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『べっぴんさん』8週、その2 さよならを選んだ君はおそらく正しい

2016-11-27 00:17:17 | 朝ドラの感想

2016年後期BK朝ドラ『べっぴんさん』の第8週「止まったままの時計」のネタバレ感想、後半戦。


さあ一歩を踏み出せ。

前半はこちら。
『べっぴんさん』8週その1.泥水を湧き水に変えろ



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●坂東家を託されるということ


その作ったドレスでファッションショーをしようとゆりが提案。
サマードレスの製作を、キアリスに依頼することに。

開店一か月を迎えていたキアリスは、「型紙は売れるけど製品が売れない」というまあ予想の範疇の事態に陥っていました。
依頼を快諾するすみれなのですが、1か月たっても紀夫の職は見つからず。

そんなすみれのところに五十八と忠さんが訪ねてきました。
潔とゆりの成長を喜ぶ五十八。

「自分の居場所を見つけられるかどうかで、人生いうのは、大きく変わるもんやな」


紀夫にも居場所を、と『坂東営業部を手伝ってほしい』ことを伝えるのですが。
紀夫はどうしても消極的。
自分なんて誰にも期待されていない、どこにも居場所がないんだ、と。

そこに喝!!

「何を勘違いしている!!」

お前は何を託されたかわかっているのか。
はなと作り上げた大事な大事な坂東家を、はなから託された大事な大事な娘を、命より大切なものを託したんだ。
子どもの頃からずっと見ていた紀夫だからこそ託せたんだ。
だから婿に入ってもらおうと決めたんだ。
『坂東家を託される』ことの意味をもう一度考えろ、と。


五十八の言葉で光が見えたのでしょう、紀夫。
坂東営業部への復帰を決心しました。



●自分の言葉で伝えなさい


動き出したとはいうものの。
まだ『五十八から喝入れられて』という、若干受け身の状態。
すみれの現状を完全に理解しきったわけではありません。

「もう、働かなくていい。商売は甘いもんやない。ファッションショーが終わったら仕事を辞めて、家に戻ってくれ」

そういう問題じゃねえんだよおおお。

1歩進んだと思ったらまた1歩戻る。
でも紀夫がそういうのなら、そうするのが紀夫のためなんだろうか。
そんなすみれの悩む表情を見逃さなかったのが、栄輔でした。

すみれの話を聞こうと栄輔が連れてったのはあさや。
そこでは、靴の仕事を受けた麻田さんが仕事をしていました。


(市村正親さんの職人シーンは本当に絵になります)

「ちょっと外して」と、いつぞやの明美ちゃんのように言うのですが。


「嫌です」

ったりめえだろボケ。
今栄輔とすみれを2人きりにさせられっかってんだ。
ここ外すなんてできんわ。


「すみれお嬢様の悩みを聞くのは自分」という麻田さんの矜持もあったかもしれません。
「嫌です」と短い一言ながら、麻田さんの色んな心情を思わせるのはお見事。


しかし全く栄輔さん。
そもそも麻田さんのお店だし、麻田さん仕事中だし邪魔するなんて。
しかもしかもすみれには紀夫も帰ってきてるというのに。
まったく油断も隙もない。


「それはな、この仕事がすみれさんにとってどんだけのもんか紀夫さんが知らんからやで。知ってもらう努力をせな。自分の言葉で伝える努力をせなあかんで」

……あれ、浮ついて、ない?

無駄に励ますんじゃなくて、距離を取りながら、すみれの背中をそっと押そうとしてる…?

しかも……めちゃくちゃいいこと言ってる?



栄輔、いいヤツですね。
ただいいヤツっていうのが大問題で。

「自分の言葉で~」というすみれへのアドバイス、これ今までなら麻田さんが言っていた言葉でしょう。
でも麻田さんの名言リストに加えるんではなく、あえて栄輔に言わせたというえげつなさ。

だって……
栄輔本人だって誰かに、てかすみれに伝えたいことがある。
でもそれは決して言葉にしてはいけないもの。


なんと業の深い脚本よ。




●天涯孤独の2人


そんな栄輔に声をかけたのが明美先輩でした。


「誤魔化さんでえぇわ。わかってるよな?」
「わかってるわ。けど、悩んでるんやすみれさんは」


家族が帰ってきたんだ、それを壊すような真似をするんじゃないと。
もちろん栄輔はわかっているでしょうし。

そもそもすみれは「栄輔or紀夫」で揺れてるわけじゃない。
(揺れてるのは視聴者と有働ネキ)

自分には家族がいない、戦争で死んだ、と栄輔が話した時。
明美ちゃんの表情が変わりました。



この2人もなかなか……
同じ天涯孤独の身、どこか似ている境遇。
2人とも幸せになってほしいのですが……




●オライオンの2人


ファッションショーの準備が進みます。
新聞社の相手をしてほしい、と紀夫に頼む潔。

潔は紀夫に本当の気持ちを伝えました。


「ずっと思うてたんや。紀夫くんとわしは、五十八さんとうちの親父みたいになれるんやないかって」

潔はそもそも誰が坂東家を継いでも、それを支えていくと決めていたこと。
でも戦地(沖縄)で、紀夫とすみれが結婚したと聞いて、坂東家を紀夫が継いでいくと聞いて、何より嬉しかったこと。

五十八を名倉が支えたように、紀夫を潔が支える。
そういう関係になれるんじゃないか。


潔ぃ……それ天国の名倉も喜んでるよ……



紀夫に居場所がないなんてことはありませんでした。
紀夫の居場所はひとつ、坂東営業部の一員としてすみれたちと坂東家を守っていく。
五十八も潔もそれを心から望んでいる。
ならば、その居場所を気持ちのいい場所にしていけばいい。
答えは簡単だった。

潔たちが坂東営業部を再開するとき「看板を掲げたもの勝ち」という言葉がありましたが。
居場所だって「そこを居場所だと思ったもの勝ち」。
看板をあげた坂東営業部が好スタートを切ったように、居場所を見つけた紀夫も好スタートを切ることができるでしょう。




紀夫もどこかでわかっていたのかもしれません。
おもむろにお手玉の練習をはじめます。

さくらが気に入っていたお手玉。
(本当は栄輔が上手にできていたからなのですが、紀夫は多分それを知らないし、知らない方がいいかもしれん)

練習を重ねて、ある日出来るようになりました。

 

さくらも紀夫もすみれも喜代さんも、みんないい笑顔。
みんな、よかったね。




●ええ場所見つけたね


さあ女性陣もファッションショーの準備。
モデルに時子ちゃんや麗子さんたちが呼ばれます。

早速ランウェイの練習。


盆踊りじゃねえか!!!


その化粧おいこらやめろwww

とまあ『てるてる家族』を思い出させるコメディ演出。
そのとき麗子さんが連れてきたのは……


「ほぉ、やるやないか。チクチクお裁縫が趣味の手芸クラブ。」

悦子様や!!!!!
悦子様!!!!
お静かになさって!!!!



1週の女学生時代から手芸クラブの面々を上から見ていた悦子様。


3週で、戦争ですべてを失っても、母として女性として誇り高く生きている姿を見せた悦子様。

その悦子様が帰ってきた。



「ええ場所見つけたね」

すみれに微笑むその姿はとにかく美しくかっこよかった。

五十八が言っていた「つらい事、悲しい事、そういう気持ちを知っとる人間が強くなれる」という言葉を思い出させる笑顔。
それでも『悦子様』としての魂は変わらない。
大事な部分は変わらない。

「自分で変わっていかなければならない」
「泥水を湧き水に変える」


ゆりやすみれがそうしているように、悦子様もそうして生きてきた人なのでしょう。
数週間ぶりの登場ですが、「その時間も登場人物は映らないだけで生きている」のを実感させるのうまいなあ。



●ここが私の生きる場所


さあいざ本番、の前に。



すみれたち4人に、商店街ズの4人。
麗子様、悦子様。
それから最初にデザイン画を見せて喜んでいた近江本家の静子さん、節子さんがやってきました。



この方が、サインのデザイナーさん?
コシノジュンコのパロデイのような見た目ですが、もしかして田中千代さんモデルのデザイナーの可能性も。
(→ウィキペディア:田中千代田中千代インターネット記念館

会場にお客さんも入って、ショーが始まります。


おうおう商店街ズがんばれ。


悦子様ああああ!!!!!
麗子様ああああ!!!!



(もみたん楽しそう)



さすが週末アイドルの良子ちゃんの笑顔ですが、明美先輩の早く帰りたいオーラがwww




ランウェイ終わり、出演者それぞれが一言あいさつ。



旦那さんを亡くした時子ちゃん。
いつまでも落ち込んでいられない、パーッとおしゃれをしたい、と開店祝いのときに言っていたのがこのサマードレスファッションショーのきっかけでした。



悦子様と麗子様。
戦後復興の兆しが見えてきた。
でもこれからだ。
これからもこうやってみんなで頑張っていこう。



静子さんと節子さん。
ふたりが最初に喜んだことで、企画はスムーズに進みました。
都会だろうと田舎だろうと、おしゃれをしたい、おしゃれをすれば心が元気になる。


そしてすみれ。

思わば1週から「コミュ障ヒロインなんて珍しい」と思うくらいに、口数のすくなかったヒロイン。
序盤はセリフが少なく、セリフがあっても言葉と言葉に間が多くあったヒロイン。



「私たちは神戸の商店街でベビー用品と子ども服のキアリスというお店をやってます。
 戦争が終わって苦しい中、自分は何ができるだろうと考えて今のお店を始めることになりました。

 やっと、夫が帰ってきてくれました。少しは、生活に対する不安も少なくなりました。
 だからこそ、私は気が付いたことがあります。



 それはお店が、私の人生の喜びになっているということです。
 世の中には色んなことがあるけれど仲間でいれば、大きな力が生まれる事を一人では出来ないことも、仲間と一緒ならできること。
 女の人も、そんな夢を見ることが出来る世の中になれば、と思うてます。

 人を信じることの豊かさと夢をかなえていく姿を、私は、娘に見せてやりたいです!」




栄輔の「自分の言葉で伝えなさい」という言葉。
悦子様の「ええ場所」というメッセージ。


紀夫に伝えたいこと。

それは紀夫のもとに届きました。

ここが私の居場所なんだ。
ここが私の生きる場所なんだ。





そして無事に終わったファッションショー。
片付けられる会場に一人現れたのは。


ゆりでした。

誰もいないランウェイ。
サマードレス、ファッションショー企画。
近江でがんばった。
今日だって裏方で頑張った。



泥水を湧き水に変えたね。
とっても素敵。



●動き出した時計


すみれの気持ちを聞いた紀夫。


「すみれの気持ち、よう分かった。自分だけ、浦島太郎のような気になってたけど、うん、それではあかんのやな」

浦島太郎だったのは自分だけじゃない。
すみれもさくらも、みんな苦労してきた。
でも生きるために、自分を成長させて居場所を見つけてきた。
自分も、変わっていかなければいけない。




すみれの思いが紀夫を動かした。

帰ってきた直後の紀夫があまりにもひどく、五十八に喝入れられてもまだまだ受け身的で。
それでもすみれはすみれで、栄輔や悦子様の言葉から紀夫に伝える言葉を作っていく。



戦争を数日間の描写に抑えて、その後の「一度壊れた人間関係の立て直し」にじっくり時間を割く。
とても冒険的だけれど、見応えのある内容です。




紀夫の懐中時計が、また時を刻みだす。
あの時とまった懐中時計がまた動き出す。





●栄輔君はこの日を最後に姿を消しました


まるで紀夫が主人公のような1週間。
その裏には、先週から描かれた栄輔の姿がありました。

紀夫が居場所をとりもどすということはつまり、栄輔が居場所を失うということ。

潔が事務所に戻ると、なにやら大荷物を持っている栄輔。
不思議に思った潔が「どうしたんだ?」と尋ねますが、栄輔は答えようとはしません。


「もしアニキに会えてなかったら、どないなってたやろうなぁ。アニキのおかげで生きる希望が持てた」
「いつか、アニキのおかげで今があると言いたいわ」


復員列車の中で潔に拾われたから、すみれと出会うことができた。
もし妹が生きていれば、こんな女性になっていたことだろう。

すみれと紀夫のように、相思相愛の人と結婚していただろう。
さくらのように、可愛い娘がいるだろう。




ならばそれを壊してはいけない。
自分の思いは伝えてはならない。

それが、すみれのためだから。
もう彼女には「傘」はいらない。
雨の日に一人で涙することはない。
彼女は上を向いて歩いていける。



「栄輔君はこの時を最後に姿を消しました」

いやおまえ、なにイイ男……


再登場…あるよね。
あるよね。






●次週「チャンス到来!」


おらワクワクすっぞ!!!

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