棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

29-棚からぼた餅--道祖神について

2008-02-12 09:45:45 | Weblog
信州の旅、特に松本市から安曇野市にかけて、アルプスを背景にした道祖神の石碑は絵になる。

明治時代までは、東日本一帯にあったものです。
当時、外国人が最も観光に訪れた、日光街道→日光東照宮 沿線では、恥ずかしきしろもの、文明開化の御世にそぐわないと、撤去されていきました。

当時は、お上のご意向は絶対ですから、いつの間にか、各地の道祖神の石碑が消えていったことでしょう。

近代彫刻家オシップ・ザッキンは、
抱き合ったり・キスをしていたり、中には下部を探りあったりしている、男女の双体神--道祖神を見て大感激

「芸術の不毛といわれる江戸時代に、辺土ともいうべき信濃なる山国に、スポンサーもなく、農民の支えだけで生まれた心の形だ。
愛のかたちを簡潔にしかも美しく石にきざみこんでいる。
私は無限の親しみと驚きをかんじる」

というような事を書いています。

「福の神」の歌っていた 御まら様 は、ずばり男根のこと。
今でも、道祖神祭りに、ご立派な木彫が並び、
かくありたいものと、ニヤニヤ。

今日はお父さんの話--さくら

2008-02-10 16:44:48 | Weblog
雪のはなしが多いですねー。
25cmは、予想よりも降らなかった。
気温はー5度で、さほど寒く感じない。

わたしんち(家)は、背後は急な山になっていますが、市内へは車で10分。
日当たりのいい高みにあります。
すぐ下には国道254があり、静けさを求めて、この地に来たお父さんでしたが、夜中の大型車が走り抜け、決して静寂が支配した谷、などではありません。

まーーお父さんも、とくに山の中での暮らしを望んだわけではありません。
以前は、市内へ車で飲みに出かけたり・・・。
いまはしません。

つい最近までこの辺は養蚕をしており、大きな養蚕所がアトリエとして魅力で、25年ほど前に住み着きました。
田舎暮し、特に集落の暮らし法には、大別して2つあると思います。

1、じっくりと集落にとけこんでゆく--密着型
2 まったく必要以外はおつきあいをしない--村八分型
お父さんは2の選択です。

それは地域にもよると思いますが、あまりにも密な付き合いに懲りた挙句、完全無視される方法をとったようです。

私のフリータイムも始めのころは、たーーーいへんでした。
ただ今、空き家がでると、できるだけ若い衆に世話をしています。
そして、2の暮らしを進めてはいますが・・・。
AM 8 の雪に包まれた谷む--国道254

28-棚からぼた餅--三九郎ってなんだ

2008-02-10 10:03:18 | Weblog
三九郎 って面白いよびなですね。
簡単にご説明いたしましょう。

松本地方独特な呼び名で、小正月1月15日 男の子だけの火祭りでした。
一般的には「どんどやき」です。

江戸時代の庶民にとって、三大苦労と言えば病気・災害・年貢でした。
これからの開放を願い「「神主三九郎」を生み出し、密かに祈るようになっていきました。
やがて道祖神の祭事とリンクして、正月の飾り物の火送りの行事となっていきました。

いつの間にか、神像のことは忘れられてしまい、現在 松本の日本民族館に展示されています。

「五穀豊穣・家内安全」を願い、米の粉で作った「繭玉」を柳の枝に刺し、お勝手などに飾り、三九郎の火で焼いて食べます。
現在は、ご家庭で作る人は稀になってしまいましたが、マーケットなどで売られ、地方色があっていいですね。

松本地方には、ユニークな伝承祭事がまだつたえられていますので、お伝えしていきます。
いずれも、理屈抜きの、平安な暮らしを願った庶民の心だと思います。

写真は三九郎と道祖神の石碑
次回は道祖神についてご説明いたしましょう。

ダーリンが宿にきた--さくら

2008-02-09 16:10:55 | Weblog
天気予報のとうり 午後から雪が降り出す。
小粒のサラサラとした雪だが、かなり積もってしまうだろう。

私のダーリンが宿泊にきた。
ご主人たちがどこかへいったらしい。
一緒に、散歩に行く。

におう!!。お父さんにフリーにして とたのむ。
ダメとつれない返事だが、私は足を踏ん張り、獲物をみすえていた。

お父さんは、確認できないと、私の耳の間から見る。
「カモシカじゃーねーか。まだ若い。
あいつは保護動物でだめだ」

そおいえば、昨年はカモシカ一家に、お父さんの大好物「ふきの頭」を食べつくされたっけ。
苗木や畑を荒らしまわることは、日本鹿と代わりがない。
ダーリンは、まったくわからないようだった。

 写真はごきげんなダーリン

28-棚からぼた餅--三九郎のうた

2008-02-09 10:16:57 | Weblog

さんくろー さんくろー
じっちゃん ばっちゃん 孫連れて
団子焼きにきておくれー

これは小っちゃな子供歌で

上手村のアマたちは いちょうの木に上り 
べべに枝をくすいだ
下手村のアマたちは サイカチの木に上り
べべとげくすいだ
つむで掘っても 取れないよ
針で掘っても 取れないよ
ドーロクジンのオンマラで
グッと掘ったら よく抜けた
セイノカミの神さんは 梅ノ木に上り 
べべとげすくい
べべとげくすいだ
べべにとげくすいだ
痛いともいえず ただ泣くばかり


とまーひどいもので、肝心の村人の願掛け事など、
そっちのけの福の神でございました。

28-棚からぼた餅--大福帳

2008-02-08 10:27:11 | Weblog
ガバッと起きた福の神。

大福帳  と大きく書きました。

「えーーと。祠ができたのは正月すぎの三九郎のときだった。
何かいろいろ供えられたなー。
お神酒・団子・野菜・たずくり、そうそう、柿に栗に昆布もあった。
縁起のいいものらしいが、迷信だね。
いっぺんにいろいろあったから、腹をこわしてしまった。

三九郎は久しぶりだった。
木米爺様が子供たちと来て、正月飾りやわらで、でっかい塔を作ったっけ。
中には小屋があって、子供たちが餅なんか食べながら遊んでいた。
オイラにも餅や繭玉団子があがり、夜遅くまで、子供たちの笑い声が聞けていいきもちだった。
なんたって火をつける夜は村の衆、皆集まってきたもんなー。
三九郎の火で繭玉を焼くと、虫歯にならないとか、風邪をひかないとか言っていたが、ほんとうかなー、まー人間は面白いことを言うものだ」

「木米爺様は、三九郎の火にあたると若返るとか、火が高く上るほど豊作になるといっていた。
信心深い爺様の言うことだから本当かもしれないが、福の神さんを喜ばせると、いい嫁っ子・甲斐性のある婿さんが来る、といわれてもなー」

もっと、なんぎなことがあった。
五穀豊穣・家内安全・商売繁盛・願望成就などなど言われても,おいらにゃなんのことだかわからないから、後回しだ。
それにしても、三九郎の歌は、面白かった。
女子衆なんか、顔を真っ赤にしていたっけ。
えーーと。歌いだしは・・・。
と、カラオケならぬ歌のレッスンを始めました。

27-棚からぼた餅--新しい祠

2008-02-07 10:20:57 | Weblog
燃え落ちた祠に、木こりの木米爺様は
「オラの火の不始末で、デーじな祠をもやしてしまった。罰当たりなことをしてしまいました」
と、村の衆に謝って回りました。
『二年も続いた豊作で、ちったー余裕もできたデ、立派な祠を建てるズラ』

一月下旬、冬眠状態でいた福の神は
「オイ!!テメーの家ができたようだ。けえれー」
厄病神に追い出されてしまいました。

「うひゃー。こりゃまったく立派 !
ヒノキの色艶、なにより香りがすばらしい。
お供え物もどっさり。厄病神ドンにお礼にもっていこう」

明るく居心地のいい住まいは、ナニカをしょうという気力も湧いてくるものです。

『あまりめんどーな事はしたくないし・・。
そうだ、厄病神ドンのように、計画書を作ろう・
厄事ではなくて「しあわせ計画書」だ・・。

炭焼きの木米爺様は信心深いから最初だ
 ◎一月 木米爺様しあわせになる
清水のばっちゃまは、餅をくれたから次だ
 ◎二月 清水のバッチャマ しあわせになる
次は喜八だと、こんな調子のしろもの。

一年分だといっても、ほんの3枚も書けばおしまい。
さすがの福の神も、見栄えのしない「計画書」にがっかり。
なによりも、厄病神がいつも言っていた、段取り を思い出すと身震いし、ツーーーと消してしまいました。

ふてねのサクラ

2008-02-06 15:39:40 | Weblog
朝から一度もお天道様を拝んでいない。
寒い--サブイ 気分的にサブクなってしまう

昨年なんか同日は、四月の陽気につられ、遠くまで散歩にいっていた。
庭にある桜の花芽が、小鳥に食べられたこともあった。
そのために、花見宴会はいまひとつ盛り上がらなかった。

それに引きかへ、今年の寒さはこたえる。

堆肥作りの残飯に、鹿の足跡がいっぱいある。
狸・穴熊・猪ならばいつものことだが、こんなことは初めて。
正直、昨晩は気が付かずに寝ていた。

もしかして、昨年暮れに仕留めそこなった、ヤツかもしれない。
(わたしがワナにかかってしまったが)お父さんに、お願いしたが
ダメ!!と、つれない返事
所在なくふてね

27-棚からぼた餅--稲荷って?

2008-02-06 11:56:19 | Weblog
「ところで、お伺いをしますが、稲荷さんは厄病神さんの管轄なんですか?
いえね、ただ今景気のいいようですが、えらい昔に私が出雲の寄り合いにいったときにゃ知りませんでした。」

「おめー今日は冴えてルナー。
実はなー、オレも不思議なんだ。王神さまのお達しの記憶もねーんだ。

馬っ子をぬかるみにひっぱりこんだり、肥溜めを風呂だといって、人間をだます。
旅人を近道だといって、田んぼをグルグル回らせたり、そりゃーもう、悪さのしほうだい。
そんなヤツが、稲荷大明神 だなんて、わからねー。
わからねーなかでも、腹が立ってくるほど、わからねー」

厄病神はだんだんエスカレートし、顔は真っ赤になり、スチームアイロンのごとき、鼻息をはきだしました。

「ままままっ、そんなに怒りますと血圧に悪いです。
あたし等下っ端にはわかりませんが、例のダンゴじゃーない、談合ってやつじゃないでしょうか。
あたしなんか、こおのんきにしていられるのは、厄病神さんのおかげだと思っています。
この村で十二分でございます。ハイ!!
福の神の神妙な話し振りに、「まーーなっ」と寂しく答えた厄病神でした。

傾いた与太郎の家で、必死に厄事計画書を作る厄病神
なんとか眠気をこらえていた福の神でしたが、やがて冬眠してしまいました。

殺生犬といわれてしまった--さくら

2008-02-05 15:52:26 | Weblog
氷色した谷に、朝日が差すとほのかな赤味に変わる
ドドドド・・と鳴り響き
大木から雪煙がきらめく

バシッ! と重みに耐えかねた竹が
最後の悲鳴をあげ、ゆくてをさえぎる

新雪をはしりまくる
ころげまわる

すぐしたの畑に、狸が雪の中でもがいているではないか。
春先の暖かい日など、時々寝とぼけた狸が出てくることはあったが、雪の中は始めてだ。
なんなく、とっ捕まえ、ダーリンのところへ、もっていく。
あまり興味をしめさない。
がっかりしたので、お父さんのところへ。

狸は気が付き、雪の原へ逃げてゆく。
動くものは面白い。
遊んでいるうちに、本当に動かなくなってしまった。

「かわいそうなことをしやがって」
鍋ところではなく
午後からは、つながれてしまった(娑婆では当たり前でしょうが)

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本