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Valuation/Accounting/Finance/USCPA
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静態論と動態論

2008-06-30 11:55:11 | USCPA
静態論と動態論について

利益の計算方法に関して

静態論とは、企業利益を期首純資産と期末純資産の差額により計算するもので、具体的には、前期の貸借対照表から求められる純資産と、当期の貸借対照表から求められる純資産の差額で利益を求めます。資産と負債の差額である会社の純資産を求めることが最重要課題になっています。

静態論における利益の計算に損益計算書、収益、費用といったものは一切出てきません。

これに対し、動態論とは収益と費用を損益計算書に集め、そこで利益を計算します。結果的に貸借対照表の資産の分に振り返られるので、結果だけを見れば同じですが、“収益と費用の差額で”利益を出すことがメインです。

・計上する資産の価値について

静態論においては、いくつか考え方がありますが、一番わかりやすいものでいえば、資産をその売却価値で計上するというものがあります。これは直接的に資産の価値を定義している、ということになります。

これに対し、動態論では先に述べたように、収益と費用から利益を求めることが最重要課題になっています。

ここで、当期の収益とならなかったもの、当期の費用とならなかったもの(残額)が貸借対照表に計上される価額となります。つまり、貸借対照表の価額は、収益と費用の対応関係から間接的に求められるもの、といえます。

例えば、棚卸資産は当期に売上原価(費用)とならなかったものです。それが貸借対照表価額になっています。


収益費用アプローチも資産負債アプローチもともに利益の計算方法(アプローチ)です。○○論とはもっと大きな範囲のものと言っていいと思います。

 収益費用アプローチとは、先ほどの説明と同様に、収益と費用の対応関係から利益を求める考え方です。
 ポイントは“収益と費用の定義が先に来る”ことです。

 資産負債アプローチとは、資産と負債の差額によって求められる純資産の増加減少によって利益を計算するものです。
 ポイントは“資産と負債の定義が先に来る“ことです。
 ですので、静態論もこの考え方に入ってしまいますが、静態論の貸借対照表とは全く違ってきていますので動態論の部類に入れています。

 全てを資産負債アプローチで計算すると、FASBによれば、
1資産負債の増減を資産・負債ごとに集計する
2貸借対照表にて利益を計算する
3資産負債の増減事由を損益計算書に計上し、2の利益の増減の内訳を説明する
 という順序になるようです。3の増減事由は収益費用に相当するものですが、収益費用とは定義されていません。例えば資本項目も損益計算書に載ることになるのかも知れません。
 この部分は蛇足ですね。。。



で、本題の長所&短所です。

 収益費用アプローチの長所は何と言っても、本業の業績利益の把握ができるという点です。
 長期的にその会社がうまくいくかというのは本業がうまくいっているかで判断すべきです。

 業績利益は、収益と原価(費用)によって求められます。これが時価による収益(往々にして未実現利益を含む)と原価によって計上されたのではキチンとした努力と成果の対応の結果である業績利益ではなくなってしまいます。成果に努力が伴っていないと言うことです。
 これではキチンとした業績評価ができないではないか、ということです。
 裏を返して、資産負債アプローチではこの点が短所となります。

 資産負債アプローチの長所といえば資産を公正価値で評価することにより、企業の価値を正しく評価出来るという点です。
 企業の価値とは、企業が持つ将来獲得キャッシュフローです。株主が配当として得られるキャッシュ、債権者が弁済を受けられるキャッシュetc.によって評価されます。比較的短期のステークホルダーの利益を考慮した結果といえます。
 企業の価値とは資産負債を公正価値で評価することで可能となります。
 収益費用アプローチでは認めなかった未実現利益でも、将来キャッシュを評価する上では考慮する必要が出てきたということです。

そして、資産負債アプローチの欠点のもう一つは、公正価値が堅い数字ではないということです。将来のことを見込んで価値評価をするのですから、そこに予測が不可欠となります。これが間違っていたりすると、ステークホルダーの判断を誤らせることになります。
 エンロンでは光ファイバーの売却益を、その市場がないことから好き勝手に収益を計上することができてしまいます(100束のうち1本売れたら100束売れたことにするというように計上していたようです)。

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