クリスマスのニューヨークを舞台にした群像劇「NOEL ノエル」には、もう一つアンサンブルの舞台としてひとつの病院が登場します。ローズの母親が入院している病院、マイクをしつこく追いかけて終いには突き倒されて心臓発作を起こしたアーティが運び込まれる病院、そして一人暮らしの若者ジュールズが14歳の時に入院していた病院。さて、この病院で彼らはどんな体験をしたのでしょうか。
以下、未見の方には“ネタバレ注意”です。
患者でない人はお引き取り下さいと言われたジュールズは、街に戻って友達に一人の男を紹介してもらい、その男に自分の腕を折ってもらいます。「ダーティハリー」で“スコルピオン”がハリーを貶めようと自分を殴らせたあの黒人と同じ手合いですな。入院する為にわざわざお金を払ってまで怪我をしようとする孤独な若者。自傷行為を疑った看護婦はジュールズを引き留め、後で精神科医に診させます。医者に語った彼の過去は悲惨なものでした。
父親が病死した後、母親が再婚した男は乱暴者で、毎日のように妻にも義理の息子にも暴力を振るった。クリスマスの前、母親を庇おうとしたジュールズは男に鼻の骨を折られ、この病院に入院する。看護婦が妖精になってプレゼントを渡してくれたパーティーは、子供の時の最高の楽しい思い出だった。病院は母親に連絡したが彼女は迎えに来なかった。ジュールズは、母は自分を見捨てて男を選んだと思った。
女性の精神科医はジュールズに母親へもう一度連絡する事を勧めます。母親が迎えに来なかったのは、連れ戻っても再び傷つくであろう息子を思っての事ではなかったのか。継父は死に、今は一人暮らしだという母親。
『もう一度連絡を取りなさい。たかが電話一本じゃないの』
ミラクルは起こりませんが、ラストシーンでジュールズは晴れ晴れとした様子で病院を後にしました。
アーティがマイクを追いかける理由は、マイクが亡くなった奥さんの生まれ変わりだからという事でした。しつこく付きまとうアーティを弾みで突き倒してしまったマイクは、倒れて動かなくなったアーティを病院に連れて行きますが、やがてそこにマイクの同僚デニスがやってきて、アーティに関する警察情報をもたらします。
アーティは数十年前に殺人罪で4年間服役していた。
冬のある日、アーティが家に帰ると妻が男と居て、浮気を疑ったアーティは男と口論になり階段から突き飛ばした。男は首の骨を折り、運ばれた病院で死亡する。浮気はアーティの誤解だったが、悲惨なことに、外に飛び出した妻は車を130キロで運転して凍った路面のカーブを横滑り、対向車と正面衝突して即死した。
嫉妬深さをニーナから指摘されていたマイクは、アーティの過去に自分の将来を見、この夜の出来事に因縁めいたものを感じます。前科者に関わるなというデニスに、彼はこう言います。『何かが起こっている。確かめたいから、もうしばらく付き添うことにする』。
マイクが眠っているアーティに語りかけていると、一人の男がやってきます。ポールはアーティの息子でした。ポールはマイクに言います。『妻の生まれ変わりだと言われませんでしたか?』。
アーティは妻を死なせたことを悔いていて、あれ以来クリスマスになると誰かを捕まえては“生まれ変わり”の話をするとのこと。母親が亡くなった理由もポールには告げず、息子の愛情は父親へ届いてないと彼は嘆く。
クリスマスの朝、気が付いたアーティにマイクは言います。
『あなたを許す。全てを許します』
心の中ではマイクはこう言っていたに違いありません。『あなたに感謝します。自分の愚かさに気付かせてくれた、あなたに感謝します』
ローズのエピソードはファンタジーです。
クリスマス・イブの久しぶりのデートも上手くいかず、人生に絶望したローズは夜の埠頭へやって来ます。凍り付いた河に飛び込もうとしたその瞬間、彼女に語りかける声に振り向くと、そこには母親の隣の病室で会った男がいました。見舞客のない寂しい病室で、ただ一度会った患者の友人。男の名前はチャーリー・ボイド。20年間聖職にいたが、今は俗人になったという彼は、『泳げないが、君が飛び込んだら飛び込むつもりだ』と言います。
話を聞きたいというチャーリーに従い、ローズは彼をアパートに招き入れます。自分の人生にどれほどの価値があるのか分からないと言うローズに、チャーリーは君は他人の人生に充分良い影響を与えていると言います。
『先程、友人の病室に来たあなたは、見も知らぬ病人に“愛してる”と囁いてくれた。神を信じなくなっていた私も救われた』と。更に『自分の願いは寂しくない死を迎えることだ』と話します。
二人は静かに暖炉を見つめながら夜をやり過ごし、やがてクリスマスの朝を迎えます。
『君のお母さんは君に感謝している。でもお母さんの願いは君が幸せになることだ。彼女がそう言ってる』
そう言うチャーリーに欺瞞を感じたローズは彼を追い出しますが、ベッドに十字架のネックレスを見つけた彼女はチャーリーに渡そうと病院に向かいます。
件の病室で看護婦を見つけたローズは、面会人のチャーリー・ボイドを知らないかと言います。看護婦は怪訝な顔をしてこう答えます。『チャーリー・ボイドは患者よ』。
ローズが会ったチャーリーは誰なんでしょう?
チャーリーをコピーした身体に神様が入り込んだものでしょうか。話の流れではチャーリーの魂も入っているように感じます。良く分かりませんが、とにかくそんなものです。
ベッドに横たわるチャーリーを見つめながら、夕べ彼が語ったことを思い出したローズは、ネックレスを掌に握らせ、天国へ召される彼を見送るのです。チャーリーの表情にも笑みが浮かんでいました。
この後、ローズにはもっと嬉しいサプライズも用意されていましたが・・・
以下、未見の方には“ネタバレ注意”です。
*
患者でない人はお引き取り下さいと言われたジュールズは、街に戻って友達に一人の男を紹介してもらい、その男に自分の腕を折ってもらいます。「ダーティハリー」で“スコルピオン”がハリーを貶めようと自分を殴らせたあの黒人と同じ手合いですな。入院する為にわざわざお金を払ってまで怪我をしようとする孤独な若者。自傷行為を疑った看護婦はジュールズを引き留め、後で精神科医に診させます。医者に語った彼の過去は悲惨なものでした。
父親が病死した後、母親が再婚した男は乱暴者で、毎日のように妻にも義理の息子にも暴力を振るった。クリスマスの前、母親を庇おうとしたジュールズは男に鼻の骨を折られ、この病院に入院する。看護婦が妖精になってプレゼントを渡してくれたパーティーは、子供の時の最高の楽しい思い出だった。病院は母親に連絡したが彼女は迎えに来なかった。ジュールズは、母は自分を見捨てて男を選んだと思った。
女性の精神科医はジュールズに母親へもう一度連絡する事を勧めます。母親が迎えに来なかったのは、連れ戻っても再び傷つくであろう息子を思っての事ではなかったのか。継父は死に、今は一人暮らしだという母親。
『もう一度連絡を取りなさい。たかが電話一本じゃないの』
ミラクルは起こりませんが、ラストシーンでジュールズは晴れ晴れとした様子で病院を後にしました。
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アーティがマイクを追いかける理由は、マイクが亡くなった奥さんの生まれ変わりだからという事でした。しつこく付きまとうアーティを弾みで突き倒してしまったマイクは、倒れて動かなくなったアーティを病院に連れて行きますが、やがてそこにマイクの同僚デニスがやってきて、アーティに関する警察情報をもたらします。
アーティは数十年前に殺人罪で4年間服役していた。
冬のある日、アーティが家に帰ると妻が男と居て、浮気を疑ったアーティは男と口論になり階段から突き飛ばした。男は首の骨を折り、運ばれた病院で死亡する。浮気はアーティの誤解だったが、悲惨なことに、外に飛び出した妻は車を130キロで運転して凍った路面のカーブを横滑り、対向車と正面衝突して即死した。
嫉妬深さをニーナから指摘されていたマイクは、アーティの過去に自分の将来を見、この夜の出来事に因縁めいたものを感じます。前科者に関わるなというデニスに、彼はこう言います。『何かが起こっている。確かめたいから、もうしばらく付き添うことにする』。
マイクが眠っているアーティに語りかけていると、一人の男がやってきます。ポールはアーティの息子でした。ポールはマイクに言います。『妻の生まれ変わりだと言われませんでしたか?』。
アーティは妻を死なせたことを悔いていて、あれ以来クリスマスになると誰かを捕まえては“生まれ変わり”の話をするとのこと。母親が亡くなった理由もポールには告げず、息子の愛情は父親へ届いてないと彼は嘆く。
クリスマスの朝、気が付いたアーティにマイクは言います。
『あなたを許す。全てを許します』
心の中ではマイクはこう言っていたに違いありません。『あなたに感謝します。自分の愚かさに気付かせてくれた、あなたに感謝します』
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ローズのエピソードはファンタジーです。
クリスマス・イブの久しぶりのデートも上手くいかず、人生に絶望したローズは夜の埠頭へやって来ます。凍り付いた河に飛び込もうとしたその瞬間、彼女に語りかける声に振り向くと、そこには母親の隣の病室で会った男がいました。見舞客のない寂しい病室で、ただ一度会った患者の友人。男の名前はチャーリー・ボイド。20年間聖職にいたが、今は俗人になったという彼は、『泳げないが、君が飛び込んだら飛び込むつもりだ』と言います。
話を聞きたいというチャーリーに従い、ローズは彼をアパートに招き入れます。自分の人生にどれほどの価値があるのか分からないと言うローズに、チャーリーは君は他人の人生に充分良い影響を与えていると言います。
『先程、友人の病室に来たあなたは、見も知らぬ病人に“愛してる”と囁いてくれた。神を信じなくなっていた私も救われた』と。更に『自分の願いは寂しくない死を迎えることだ』と話します。
二人は静かに暖炉を見つめながら夜をやり過ごし、やがてクリスマスの朝を迎えます。
『君のお母さんは君に感謝している。でもお母さんの願いは君が幸せになることだ。彼女がそう言ってる』
そう言うチャーリーに欺瞞を感じたローズは彼を追い出しますが、ベッドに十字架のネックレスを見つけた彼女はチャーリーに渡そうと病院に向かいます。
件の病室で看護婦を見つけたローズは、面会人のチャーリー・ボイドを知らないかと言います。看護婦は怪訝な顔をしてこう答えます。『チャーリー・ボイドは患者よ』。
ローズが会ったチャーリーは誰なんでしょう?
チャーリーをコピーした身体に神様が入り込んだものでしょうか。話の流れではチャーリーの魂も入っているように感じます。良く分かりませんが、とにかくそんなものです。
ベッドに横たわるチャーリーを見つめながら、夕べ彼が語ったことを思い出したローズは、ネックレスを掌に握らせ、天国へ召される彼を見送るのです。チャーリーの表情にも笑みが浮かんでいました。
この後、ローズにはもっと嬉しいサプライズも用意されていましたが・・・
年末のご挨拶をば
今年も大いにお世話になりました。また来年も引き続きご愛顧のほど!
ではでは、楽しいお正月をお過ごしくださいね!
午前中はビデオレコーダーのHDDの整理をしておりました。
こちらこそ、色々とお世話になりました。来年もヨロシク!!
ウッシッシと目尻の下がる映画やら、ギューッと内容の詰まった映画を観たいと思います(久々にオヤジギャグかましてみました)^^
この作品は、放映当日に気が付いたのですが、結局録画するのを忘れてしまいました。
滅多にない「な行」の作品だったのに(これは冗談です)。
★が消えたのは何故?
ウェブリで始まった気持玉が時々押されていますが、十瑠さん、押してます?
本年も相変わらず宜しくお願い申し上げます。<(_ _)>
今頃気づきました。
新しい記事だったんですね。
未見なので記事が殆ど読めないので、錯覚しました。
そそっかしいですが、今年もよろしく。
viva jijiさんには不評だったようですが、私にはツボ的なヒューマン・ファンタジーでした。
>ウェブリで始まった気持玉が時々押されていますが、十瑠さん、押してます?
コメントかTBしている分しかポチッしてないです。
大人気のオカピーさんのブログですから極力足跡を残して、恩恵にあずかりたいと思っております
今頃のそのそやってきてごめんなさいです。
新年から皆さんに謝ってばかりのだめ人間ですが、今年もどうか見捨てないでやってくださいませ。
1年の総括記事、私も書く気になれずそのままに放置してありますよ。ま、いいんです。ダラダラでもまだブログは続ける気でいますから(言い訳・笑)。
さてこの作品。エピソードによっては、姐さんじゃないですけれど“ノエル…萎える…”ちゅうのもあったのですが、ご紹介くださった病院に関連したエピは、ちょっと堪えるものがありました。病院には浅からぬ因縁がございますもので…。
まあ、きっとみんな誰かの大切な人であり、とるにたらない人生などはない、という前向きなメッセージを素直に受け取りたいと思っています。
どうもね、心が弱っちくなってくると、この手のお話にも弱くなってしまっていかんですな(苦笑)。
いやいや、こりは大事なことです。みんながそんな風に考えられたら犯罪も起こらないんです。
こんな時代こそノー天気にいきまっしょい