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台本置き場

ラーメン大好き小泉さん 六・七杯目 コココココイズミさん(前編・後編)

2017-03-23 21:10:10 | 台本
ラーメン大好き小泉さん 六・七杯目 コココココイズミさん(前編・後編)




【登場人物一覧】


小泉さん(こいずみさん)

ラーメンをこよなく愛する女子高生。名は不詳で姓のみが作中での呼称名。
身長152cm。ウェーブがかった、金髪ではなくかん水の黄色のイメージの髪を持つ美少女。
ラーメンのこと以外に興味がなく、また、つるんで食べるものではないという考えから
友人などもほとんどいない。
物語開始以前に悠たちが通う高校に転校してきた。
ラーメンに関する知識とこだわりは他の追随を赦さず、
突発的にご当地ラーメンが食べたくなると現地まで赴くなど行動力と執着心は高い。
家系や変わり種のラーメンはもちろん、それほど得意ではないが激辛系のラーメンも好み。
痩身の見た目に反してかなりの大食漢だが、本人にその自覚はまったく無い。
また、食べるのは得意だが、作るのはインスタントの袋麺ですら失敗するという料理ベタでもある。
ナンパされることもあるがその全てを素っ気なく断っている。
東北旅行としてラーメンを食べに行ったことにより一度は追試を受ける羽目になったが
基本的に成績は優秀であり、また理由は不明だがドイツ語も堪能である。


大澤 悠(おおさわ ゆう)

小泉さんのクラスメイト。高校1年生。身長160cm、血液型O型、家族構成は両親と兄。
ショートカットでアグレッシブな少女。昔から可愛い女の子が大好きで、
クールビューティな小泉さんと仲良くなることに異常な執着心を見せる。
その入れ込みっぷりは新幹線に乗って名古屋に停車した際、
小泉さんを見かけたというだけで後先を考えず行動した結果、
ほぼ文無しで見知らぬ土地で迷子になるほどで、
通常もストーカー的に彼女と行動を共にしているが大抵はスルーされている。
それでもめげずに小泉さんと交流を持とうとするが、小泉さんの連絡先を知ったのが、
美沙、潤に次いで最後だったことは本人もショックを隠せなかった。
両親が共働きしている影響で料理が得意。
小泉さんに家庭風アレンジラーメンを振る舞った際は彼女を唸らせた。


中村 美沙(なかむら みさ)

小泉さんのクラスメイト。身長153cm、血液型A型、家族構成は両親と弟3人。
小柄でツインテールが特徴。愛らしい見た目で普通にモテるのだが、
もう彼氏がいるだろうと思われて告白されないタイプ。
当初は小泉さんに対して多少の苦手意識や嫉妬心を持っていたが、
本意でないにせよ一緒にラーメンを食べたのを機に仲良くなっていく。
実は激辛マニア。美容に関しては博識。弟のうち1人はケンタという名前で中学生。


高橋 潤(たかはし じゅん)

小泉さんのクラスメイト。身長158cm、血液型A型、母子家庭で一人っ子。
母親は出版社で編集の仕事をしている。外ハネした長髪に眼鏡をかけた少女。
クラス委員長を務めており、みんなからは委員長と呼ばれている。
テストでは学年上位に入る才女。眼鏡が曇るから、という理由で熱々の麺系を食べるのが苦手。



【キャスト一覧】

4人用

小泉さん    ♀:
大澤 悠・先生 ♀:
中村 美沙・店員♀:
高橋 潤    ♀:

5人用

小泉さん    ♀:
大澤 悠    ♀:
中村 美沙   ♀:
高橋 潤    ♀:
先生・店員   ♀:


【六杯目 コココココイズミさん(前編)】


《校内の掲示板に成績順位表が貼り出されている》


============
1位 安浦
2位 高橋 潤
3位 十津川
============


悠 「潤 すごっ!」

潤 「あー うん」

《男子生徒たちが周りで『さすがウチのクラス委員長!!』
 『委員長スゲーー』などと盛り上がる》

潤M「はーーー・・・"委員長"ってアダ名やめてくんないかな?
   誰もやりたがらないから引き受けただけなのに」

美沙「美沙 今回追試じゃなかった~~~~ イエーーーイ
   赤点ギリギリセーフー」

悠 「ホントだーー めずらし・・・!」


============
   追試者一覧

A組 鳥居
B組 小泉
C組 亀山
C組 藤堂
A組 大門
============


悠 「追試のとこに小泉さんの名前が!! うっそぉー」

美沙「あっ 小泉!!(振り返って)
   やだっ 小泉 赤点? 追試? カ・ワ・イ・ソ~~~~
   女は見た目だけじゃなく"きょうよう"もないとね~~~~
   って 無視すんな~~~~」

悠 「・・・・・・・・・おっかしーなー 
   私の調べだと 編入試験もそこそこ高得点だったはずなのに」

美沙「マジー?」

潤M「一体何処でそんな情報を・・・」

先生「あ 高橋さん」

潤 「何ですか? せんせー」

先生「あの ちょっといい? 小泉さんのことで・・・」(小声で)

潤 「?」


《昼休み 屋上で小泉さんがカップ麺を食べている》


小泉「ずる ずるるる もぐ もぐ」

潤 「いつも屋上(ここ)でお昼食べてたんだ
   今日とかちょっと肌寒くない? 教室(なか)で食べたら?
   悠 探してたし」

小泉「だからです 基本一人で過ごしたいので」

潤 「――そう 邪魔して悪いね」

小泉「ずるっ ずるっ 何か 御用ですか?」

潤 「試験 答案白紙で出したって本当?
   『もしや心のSOS? 悩みでもあるの?
    クラス委員長としてそれとなく聞き出してくれ』
   って先生から頼まれたの」

小泉「・・・・・・・・・・・・」

潤 「・・・・・・・・・別に言いたくないなら言わなくてもいーと思うよ
   先生には私から適当に言っとくからさ」

小泉「・・・・・・・・・・・・
   ――試験日直前に 東北旅行に行っていました」

潤 「え」

小泉「悪天候で帰りの電車が遅延 何だかんだで試験日の朝に東京駅着・・・
   遅刻した上に 疲労と睡魔に勝てず 気がついた時には試験終了
   それで 白紙のまま提出を」

潤 「え え 旅行? 試験前に? 何で?」

小泉「・・・・・・・・・発作的にどうしても食べたくなってしまったんです
   納豆キムチレアチーズラーメン」

潤M「納豆!? レアチーズ!?」

潤 「それ 美味しいの?」

小泉「はい。」

潤M「それを食べにわざわざ東北まで しかも大事な試験前に
   ・・・理解できない」

小泉「岩手に行ったら冷麺、じゃじゃ麺と並んで押さえておきたい あの味」

潤M「!」


《小泉さんが持っている『パイナップル風味 塩ラーメン 果肉入り』の文字を見る潤》


潤M「"パイナップル"?」

潤 「小泉さんてさあ 変(へ)・・・その・・・変わったカンジのラーメンが好きなわけ?」

小泉「今年は年始から"王道醤油系"を食す機会が多くて その反動か ここ最近は一風変わった
   "個性派創作系"達が無性に恋しいのです 旅行もその流れでつい・・・」

潤 「変(へ)・・・いや 個性的なラーメンってそんなにあるものなの?」

小泉「例えば バレンタインに大量発生する チョコ系ラーメン&つけ麺
   夏期にかけてのアイスクリームラーメン レモンラーメン
   ナッツにイチゴ・・・基本 期間限定が多いですね」

潤 「"何故それを混ぜた?"的な・・・ラインナップね」

小泉「これが意外と美味 このラーメンも都内に店舗があるのでお試しあれ」

潤M「・・・ラーメンにフルーツかぁ ちょっと気になるけど」

潤 「・・・・・・・・・実は 私さ ラーメンって苦手なんだよね
   あ 別に嫌いってワケじゃなくて
   ちょっと理由(ワケ)があって・・・!」


《小泉さんが一気に潤から距離をとる》


潤M「――って 遠・・・!! 一気に距離置かれた」

小泉「つまらない話を長々としてしまったようで」(あとずさりしながら)

潤 「あっ いや そうじゃなくて・・・・・・聞いてっ どんどん遠ざからないで」

SE:チャイムの音

小泉「もう用が無いなら私はこれで」

潤 「え あ うん」


《小泉さんがすたすたと屋上から去っていく》


潤M「・・・あちゃー・・・まずった?」


《教室》


悠 「小泉さん! 追試の勉強手伝うよ!!」

美沙「美沙も付き合ってやってもいーよ☆ 小泉がどうしてもっていうならね!!」

小泉「結構です。」




【前編 終わり】


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【七杯目 コココココイズミさん(後編)】


《潤が電車に乗っている》


潤M「何か小泉さんに勘違いされたっぽいな
   ラーメンは嫌いじゃないし むしろ前は好きだったんだけど
   だけど・・・・・・・・・
   あー あれ何だっけ? 小泉さんが食べてたやつ パイナップルの
   ホントに店がある(スマホで調べて発見する)
   しかも 帰り道じゃん 家の近く!」


《パイナップルラーメン屋さんの前に到着する》


潤M「ラーメン屋 久々に来たな ここしばらく避けてたからなぁ
   小泉さんと話してから無性にラーメンが食べたくて仕方無いんだけど
   っていうか あんなしゃべるキャラだったんだ」


《店内に入り、パイナップル海老塩ラーメンのボタンを押す》


店員「いらっしゃいませー」

潤M「・・・・・・・・・・・・ラーメン屋だよね?」(店内を見回して)

店員「どうぞ "パイナップルエビ塩"です」

潤M「うわぁ ホントにあった パインが見える・・・食べきれるかな?
   100均でシュシュ買っといて良かった・・・よし。
   いただきます」

潤 「ふーー ふーー ずず ちゅるっ」

潤M「――あれ? ホント 意外と・・・好きかも
   ・・・煮たまご コレ、好き
   ――やばい おいしいじゃん コレ、かなりパイナップル感
   あーーー・・・久々のラーメンやっぱイイな 体 あったまる」

店員「いらっしゃいませ」


《小泉さんが店内に入ってきて、潤の隣に座る》


潤 「ずるっ ずるっ ずるるる」

小泉「ラーメン苦手だったんじゃないんですか」

潤 「苦手よ だって 眼鏡が曇るんだもの」(恥ずかしそうに)

小泉「・・・・・・・・・・・・そんなことで?」

潤 「そんなこととは何!?
   前に学食でラーメン食べた時 うっかり大勢の前でこうなっちゃって・・・
   笑われて結構恥ずかしかったんだから
   それ以来何となく熱々の麺類食べるの避けてたんだけど」

小泉「眼鏡外して食べたらどうですか?」

潤 「何も見えなくなる。極悪視力 ナメないで」


《後日 学校》


潤 「――で 追試はどーだったのよ?」

小泉「及第点クリアです」

悠M「あれ? 何で2人、フツーに話して・・・」




【後編 終わり】