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青本読んでる? その1

2010-07-16 22:40:00 | 特許法
 受験生なら誰でも読まなければならない青本ですが、読んでますか?

 論文試験を受験された方で、わずかであっても(?)口述試験に進む可能性のある人は夏の間にぜひ青本を読んでおきましょう。
 また、短答式試験で残念ながら涙を飲んだ人もいらっしゃると思いますが、短答は条文と青本(と審査基準)が基本ですね。

 とはいえ、青本を読めと言われても何をどう見てよいのやらと思うかもしれませんね。ちょっとずつ見ていきましょうか。
 まずは第1条を見てみましょう。書いてあることはいわゆる秘密公開説(代償説)と呼ばれるもので、「特許制度は新規発明を公開した者に代償として特許権を付与して独占させる」ということを述べているのですが、私が注目したいのは、

「すなわち、特許制度は、新しい技術を公開した者(特許法的にいえば産業上利用することができる発明について特許出願をした者)に対し、その代償として一定の期間、一定の条件の下に特許権という独占的な権利を付与し、他方、第三者に対しては・・・」
となっているところのアンダーラインをした箇所です。

ここには、なんと、「新しい技術を公開した者」というのは、特許法的にいえば「特許出願をした者」のことだと書いてあるのです。公開の代償として特許権を付与するという場合の「公開」というのは「特許出願」のことなのですね。「発明の公開」というのは、直接的には「出願公開」や「特許掲載公報の発行」という意味ではないのです!

この点については、古典的名著「吉藤」にも、

「発明者に要求される発明の公開
 特許制度上、発明者に要求される発明の公開とは、個人的秘密の状態を解き発明の内容を政府に開示すること(disclosure of secrets)の意であり、広く開示(公表)することの意ではない(公表は政府の責務)。」(13版6頁)
と書いてあります。

この記載からも「新規発明公開の代償として特許権を付与する」というフレーズの「公開」の意味は、決して直接的には特許掲載公報の発行や出願公開のことではないということがわかります。

「・・・の場合は、何ら新たな発明を公開することにはならず・・・」のようなフレーズにおける「公開」が、政府による公開を意味することはもちろんあるのですが、特許制度の出発点としては、上記のような理解をまずは持っておくとよいと思いますよ。









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1 コメント

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青本ゼミを通信受講したいと思っています。予定等... (kota)
2010-07-17 07:08:04
青本ゼミを通信受講したいと思っています。予定等決まりましたらお知らせください。
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