テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

波も涙も暖かい

2009-05-25 | コメディ
(1959/フランク・キャプラ監督・製作/フランク・シナトラ、エドワード・G・ロビンソン、セルマ・リッター、エリノア・パーカー、キャロリン・ジョーンズ/120分)


 F・キャプラが8年ぶりにメガホンをとった映画で、この次の「ポケット一杯の幸福(1961)」が最後の作品になる。

 若い頃から一攫千金を夢見るトニー(シナトラ)はフロリダでホテルを経営しているが、相変わらず堅実性に欠けていて、借金の支払いが滞り、銀行から退去勧告を受けている。妻は亡くしていても、一人息子のアリーは明るい父親が大好きだ。
 NYで手広く店を経営する兄のマリオ(ロビンソン)に電話するも、繰り返される金の無心に、今回は騙されないぞとマリオは電話を切る。甥のアリーが病気だと聞いて義理の姉(リッター)は兄を連れてやって来るが、アリーが父とは離れたくないと言うので、トニーに知人の未亡人(パーカー)を紹介する。所帯をもって、マリオと同じように店を開けばアリーも幸せになる、そう義姉は言うのである・・・。

 キャプラお得意の人情コメディだが、いい加減男のトニーが主人公なので、兄弟愛も親子愛もすんなり入ってこない。若いガールフレンド(ジョーンズ)も結局は存在意味を成さず、本命の美しい未亡人とのロマンスも通り一遍の描き方で終わっている。
 若い頃からの知り合いで成金となった男がフロリダにやって来るも、最後には裏切られるというのもトゲがあってキャプラらしくない。
 ラストで温かい涙の出てきた「ポケット一杯の幸福」が最後の作品で良かったなぁ。

 原作・脚本がアーノルド・シュルマン。
 
 そういえば、シナトラとパーカーは「黄金の腕 (1955)」でも共演していましたな。



[05.26 追記]
 昨日は辛口ばかりでしたが、思い起こすと面白いシーンも。

 トニーのホテルにやって来た兄夫婦とトニーとのやりとりの中で、変わったリクライニングチェアに座るマリオが、座る度に要領が悪くてビックリしてしまうのが笑わせました。ロビンソンにもこんなコメディのセンスがあったんですねぇ。

 美人未亡人との最初のデートでトニーが彼女の家へ行き、彼女が未亡人となった経緯を聞いたトニーが、今回の見合いが自分の経済的な窮状突破のためのものである事を告白するシーンなどは、両者の心情描写はいい雰囲気でした。

・お薦め度【★★=悪くはないけどネ】 テアトル十瑠

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2 コメント

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Unknown (kiyotayoki)
2009-05-27 00:33:44
この映画、タイトルは惹かれるものがありますよね。
で、僕も観たんですが、まさかロビンソンとシナトラが兄弟とは思いませんでした(てっきり親子だとばっかり^^;)。
だって調べてみたら、当時ロビンソンが65歳でシナトラは43歳なんですもん(^^;





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kiyotayokiさん (十瑠)
2009-05-27 11:30:19
なんとなくタイトルには覚えがありましたが、内容は白紙状態で観ました。
マイアミのホテル業って楽しそう。^^
高い洋服を沢山持ってたり、要するに収入に見合ってない贅沢をしているだけで、さてさて、あの後の生活もどうなるもんやら・・・ですね。

>当時ロビンソンが65歳でシナトラは43歳なんですもん

ロビンソンもリッターもイイ味だしてましたよね。
確かに、シナトラの両親と言われても通りそうでした。
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