代々木の個別学習塾講師が想う、あれこれ

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公立高校に合格のため、通塾する必要はある?ない?

2006-05-02 | 教育ニュース

朝日新聞の記事からです。
公立高校における学力重視の指定校制が進学実績で結果を出しているという内容でした。

東京都では進学指導重点校が指定され、確かに飛躍的に進学実績が向上しています。
かつての名門復活とまで言い切れるかどうか、私立高校の台頭もあり、一昔前の実績と
単純に比較はできないとは思いますが、それでもここ数年の合格実績の推移を見れば
進学指導重点校指定の試みは見事に成功している、と言って良いのではと思われます。

東京都ホームページにその実績や取り組みなどの詳細は掲載されており、各高校が
目標を具体的に立て、教師が一丸となって進学指導に力を入れている様子が想像できます。

土曜日や夏休みの利用など、かつては見られなかった積極的な指導も行なっています。
ただ、こうしたことだけが実績を伸ばした理由ではなく、学区の廃止や、
自校作問による入試の実施とともに、都内全域から優秀な生徒を
確保できるようになったことも理由として挙げられます。

また進学だけを目的とせず、各学校がそれぞれ特色のある学校作りを行なっている
都立高校も見られ、都立高校の改革は進んでいるように思われます。

ただ進学指導重点校に関して言えば、自校作問による入試であり、
その内容はとても難しく、教科書レベルでは到底太刀打ちできない問題であり、
学校の授業内容だけではとても解けないであろうという現実があります。
つまり、学校とは別に自校作問入試に特化した勉強を行ない、
対策を立てなければ合格レベルに届かない・・・ということです。

どこか、こうした現実に割り切れない思いと矛盾を感じてしまいます。
進学指導重点校だけが全てではありませんし、生徒それぞれの目標や目的によって
学校の授業内容、教科書内容をしっかり理解し、身につければ問題ない場合も多くあります。

しかし、区立の小学校から区立の中学校に通い、部活動と学校の勉強を頑張っても
そうした入試問題が難しい高校には都立高校といえども合格できない・・・
もちろん、塾にも行かず、自力で合格できる生徒がいるのも事実でしょうが、
一般的には、やはり学校以外で学力を補う必要があるということに問題を感じるのです。

先日、文科省が打ち出した、無料の公立塾を設置するという方針を打ち出しましたが
むしろ、学校の授業内容だけでは入試問題で得点できない、進学指導重点校に
見られる自校作問入試にも対応できる授業を希望する生徒が受けられる制度も
公立中学校は考えるべきだと思うのです。

進学指導重点校が行なっているように、希望者に対して、土曜日や夏休みを利用した
補習・講習や講座を行なって欲しいと思うのですが、物理的に難しいことなのでしょうか?

区立中学校だからこそ、そうしたニーズに応え、少なくとも学校の授業だけで、
塾に通う必要もなく、進学指導重点校をはじめ、希望する高校に合格することが
出来るだけの指導やシステムを確立して欲しいと願うのです。

区立中学校だけの授業では、都立高校の上位校に合格出来ない
という現実はとても歪だと感じてしまいます。

本来あるべき公立学校の姿は現在の姿なのでしょうか?
このままでは公立学校の意味や価値が損なわれてしまう気がしてなりません。

http://tokkun.net/jump.htm