ミステリの女王セイヤーズが創造したピーター・ウィムジイ卿は、従僕を連れた優雅な貴族探偵として世に出たのち、
作家ハリエット・ヴェインとの大恋愛を経て人間として大きく成長し、
古今の名探偵の中でも屈指の魅力的な人物となった。
本書はそのピーター卿の活躍する中短編から「鏡の映像」「盗まれた胃袋」「銅の指を持つ男の悲惨な話」
「不和の種、小さな村のメロドラマ」等、絶妙な話術が冴える7編の秀作を選んだ短編集である。
以上、内容紹介はアマゾンよりお借りしました。
ピーター卿のシリーズは長編11,短編は20以上あるそうで、
クリスティと並び称される作家だし多分一冊くらいは読んだことがあると思うのですが
記憶が定かではありません(笑)
最後の長編「忙しい蜜月旅行」が手にはいったので、ちょっと予備知識というか準備体操に
こちらの短編を図書館で借りてみました。
古き良き時代の推理小説・・といった印象。
陰惨な場面や現代版のお話では不可欠といっていい虐め的なものもありません。
クリスティとは一味違った、少し笑える会話や人物描写がおもしろいですね。
たとえば・・最後に収められた中編「不和の種、小さな村のメロドラマ」
「雨に打たれながらの葬儀くらい、参列者にとって迷惑なものはありませんからね」
「おっしゃるとおりですわ。年寄連中の愚痴が聞こえるみたい・・こんな片田舎の小さな村だと
冬のあいだの楽しみといっては、お葬式しかないといっていいのです。
ですから・・・明日のお葬式の噂で持ち切りでしたのに・・」
はあ~ん、娯楽が葬式とは!
そんな不謹慎はことを言ってはいけませんことよ、などと窘める人もいないのも可笑しいし・・
年寄と子供には結婚式や葬式はワクワクする集まりなのですね、古今東西。
しかしこの会話でこの小さな村がどれだけ閉鎖的で、ある意味平和で退屈なのかが
一発でわかる仕掛けにもなっています。
ちょっとありえない設定のお話もありますが、(臓器の配置が逆の人間とか^^)
細かいことには目をつむりましょう~気軽に楽しむ短編集でした。
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