病室のベッドは入って左の真ん中しか空いていなかった。
隣、通路側のベッドに蟹江敬三を一週間ほど煙で燻した感じの男が横たわっており、
私が入院するとすぐにガラガラ声で『あんた、なんで入院の?』と訊ねてきた。
『は、、あ、はい、、腎臓です』と応えると、
『ふ~~ん、、あたしも腎臓たい。あたしは糖尿もあるし心臓も悪かけんあんたんとは病気のうちに入らんばい』
と何だか偉そうに言った。
しばらくすると、どうやら敬三がこの病室の名主(なぬし)であり、
入院暦も1ヵ月半と室内でもっとも長いという事がわかった。
敬三は医者から禁じているにもかかわらず煙草を喫い、
しばしば、他の入院患者に『一万円札しか持たんけん』と言って百円玉を借りたりした。
(もっとも、翌日百円は返却していた。)
またこの病院は、入浴したい場合、
浴室の入り口にある黒板に、チョークで希望する時間と自分の名前を書くようになっているのだが、
敬三は自分ではこれを書かず、
誰かが洗面器を抱えて風呂に行きかけるとそれを捉え、『あ、あんたの次に書いとって』と頼んだ。
彼は医者から毎日尿をビーカーで量るように指示されていたが、ある日の夕方、
検温に来ていた鶉(うずら)の卵のような顔をした若い看護婦に
『風呂に入ったらションベンばまりとうなったけん、まったばい!』と大声を出し、
『え~~!!』っと驚く鶉ちゃんに『がはは、、心配せんでよか!風呂桶の外でやけん』と続けた。
鶉ちゃんが『あぁ~、、そうじゃなくって、おしっこの量ば量らないかんでしょうが!』と言うと、
敬三は急にバツが悪くなったのか真顔になって
『んなら、なんかお前は、、風呂にへぇったらしょんべんまりとうならんとか!?』と見当違いの反論をし、
鶉ちゃんから、『そんなとは、お風呂に入る前におしっこばしとけば良かでしょうもん!』と言い返され、
『、、、んん、、、し、知らんやったもん!』と口を尖らせていた。
隣、通路側のベッドに蟹江敬三を一週間ほど煙で燻した感じの男が横たわっており、
私が入院するとすぐにガラガラ声で『あんた、なんで入院の?』と訊ねてきた。
『は、、あ、はい、、腎臓です』と応えると、
『ふ~~ん、、あたしも腎臓たい。あたしは糖尿もあるし心臓も悪かけんあんたんとは病気のうちに入らんばい』
と何だか偉そうに言った。
しばらくすると、どうやら敬三がこの病室の名主(なぬし)であり、
入院暦も1ヵ月半と室内でもっとも長いという事がわかった。
敬三は医者から禁じているにもかかわらず煙草を喫い、
しばしば、他の入院患者に『一万円札しか持たんけん』と言って百円玉を借りたりした。
(もっとも、翌日百円は返却していた。)
またこの病院は、入浴したい場合、
浴室の入り口にある黒板に、チョークで希望する時間と自分の名前を書くようになっているのだが、
敬三は自分ではこれを書かず、
誰かが洗面器を抱えて風呂に行きかけるとそれを捉え、『あ、あんたの次に書いとって』と頼んだ。
彼は医者から毎日尿をビーカーで量るように指示されていたが、ある日の夕方、
検温に来ていた鶉(うずら)の卵のような顔をした若い看護婦に
『風呂に入ったらションベンばまりとうなったけん、まったばい!』と大声を出し、
『え~~!!』っと驚く鶉ちゃんに『がはは、、心配せんでよか!風呂桶の外でやけん』と続けた。
鶉ちゃんが『あぁ~、、そうじゃなくって、おしっこの量ば量らないかんでしょうが!』と言うと、
敬三は急にバツが悪くなったのか真顔になって
『んなら、なんかお前は、、風呂にへぇったらしょんべんまりとうならんとか!?』と見当違いの反論をし、
鶉ちゃんから、『そんなとは、お風呂に入る前におしっこばしとけば良かでしょうもん!』と言い返され、
『、、、んん、、、し、知らんやったもん!』と口を尖らせていた。
退院後、大姉のブログを覗いたら、
ちょっとナーバスになっておられたようなので心配しました。
また元気になられて良かった!
敬三のような人は必ず居ますねぇ(笑)
けっして悪い人ではありません。
ただ、ちょっと、、横着なところがあるのかしら、、、?
とても興味深い人物でした。
自分自身の「こころの野暮用」が、一段落したので
Pさまブログにコメントする余裕ができて、、(笑い)
>蟹江敬三を一週間ほど煙で燻した感じの男が横たわっており
この話は、おもしろかぁ~~!!
大体、蟹江自身の顔が、あの顔やけん
この敬三の顔も想像つくばい。
表現の上手かやん!
それに、臨場感の溢れていて、敬三のするこつなすこつ
おる、おる!
必ずこげな人間はおるとやんね!(笑い)