代々木の個別学習塾講師が想う、あれこれ

教育関連のニュースや日々の出来事に塾講師が思うことを綴っていきます。

教師の役割と親の責務と政府の仕事

2006-05-24 | 教育ニュース

気になったニュースを3つ・・・まずは朝日新聞から。

まずは小学生の集団登校についてです。
各地域や学校によってそのルールは違うようですが、昨今の児童が犠牲となる事件を受けて
登下校のあり方について見直しが進んでいるという記事です。

私が小学生だった頃、近所の児童で班を作り、集合場所で上級生と遊び、上級生となれば
班長が筆頭となって下級生の面倒をみながら登校していたのを思い出します・・・

遅刻をすればみんなに迷惑がかかるため、お互いが注意していたように記憶しています。
それでも時間になって来ない児童の家に呼びに行き、何かあれば班長が家に報告に行き・・・
幼く拙い面はあったでしょうが、小さくとも一つの組織として機能していたように感じます。

次も朝日新聞からの記事です。
万引きをした小学生はお店の主人からお説教を受けることもなく、
警察に補導されるケースが増えているという記事です。

理由は店主が子供や保護者に注意しても、トラブルになったり無力感を感じるためだそうです。

「金を払えばいいだろ!」「コミック1冊で親に土下座しろって言うのか」
「防犯カメラが少なくて、死角が多いから」「たかがそれぐらいで・・・」
などと言われたら、確かに警察に連絡するのも仕方ないと思います。
しかし、一方であくまでも警察には通報せず、店長自らが説教する店長もいるそうです。

気が滅入る記事であり、現在の問題点が浮き彫りになっているように思われます。

そして昨日の毎日新聞の記事です。
文部科学省が児童生徒の指導厳格化を報告というものです。
重大な問題行動を予防するために、子供の些細な問題行為に対して教職員が曖昧な
態度を戒める必要であり、問題のある生徒児童に対して出席停止措置もためらうな・・・
が、おおよその記事内容です。

このニュースに関しては識者の間でも意見が分かれているようですし、現場の先生方も
生徒の信頼関係を損ないかねない・・・
教師の責任を棚上げにし、子供を力でねじ伏せようとしているようだ・・・
と懐疑的になっていたり、ためらいや悩みがあるようです。

このニュースを見て、では今までの生徒指導は厳格ではなかったのか?という疑問があります。
出席停止にすることで授業の妨害を防ぎ、真面目な生徒を守ることは出来るでしょう。
段階的に指導し、それでも行動に改善が見られず最終的に出席停止措置を取ったとしても
恐らく解決など出来ないと思いますし、そのために費やす教師のエネルギーも
測り知れないとだろうとも推察します。

信頼関係が崩れる云々ということに対しては、逆にそうした関係が出来ていれば問題行動は
起こさない、あるいは適切な指導により改善するはずだと思うのですが、甘い考えでしょうか。

何より考えなければならないのは、どうしてこういった事態になったのかという点だと思います。
そして、ここでどうしても体罰ということが問題に挙げられるはずです。
一昔前には歴然と体罰があったように思います・・・
私自身も数多く教師の愛情をたっぷり含んだ体罰を受けましたから。

体罰が原因で生徒児童が取り返しの付かない傷を受けたり、場合によっては
死に至らしめることがあったのも事実であり、必ずしも体罰を肯定するものではありません。

しかし止むを得ず、体罰が許される事態もあるだろうということです。
現場の実態も知らず理解もしないで、体罰をすれば教員が責められる、
あるいは辞めさせられる・・・という実情を作り上げてきたのは誰なのでしょう?
またそういった風潮や考えを広めてきたのは誰なのでしょう?

子供たちは知り、ナメているのも事実です・・・教師は子供に手は出せないということを。
だからといって体罰を肯定し、それを厳格な指導とは言いませんし、出席停止措置もそれで
児童生徒が迷惑や被害を受けることがなくなるのであれば一概に悪いことだと思いません。

根本解決には保護者の力と意識と責任と教育が必要であることは間違いありません。
上記事の万引きの件のように、それが出来ない現実が問題であり
出席停止にしろ、
体罰にしろ、警察への通報にしろ、家庭の協力と理解がなければ
解決は望めないのではないでしょうか?

もちろんそうした家庭の協力や理解が望めない、問題行動を起こす子供に真っ向から
向き合い、解決されている教師もいるでしょうが、全ての教師にそれを望むことや
期待することは、酷であり、本来の教師という仕事の業務とは違うのでは?という思いです。

となると、問題行動を起こす子供の親に、子育て教育を施す必要が生じ、しかし現在もそして
将来も実際問題、不可能と予想される以上、問題行動を起こす子供の改善も無理である・・・
と結論付けるしかないのであれば、それはとても寂しい限りです。

にもかかわらず、政府が声高に少子化云々というのは的外れであり
こうした根本的な解決を見ないままに、虐待を行ない、子育てに責任を感じない親が
増えるとしても(増えている?)子供を増やせといういうのでしょうか?

それではますます日本が荒んだ国になってしまい、問題行動を起こす子供や、虐待により
傷を受ける子供、命を奪われる子供を増やすようなことがあってはならないのです。

指導の厳格化は必要でしょうし、厳罰も応急処置として何もしないよりは良いでしょう・・・
その前に問題行動を起こす子供を増やさないための方策を考えて欲しいと願うのです・・・
本当は分かっているのでしょうから?ハッキリと大人たち教師に突きつけるべきだと思います。

http://tokkun.net/jump.htm

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