『婚前』 金原ひとみ著
いつの時代でも「結婚」という言葉に重みを感じているのは男より女でしょう。
学生時代からの恋愛を通して恋というものを慎重に選び愛という名に成長させていった彼女は、気がついたら独身のままで社内の年長組に参加していた。
そこに、恋愛純粋完璧男が現れやがて付き合うようになる。
彼の部屋にはマニア性のない真っ当なタイプのエロビデオしかない。
彼の手帳には簡素なスケジュールしか書かれていない。
携帯にもパソコンにも何ら生々しい情報も残っていなく、パソコンのネット履歴を調べてみても、フットサルやサーフィン、友人のブログやエスニック系のショップ、誰に見られても恥ずかしくないページばかりが存在する。
自然体で爽やか、いや爽やか過ぎる彼はまるで精巧な作りもののようだ。
そして、イタリアンの店を貸し切ってのプロポーズ。
寝ている間にこっそり指輪のサイズをはかるマメがききすぎる彼。
完璧な理想の夫像なのに彼女は不安を感じる。
クセのない男は面白味に欠けるということなのだろうか?
不妊体質は彼女にとって誰にも言えない秘密事項。
恋愛対象者に引け目を感じる彼女が男性に対して慎重になるのは仕方ないが、それでもどこか得体の知れない男の影を捜しつづけるのは、女の本能だとは思えない。
いいじゃんこの彼で! 僕は何度とつぶやいていた。
これから長く続く結婚生活において刺激的な男は単に飽きるし、ダメになる日が必ず来る。
そう! 隠し味バッチリの濃厚なパスタよりあっさりとしたうどんの方が毎日食べられるし。
そんなことを考えていると彼女は水商売風の彼の年上の従弟に嫉妬するようになる。
彼の過去、自分の知らない彼を見てきた彼女に嫉妬する。
過去にどこかで羽目を外した彼の姿を捜し、完璧な人間なんていないということを証明し、自身の安心感を手に入れたい。
そして、不妊体質と比較したいという意味も込めて…。
結局生涯のパートナーと自分を重ね合わせたいだけなのだ。
自分が夫婦の主人公であることをこれからも確認したいだけなのだ。
どうでもいいじゃんそんなこと!
なんて言いたいのだけれど、人の奥底には無意識にその方向へ走る自分がいるのだろうね。
PS. この作品はyom yomu10月号に掲載されていま~す。
その他、爆笑問題の太田光の作品もありますよ。
いつの時代でも「結婚」という言葉に重みを感じているのは男より女でしょう。
学生時代からの恋愛を通して恋というものを慎重に選び愛という名に成長させていった彼女は、気がついたら独身のままで社内の年長組に参加していた。
そこに、恋愛純粋完璧男が現れやがて付き合うようになる。
彼の部屋にはマニア性のない真っ当なタイプのエロビデオしかない。
彼の手帳には簡素なスケジュールしか書かれていない。
携帯にもパソコンにも何ら生々しい情報も残っていなく、パソコンのネット履歴を調べてみても、フットサルやサーフィン、友人のブログやエスニック系のショップ、誰に見られても恥ずかしくないページばかりが存在する。
自然体で爽やか、いや爽やか過ぎる彼はまるで精巧な作りもののようだ。
そして、イタリアンの店を貸し切ってのプロポーズ。
寝ている間にこっそり指輪のサイズをはかるマメがききすぎる彼。
完璧な理想の夫像なのに彼女は不安を感じる。
クセのない男は面白味に欠けるということなのだろうか?
不妊体質は彼女にとって誰にも言えない秘密事項。
恋愛対象者に引け目を感じる彼女が男性に対して慎重になるのは仕方ないが、それでもどこか得体の知れない男の影を捜しつづけるのは、女の本能だとは思えない。
いいじゃんこの彼で! 僕は何度とつぶやいていた。
これから長く続く結婚生活において刺激的な男は単に飽きるし、ダメになる日が必ず来る。
そう! 隠し味バッチリの濃厚なパスタよりあっさりとしたうどんの方が毎日食べられるし。
そんなことを考えていると彼女は水商売風の彼の年上の従弟に嫉妬するようになる。
彼の過去、自分の知らない彼を見てきた彼女に嫉妬する。
過去にどこかで羽目を外した彼の姿を捜し、完璧な人間なんていないということを証明し、自身の安心感を手に入れたい。
そして、不妊体質と比較したいという意味も込めて…。
結局生涯のパートナーと自分を重ね合わせたいだけなのだ。
自分が夫婦の主人公であることをこれからも確認したいだけなのだ。
どうでもいいじゃんそんなこと!
なんて言いたいのだけれど、人の奥底には無意識にその方向へ走る自分がいるのだろうね。
PS. この作品はyom yomu10月号に掲載されていま~す。
その他、爆笑問題の太田光の作品もありますよ。