ライオン舎でメスのネネが盛んに鳴き声をあげていた。そういえばネコの恋の季節が始まっている。
暫らくネネの様子を伺っていた。隣に子供を連れた家族連れがきたので、ネネと優しく声をかけてやった。
隣にいたまだ小さい姉妹も、オレの声に合わせてネネと声をかけてやる。
三人の声は段々大きくなり、それとともにネネの叫ぶ声が小さくなってきた。
オレがミャ~ゴ~と声をかけると、姉妹もミャ~ゴ~と声を合わせる。
するとネネがおとなしくなり、床に寝そべってしまった。
その様子を隣で見ていたお母さんが、「知合いですか」と声をかけてきた。
「オレの彼女です!!」と答えるとハハハハと大きな声で笑った。
隣のトラ舎では、カイが金網の向こうを行ったり来たりしていた。
そこでは撮りにくいのだが、アクリル板のほうへなかなか寄ってこない。
しばらく、カイの動きに合わせていったり来たりしていたが、アクリル板のほうに寄ったのでとっさにカメラを構えた。
とその時、俊敏な動きでオレの顔めがけて飛びかかかってきた。
一応ISOをあげてシャッタースピードも、1/250にはしていたが動きの早さについていけず被写体ボケしてしまった。
牙をむいた姿だけは、どうにか撮ることができた。
隣にいた親子連れが、後ずさりして怖かったね~と言っていた。
カメラが気にいらなのよねと小声で言っていたのだが
そうじゃないよ、オレがカイにポージングを頼んだからだよと内心思ったのはいうまでもない。