、前述の「立ち最前で不当に場所取りをしているやつら」が、かなりひどい。場内警備の人に注意してもらおうにも近くにいないし、こちらも公演中にうかつに動けない。それで放置するとかないものだから、よけいに増長していくありさまだ。

　やはり、たまにはコワモテの支配人氏が顔を出して、公演前に全体に向かって「みんな仲良く見ていただけるよう、よろしくお願いします」くらいのことを言った方が良いのではないか。一部の客が、ガチャなどで大金を注ぎ込んでいれば大きな顔ができると勘違いしているのは結構だが、他人に迷惑をかけることまで許容されるわけではないということを、しっかり示しておく必要があると思う。