テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

NOEL ノエル

2008-12-27 | ファンタジー
(2004/チャズ・パルミンテリ監督/スーザン・サランドン、ペネロペ・クルス、ポール・ウォーカー、アラン・アーキン、ロビン・ウィリアムズ、マーカス・トーマス、チャズ・パルミンテリ/96分)


 アメリカ人にはクリスマスというのは特別な日なんだという事が良~く分かる映画です。アメリカ人は“ゴッド・スポット”の発達している人が多いのでしょうか。神様が姿を変えて出てくるという映画がホントに多いです。それが好きな私って一体・・・?
 あっ、“ゴッド・スポット”というのは、<話題が精神的なものや宗教的なものになると、この部分がにわかに反応する>といわれる脳の側頭葉の神経の接合部分の事らしいです(ご贔屓のコチラのブログで知りました)。勿論、反応の程度は個人差があるはずですがね。

*

 「NOEL」とはフランス語でクリスマスの事。「ラブ・アクチュアリー」程の数ではないけれども、複数のドラマが交錯する群像劇です。舞台はクリスマス・イブのニューヨーク。大きく分けると三つの話で、そのうちの二つには本筋と脇筋がある。

 スーザン・サランドン扮する中年のバツイチ女性ローズは、長年の看病の末父親を亡くし、今また重度のアルツハイマー病の母親を抱えている。クリスマス・イブに入院先の母親を訪ねても、ベッドの上の彼女は娘の呼びかけにも反応せず、食べ物を口にしないのでローズもどうして良いか分からない。
 大手出版社で児童書の編集をしていて、同僚の女性に勧められ、ローズに気のある年下の男性とデートをするが、最後の一歩が踏み出せずに再び一人になって、街を彷徨う。

 ニーナ(クルス)とマイク(ウォーカー)は恋人同士。近々結婚の予定だが、ニーナには一つ気がかりなことがある。それはマイクの病的なほどの嫉妬深さだ。イブの夜、マイクの部屋でニーナがゲイの友人とツリーの飾り付けをしていると、帰ってきたマイクはまたもや勘違いをして彼女の友達を傷つけてしまい、怒ったニーナは部屋を飛び出してしまう。

 一人暮らしの若者(トーマス)は14歳の時に入院先の病院で過ごしたクリスマスの夜が忘れられず、救急患者でごった返す病院にやってくるが、クリスマス・パーティは患者と病院関係者でするものなので、あなたは帰りなさいと言われる。

 クリスマス・イブの夜から翌朝にかけての三つの話が、カットバックしながら語られていきます。三つ目の話の若者にはクレジットではジュールズという名前があったはずだけど、台詞では出てきません。前の二つの話より少し軽めの印象で、多分、二つの話のカットバックじゃドラマの流れがきつくなるとの配慮から追加されたエピソードなのでしょう。
 ローズのエピソードには、母親の隣の病室に入っている、見舞客のない孤独な患者とのふれあいが脇筋としてあり、マイクにはレストランで彼に声をかける不思議な年老いたウェイター、アーティ(アーキン)とのエピソードがある。

 公開時コピーは『すべての人に幸せが降る夜がある。』

 本筋、脇筋、それらが紡ぎ合うように交差しながら、心温まるクリスマスの朝を迎える話です。ファンタジーです。ローズのエピソードには「素晴らしき哉、人生!」へのオマージュもあり、嬉しくなりました♪



 <俳優としてばかりでなく、自ら手掛けた戯曲でも高い評価を受けているチャズ・パルミンテリが満を持して挑んだ映画監督デビュー作。>(allcinema-onlineより)とのこと。今作はデヴィッド・ハバードという人の脚本で、パルミンテリの名前はありませんでした。リズムの良い上手い編集は、スーザン・E・モースとジョセフ・グトウスキーの二人。
 40代の女性を演じたスーザン・サランドンは、この時58歳。40代後半に見えなくもない色気もさることながら、色々な感情を見事に表現できる相変わらず素敵な女優さんでした。
 三つ目の話が少し弱くて、お薦め度は★半分減点したけど、★3.5個は無いので★4つにしました。

ネタバレ記事はコチラ

・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】 テアトル十瑠

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6 コメント

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Unknown (kiyotayoki)
2008-12-27 11:15:26
記事内リンク、恐縮です(^^ゞ。
クリスマスの頃にやっていましたね。
いい映画だったので、僕ももう一度観ようと思っていたのに、深夜だったこともあって忘れて見逃してしまいました。
信心が足りませんね(^^;

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どうも~ (十瑠)
2008-12-27 14:40:48
TB&コメントありがとうございました。

すでにご覧になっていたんですね。
先日の“ゴッド・スポット”の話も面白くって、ネタに頂戴いたしました。
早速、映画の方にもおじゃまします。
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弊記事までTB&コメント有難うございました。 (オカピー)
2009-12-26 01:16:39
気持玉も十瑠さんでしょ?
以前に比べると気持玉が激減している折だけに嬉しかったです。有難うございました。
今後もバンバンお願い致します。

アラン・アーキンを含めて4人のお話と解釈する人が結構いますが、僕は十瑠さんと同じ考えで、三人が本流の主人公で、アーキン氏はあくまでも触媒的人物という、謂わば傍系の人物でありながら、他の三人同様テーマをも担っているという役柄と解釈しました。

天使に始まり、天使に終わる映画ですね。
もう一人のRW氏もね、多分。
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オカピーさん,yesです (十瑠)
2009-12-26 07:29:12
>4人のお話と解釈する人が結構いますが・・・

あぁ、そういえばそんな記事を読んだ記憶がありますね。そうなるとRWさんも入れなくちゃいけない。

彼が天使なのか何なのかよく分かりませんが、ファンタジーだから何となく許せちゃうんですよねぇ~
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ジュールズの名前は (宵乃)
2012-02-29 11:24:20
作中では出てなかったんですか!
そりゃ、覚えてないはずだ(笑)
彼には奇跡らしい奇跡はなかったけど、憎んでいた相手を許すという行為は、奇跡に近いものがあるかもしれませんね。
あと、ネタバレ記事で「あなたを許す」のセリフ時のマイクの心中、グッときました!
もう一字一句そのままに違いない、と思えましたよ。
「素晴らしき哉、人生!」を観る時は、ローズのエピソードのオマージュが何だったのか気をつけて見たいと思います!
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「素晴らしき哉、人生!」 (十瑠)
2012-02-29 16:39:52
寒い河に飛び込もうとするローズと、泳げないのに彼女を助けようとする彼(?)のエピソードが・・・。
そう考えると、チャーリーは天使なのかなぁ?
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