テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

ジャガーノート

2011-04-05 | サスペンス・ミステリー
(1974/リチャード・レスター監督/リチャード・ハリス、オマー・シャリフ、シャーリー・ナイト、アンソニー・ホプキンス、イアン・ホルム、デヴィッド・ヘミングス、クリフトン・ジェームズ、フレディ・ジョーンズ/111分)


 以前勤めていた会社で同じ部署の後輩だったM君と居酒屋で映画談義に花を咲かせた時に、彼が今まで観た中で一番好きだと言った「ジャガーノート」をレンタルで観る。TSUTAYAの「発掘良品」の一品で、我が家に一番近い店では企画作品の中の人気ランキング1位だった。十数年ぶりに『一度観て下さいよ~』と言っていたM君のいうことを聞いてみたというわけ。
 M君はそれ程映画通でもないし、酒の席で先輩に付き合っただけの回答とは思っておりましたが、ま、予想通りですな。友達とワイワイやりながら観ている分には面白いかも知れないが、じっくり観るには粗が多すぎるB級サスペンスでありました。多少は期待してたのになぁ。

*

 イギリスからアメリカに向かう豪華客船ブリタニック号が大西洋の真ん中辺りまで進んだ頃、船会社の幹部の所にジャーガーノートと名乗る男から電話が入る。
 『ブリタニック号の至る所に時限爆弾を仕掛けたドラム缶を7個置いている。明日の夜明けには全て爆発して船は1200人の乗客もろとも海の藻屑となる。ドラム缶を無理に動かそうとしても爆発する。爆発を止められるのは俺だけだ。止め方を教えてもらいたければ50万ドルを支払って欲しい。支払い方法は・・・』
 船会社は犯人の言うとおり金を払おうとするが、政府の見解はテロに屈することは出来ないと、支払いには応じないようにとの指示。あいにくブリタニック号のいる大西洋は大荒れの天候で、乗客を救命ボートで降ろしても小舟では返って危険が増すばかり。警察は犯人の割り出しを急ぐと共に、爆弾処理の専門家チームをブリタニック号に向かわせる。
 さて、犯人は見つかるのか。爆弾処理チームは夜明けまでに起爆装置を止めることが出来るのか・・。

 主演は爆発物処理チームのリーダーのリチャード・ハリス。くわえ煙草ならず、くわえパイプが似合っております。彼の若い相棒がデヴィッド・ヘミングス。若い。
 船長にはオマー・シャリフ。乗客で、何故かいきなり船長とニャンニャンしちゃってる人妻がシャーリー・ナイト。この人妻は一人旅のようですが、船長との関係は曖昧なままです。
 冒頭で、ブリタニック号に乗ってる奥さんと子供二人を見送っているのが、警部アンソニー・ホプキンス。見違えるほどに若い。えっと~、奥さんが何故アメリカに向かっているのかは分かりません。夫婦仲が悪いわけでもなさそうだけど。事件が発覚した後は、イギリス国内で捜査の陣頭指揮を執ります。
 あと、船会社の幹部がイアン・ホルム。この人、年が分からないなぁ。

 時限サスペンスのお話で、おまけに爆弾処理の際のハラハラが楽しめる巧い設定なのに、見終わってみるとそのハラハラだけが印象に残って、時限サスペンスの方は間延びしててつまらない。間延びしてるのは、幾つかセレクトした乗客の動向を点描していくエピソードが締まらないからで、船長も船員も乗客も明日の命も保証されない状況なのに全然そんなムードは出てないし、従って狂言廻しになっている接客係の太った船員のユーモアも生きてない。
 犯人は殆ど声だけとかだけど、序盤と終盤以外は出てこず、つまり犯人対警察の攻防らしい攻防が無いのも締まらない一因ですな。

 船が出航する序盤のシーンから編集が下手くそなんだけど、編集の腕が悪いのか、元々のネタとなる映像に良いのがないのか。そういえば、ださいズームを使った映像やらハンディカメラの中途半端なフレームの映像もちょいちょいみられました。

 監督のリチャード・レスターは先月観た「ロビンとマリアン」の監督でもある。ビートルズ映画でブレイクし、「ナック (1965年)」というカンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作も撮っているけど、どうやらその頃が全盛期の職人監督のようです。

 ラストの、赤と青の線のどちらかを切れば起爆を止められるのだがというハラハラは、その後のこの手の映画にも影響を与えたそうです。絶賛する人が多いですが、そんな人達は「恐怖の報酬」のハラハラは経験されたのでしょうかねぇ。
 ところで、最終的には単独犯という結末だったけど、あの大きなドラム缶を7個も仕掛けるなんてどうやって出来たんだろう?

・お薦め度【★★=友達とダベリながら観るには、悪くはないけどネ】 テアトル十瑠

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2 コメント

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Unknown (kiyotayoki)
2011-04-07 11:56:04
理屈抜きに好きな顔の俳優さんっているものですが、この映画の主役リチャード・ハリスはその一人です。
なので、この映画も観たと思うんですが、あまり印象に残っていないということは・・・(^^;

逆に、理屈抜きに好きになれない顔というのもありまして、若い頃のアンソニー・ホプキンスがそうでした。そのせいか、この映画の彼はほとんど記憶にありません(笑;)
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アンソニー・ホプキンス (十瑠)
2011-04-07 13:50:25
この頃のアンソニー・ホプキンスは普通の俳優さんの顔で、後年のオーラは無いように感じます。
リチャード・ハリスはこの頃から硬派のイメージ通りの顔ですね。

私はどちらの顔も取り立てて好きでも嫌いでもない、そんな感じでしょうか。
顔だけで言えば、美男美女が好きみたいです。
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