「自分のことは自分で行うように!出来るだけ人に頼らないように!」と、小さいころか
ら学校でも家庭でも言われ続けていたので、還暦を過ぎた私の年代の人は皆、出来るだけ人
に迷惑をかけないようにして、生きるべきだという教育を受けて育ちました。また、それが
身に付いています。
ですから、いろいろなことが生じても出来るだけ周りの人に迷惑をかけないように自分な
りに頑張って生きてきましたが、最近この考え方が揺らいできました。歳をとったせいだと
思いますが、どうしても自分だけあるいは家族だけの力では生きて行けないことがあること
を、身をもって体験することが多くなりました。
両親が高齢になると特に大変です。我が家は両親がともに認知症(父親の方が重症)であ
るので、両親だけでは生きて行けない状況になっています。息子として出来るだけのことを
していますが、ある一線を越えると会社を辞めない限り両親に付き添って介護をすることは
不可能です。
宝くじを常に買い求め、当たったら会社を辞めて両親の面倒をみようという情けない考え
方を持っている者には幸運が舞い込んでくることはありませんが、凡夫はついつい楽な方向
に進んでしまいがちです。地道な努力の積み重ねがいつか実を結ぶものだと、自らに言い聞
かせています。
幸いに父親は、介護保険制度をフルに使って週5日デイサービスに通っています。デイサ
ービスを利用する日は毎朝、ヘルパーさんに来ていただきデイサービスに出かけるための準
備作業をお願いしています。
最近は、父親が歩けなくなったこともあり車椅子を利用することになったため、毎朝だけ
でなく就寝の際に車椅子からベッドへの移動を支援していただくために、夜もヘルパーさん
に来ていただく様になりました。母親がこれらのことが出来ればいいですが、今年85歳に
なる体の小さな母親には到底不可能なことです。また軽度の認知症なのでさらに難しい状況
です。
息子としては、土日だけになりますが実家に行き、両親の面倒をみています。自分で介護
の真似をしながら考えることですが、自分の両親だから下の世話や体を拭いてあげるまで何
とかできますが、これが他人だったらどうだろうかと思います。
いくら職業であるとはいえヘルパーさんは本当に大変だと思います。このような大変さは
頭で考えてもその本質が分かりません。自ら体験してみないと分からないものです。
先日も両親を心配してくれているヘルパーさんが、自発的に両親のもとへ出かけ様子を見
て適切な対処していただき、熱中症になる前に何回となく助けていただきました。本当に感
謝をしています。デイサービスの職員の方も親身になって心配し、色々な面で助言していた
だいています。ありがたいことです。
両親を取り巻く人々の心温まる対応により、どうにか両親が生き延びていることは紛れも
ない事実です。無縁社会というような言い方がされていますが、幸いに私の両親の周りでは
多くの方から優しい心遣いを頂き感謝しています。
両親は多くの人に支えられ生きています。今の両親が反対に他の人を支えることはできな
いので、その分は私が他の人を支えるようにして、両親にしていただいたものをお返しした
いと思っています。
このように支え合っていく繋がりが切れなければ、社会はより成熟し暖かいものとなると
思います。自分で言うのも可笑しいですが、人に対しての優しさが少しづつ身に付いてきた
ような感じがします。まだまだ修行が足りませんが・・・・ 合掌
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