代々木の個別学習塾講師が想う、あれこれ

教育関連のニュースや日々の出来事に塾講師が思うことを綴っていきます。

iPodで授業が受けられる・・・じゃなく見られる。その違いは大きい。

2006-05-05 | 教育ニュース

本日の読売新聞からです。

NECは『iPod』に学生が授業動画など保存し、
場所時間を選ばずに受講できる教育システムを発売する・・・と。

学生が講義の動画をダウンロードすれば学校側に通知され、
出欠状況の管理も出来る仕組みだそうで、その売り込み先は
大学、専門学校、塾、予備校、小中学校とありました。

夜遅くなってしまう塾などは子供の安全を考えると、止むを得ない、それもあり?
予備校ではサテライト授業を行なっており、それがより便利になるだけのことなのかな?
・・・と納得というか、理解できなくもないですが、それだけで学力が付くとは
到底思えませんし、誰も苦労しないでしょう。

あくまで授業の復習というか、補助的なものとして捉えるならば
やらないよりやった方がいいという思いはしますが・・・。

しかし、小中学校に売り込む、学校現場での普及を目指す、とはどういう意図なのでしょうか?
義務教育にこういったシステムは相応しいと考えているのか、つい疑ってしまいます。
小中学校に行かなくても授業を受けられる・・・いずれは学校に行く必要がなくなる?
と想定しているのであれば、大いに問題があるように思われます。

もちろん、いろいろな事情があって、学校にいけなかったり、
欠席せざるを得ない子供に対してならまだ話は分かりますが、
普通に学校にいける子供たちに対しても、このシステムによる授業を
普及させようとしているのでしょうか?

学校とは、授業とは、どのように考え、その教育効果をどう捉えているのでしょう。
一見、便利そうではありますが、教師と生徒のつながり、授業中の緊張感、
そして質問や会話などがなくなる授業・・・公教育にまで導入するべき
システムではないように思われ、仕方ありません。

仕事や作業において、便利なことや効率が良くなるシステムを考え
技術の進歩・開発によって導入することには大いに賛成します。
しかし、こと教育に関しては必ずしも便利であるとか、効率的と
思われるシステムを安易に導入することはどこか危険な気がしますし、
そうした便利、楽、効率的という価値観だけで考えるべきものではないと思います。

非効率的であるとか、手間や時間がかかる、といったことだけで
公教育の意義や価値を測って欲しくはないと思います。
教師と生徒のお互い生身の人間同士として、一方通行ではない
やり取りを大切にする教育が必要なのではないでしょうか?

ただ具体的な活用方法や、意図していることが詳しく分かりませんので、
このような思いが私の一方的な思い込みであり、杞憂に終わることを願っています。

http://tokkun.net/jump.htm