テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

クワイエットルームにようこそ

2011-03-23 | コメディ
(2007/松尾スズキ 原作・脚本・監督/内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、大竹しのぶ、妻夫木聡、平田満、徳井優、箕輪はるか、近藤春菜、庵野秀明、俵万智/118分)


 内容についての情報は皆無だったが、タイトルを知っていたのと、優ちゃんが出ているので夕べ録画、観てみた。
 『クワイエットルーム』とは、、精神科の女子閉鎖病棟の中にある拘束具が必要な患者用の“保護室”の通称らしい。とはいっても、この名称が一般的なのか原作者の創作なのかは分からない。

 放送作家と同棲している雑誌ライターの女性が、多量の睡眠薬をアルコールと一緒に飲んで昏睡状態に陥り、精神科病棟に強制入院。本人には明確には自殺の意志はなかったのだが、病院は規則を盾に退院を許さない・・というお話。

 ヒロインの雑誌ライターが取材中のシーンから、いきなりベッドの上で拘束具にがんじがらめにされているシーンになって、その後徐々に経緯が分かってくるという序盤も、病院内の他の患者とのふれあいの中に彼女のこれまでの人生やら睡眠薬事故の前後の事情を過去話の挿入という形で描いた中盤も、ちょっと重複はする所はあるけれども映画的な構成にはしている。

 構成はいい。だけど、描写がねぇ。

 前半はわざとらしいギャグ入りのコメディで笑えないし、後半はシリアスな要素も入れてくるけど特に目新しい形ではなく“どこかで観た感”ありありで、見終わってみれば、作者は観客を笑わせようとしたのか考え込ませようとしたのか分からない映画。
 ヒロインの人物像も明確さに欠けてて、要するに内田有紀じゃなくて、別の女優が演じても同じように見えるような金太郎飴的女性なんだよね。
 クドカンの彼氏だってそうだし、冷えた鉄のような心を持った看護婦のりょうなんて「カッコーの巣の上で」のラチェット婦長のパクリじゃん。
 精神病棟の患者達も作り込み過ぎててギャグにしか見えないし、まるでバラバラだった彼女たちが、ある患者の退院セレモニーの時だけ統率のとれたダンスを見せるなんて可笑しいでしょ。

 笑わせるなら徹底的に笑わせる。シリアスなラストにするのなら、ギャグの笑いは要らないね。
 そして、長すぎる。

・お薦め度【★=ちょっと厳しいかもしれないけど、お薦めしません】 テアトル十瑠

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