代々木の個別学習塾講師が想う、あれこれ

教育関連のニュースや日々の出来事に塾講師が思うことを綴っていきます。

骨太だけど、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)?

2006-05-19 | 教育ニュース

政府の「骨太の方針」に盛り込まれることが予定される教育行政に関わるニュースを3つ・・・

教員給与が一般の公務員よりも平均して4%ほど優遇している制度の見直しと、
その優遇制度の根拠となっている人材確保法の廃止を検討するというもの

次に、教育委員会制度の見直し(不要案)

最後に国際競争力強化を目指したグローバル戦略、その中身は、2010年までに・・・
①若者フリーターを2割減少させる
②TOEICテストで700点以上の得点者を倍増させる
③国際学力調査の成績を世界トップレベルにさせる

まず教員給与に関しては、子供を教育するという点での教員の役割は、計り知れない
エネルギーと責任が必要なはずで、むしろ優遇されるべき立場にあるように思います。

しかし一律に優遇しているという実態には真摯に対応し、改善すべきだと思います。
なかなか公平で、明確な基準を設けることは困難を極めると思いますが、
その原因はやはり、あまりにも雑多な業務が教員にのしかかり、
学力とは違い、数字だけでは判断できない業務の影響があるためだと思われます。

業務分担や簡素化、校長他の教職員、保護者、地域の住民による評価が望まれるところです。
各地域・学校の事情により、評価判断の基準や期待する内容は違うでしょうが、
仕事である以上、当然行なうべきものだと思います。

正直、新学期になり、担任の先生は誰になるのか・・・
という不安と期待は子供や保護者にとってはとても大きく、実際、教員に対する
評価・評判は保護者どうしの横のつながりによって、広まっているのが現実です。
そうした声が必ずしも正しいとは言えませんし、あくまで噂の域を出ない場合もあるでしょう。
さらに保護者個々の捉え方も千差万別であるだけに、
それが教員評価に直結するのもではないと承知していますが・・・。

いずれにしろ、少なくともお互いがよく知る教員どうしの間で、感じていると思われる
不公平感がなくなるような給与体系をまず確立すべきだと思うのです。
公教育を充実したものするのならば、それを担う自覚と責任感がある教員への待遇を考え
財源を削減する方向ではなく、むしろ増やす必要があるように思われるのです。

教員の実力格差は存在するが、給与格差は存在しない・・・という現実を
教員の実力格差をなくし、給与格差は存在しない・・・とするのか
はたまた、教員の実力格差は存在するが、給与格差も存在する・・・とするのか
という問題に帰着するのではないかと思います。
子供を学校に預ける側からすれば、教員の実力格差がないことが理想なのですが。

次に、教育委員会の廃止への動きですが、その実態がよく分かりません。
教員は教育委員会を恐れている、方や教育委員会は現場を理解していない
という印象を個人的には持っていますが、実際はどうなのでしょうか?

規制改革会議員は、教育委員会は学ぶ者の立場を守っていない
教員OBのたまり場みたいになり、教育的効果はあまりない・・・と主張し
文科省は、政治的中立のためには必要だ
私立学校についても教育委員会が指導・支援できるようにする・・・との見解を示しています。

公正に現場教員を理解し、評価できる、あるいは的確な問題解決ができる、
新しい制度を導入したり、子供により良い教育環境を整えられる組織であれば
問題ないように感じますが、いかがなのでしょう?

最後のTOEICテスト700点以上、国際学力調査の成績をトップレベルを目指すのであれば
それなりに勉強時間と、指導力に優れた実力ある教員が不可欠です。

国公立学校の年間必修標準授業時間数の調査によると、小2~中2の8年間トータルでトップの
オランダが8081時間に対し、日本は5890時間でOECD平均の6560時間も下回っています。
詳しくは教室発行のメルマガバックナンバー2006年4月号をご覧下さい
現状の授業時間で、トップレベルにさせるといっても現実味がありません。
無料の公立塾でそれを補うとでも言うのでしょうか?それとも塾に通いなさい・・・とか?

どれもまだ不透明ですが、内容をみる限り実現を期待するには、あまりにも実態と
かけ離れているように思われますし、多くの矛盾も感じずにはいられません。
どれだけのことを期待していいものなのでしょうね?

http://tokkun.net/jump.htm