夏音

「なつのね」ぶろぐ

国際化という隠れ蓑

2005年07月03日 17時03分23秒 | 政治・社会
"「iPod」への私的録音補償金賦課、文化審議会では慎重論相次ぐ"

数日前の記事でいまさらだけど.
記事中に以下の記述がある.

> 権利者側の主張は主に3点ある。具体的には、(1)欧米のいくつかの国では、
> HDD音楽プレーヤをはじめ新たな録音機器への補償金賦課を積極的に進めている、
> (2)補償金の代替案として提示されているコンテンツ配信への課金については、
> 欧米でも今のところ普及しているとは言えない、(3)私的録音録画補償金の管理は
> 明確に行われており、個々の権利者まで適正に配分している、などである。

新しい制度を押し進めようとする側の主張によく見られるパターンとして
「欧米のいくつかの国が…」というものがある.

しかし,彼らの口から,いくつかの国というのがどこの国なのか,また,その制度を
採用した背景について,説明はないし,そのような報道がなされることも少ない.

例えば,去年,問題となった輸入権に関しても,欧米のいくつかでは還流防止措置を
採用していると説明がなされたが,一方でそれらの国には再販価格維持制度はないと
いう事実は語られなかった.そして,両者を併存させることによる消費者メリットは
ほとんどない.

この姿勢からは,総合的かつ調和的なシステムを考えるのではなく,単純に新しい
システムを実現させることだけを目的としているように思えてならない.
つまり,法律や制度の改変が必要で,かつ,今回のように,一般ユーザの明らかな
反対が想定されるとき,世界の流れはこうなんですよ,と示すことでその反対を
封じ込め,なし崩し的に法律や制度の改変を実現させる,という新しいメソッドが
できあがりつつあるのではないかと.

国際化を批判しているのではない.国内の要望を基にしたシステムの実現のために,
国際化という我々の手に届かない理屈を持ち込むのはやめて欲しい…言いたいことは
これだけである.