白昼夢とは広辞苑によると昼間にみる夢、非現実的な夢をさすと記してある。
暖かい日差しを浴びて、カンガルーが太陽の恵みを享受していた。
突き出した手で虚空をかくように伸ばしたり縮めたりと、余りスムーズではない動きをしている。
さらに目を閉じたまま太陽に向かい、鼻先を出して匂いを嗅ぐような動作をする。
異国で生まれ育ってもDNAに組み込まれた記憶が、オーストラリアの広大な平原に己が身を運んでくれているのだろう。
ヨンガラレックの沈船ダイブをするために、ケアンズからタウンズビルに向かったことがある。
バスの車窓から見える何処までも続く平原に、異様なほどたくさんのアリ塚が並んでいた。
その傍らでカンガルーが、あちらこちらでバスを見送っていた。
動物園の柵に囲まれた中で、あのような風景を夢見ていたのかもしれない。