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貘の檻

2014-08-29 | 読む


この著者のものは、食いつきがいいものと

そうでないものとが極端で、この本も

ひょっとして後者か・・と思ったが、

少しがんばって読み進むうちに

だんだんおもしろくなってきた。


ちなみに半分ほどがんばってみたが

結局いまいちだった・・という時ほど

虚しいことはない。


今回はがんばり甲斐があったというもんである。


主人公は自殺願望のあるうつうつとした人物で、

何でこうも悪夢と過去に追い詰められて

自ら絶壁に立っているのかがよくわからない。


でも理解できないのは

私が心の襞の少ない人間である証拠

みたいな気がするので本当は内緒にしておきたい

のだけれど(笑)


方言の強い土俗的な村で、過去と現在起きている事件の

真相を探る父子の前に現れたカメラマン、

一見ひょうきんそうに見えてひとくせあり気なキャラが

物語を通して唯一明るい存在で彼がでてくると

ほっとする。


蜂の子を取る蜂追いという仕事、この名人芸の持ち主

岡田さんのキャラもいい。


こういう風に蜂の子を集めるということも

初めて知った。


各章の終りに、主人公が見る夢のお話があって

この描写がなんとも、束の間暑さ忘れるくらい

生々しく濃密で、道尾秀介ってこんなに

上手かった?!って思ってしまった。


エラソーにも。。すみません。。


短編の怪奇映画がホラーを見たような感じで

読んで数週間たった今でも、映像が浮かんでくる。


あまり気持ちのいいもんじゃないので

「ゆうべの夢は貘にあげます。」

って感じ。


この言葉は目次の次くらいに

何回か書いてあるが、

こういう思わせぶりな趣向も好き。


途中から

あ~この人が犯人であってほしくないなあ・・

と思い、しかしだんだん可能性が高くなってきて

どうか私の思い過ごしであってくれ!という

思いも空しく嫌な予感が的中してしまった。


ラスト、小さい息子に涙ながらに助けを求める

主人公に対して、なんともしっかりした息子、俊也クン

精神的には父子逆転である。


最後の夢が今日の夢で良かった。



ちなみに

ちらりと見たアマゾンの評価があまり

良くないのでびっくり、ちょっと意外。

★四つくらいのオススメ感はあると思うけれど・・

これもお好みでしょうかね^^;












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