店長スペシャル

人生は心に想い描いた通りになる。ゴールデンルールの道。

ゴールドラッシュ

2010-05-30 18:00:09 | Weblog
『ゴールドラッシュ』 柳美里著


著者は四季を描くのが本当にうまい。

特に彼女の描く夏は、生々しくてムっとするような暑さが、肌で感じられるから好き。
とはいっても、バスルームで半身浴しながら読むとかなりキツイけど…。

眩しい陽光と緑の煌きは美しく映え、蝉の合唱が鼓膜を揺らす、生と性に満ち満ちた夏。
けれど、太陽の光が強すぎるほど眩暈を起こす人は増え、影と光のコントラストは強くなってゆく。

人が犯罪を起こす動機の核の背景にはかならず季節が潜んでいる。
金銭面に貧困な人が、懐が寒い、などと表現するように、行動する時点での気温が体温に大きな影響をあたえるのは確かかも。


物語は、少年が父親を殺害する話。

主人公は、十四才の中学生の少年。
父親はパチンコ大手チェーン店のワンマン・オーナー。
兄はウィリアムズ症候群と呼ばれる遺伝病。
姉は高校には行かず、遊び歩いている毎日。
母親は、父親の拝金主義的な生き方に嫌悪感を募らせ(兄の病気が回復しないのを父親のせいだとし)家を出て新興宗教の信者になっている。
まぁこの時点で、典型的な問題児が発生する一家だ。

父親の期待は、この少年に一身に担わされているのだが、少年自体も、不登校であり、連日のようにパチンコ店の本店がある横浜、黄金町界隈をフラフラとしている。
少年の周辺の友達も、少年からもらう金で遊んでいる仲間たちとレイプ事件を起こしたり、覚醒剤を使って遊んでいる。

父親はそんな少年に跡継ぎとしての帝王教育をするとして、パチンコ店への
出入りを許し、従業員たちにも少年に経営者として接するように命じている。

しかもこの父親は、かなり暴力的であり、誰に対しても抑圧的である。

ある晩、姉が帰宅した深夜、酔った父親は、この姉に対して酷い暴力を振るう。
少年は、表面的には父親に対して従順を装っているが、次第に殺意が膨れていく。
そして、ある晩、少年は父親を殺す。
小説は、父親を殺した少年の生活、行動、心理を丹念に追い、その少年を巡る様々な人々の生活、行動、心理を丹念に描いていく。

著者得意の崩壊する家庭の人間模様と問われる「個」が主題。


本書は、なぜ人を殺してはいけないのか?ということだけに、重点を置いている訳ではない。
いったい、なぜ少年が父親を殺したのか? なぜ少年は自首をしようと考えたのか?という少年の葛藤ついて、十分に考え決着をつけている。
しかし少年の事情がそのような行為をさせたこと以外の解答を与えるわけではない。

人を殺してはいけないという解答を見つけるのは容易い。
命の重さは地球より重いから。小学校時代そう習ったはず。

だが頭では理解出来ていても、それでもなお、人は人を殺してしまうということに本書の意義が見受けられる。
少年が父を殺す、ことが重要なのではなく、少年が父を殺すまでの経緯と、少年が父を殺してから以降のことが重要なのだと考える。


そもそも主人公の少年は、黄金町の影に呑みこまれたのか?
それとも、夏の日差しに飲み込まれたのか?

いずれにしても、彼の感覚が麻痺し、影に落ちて行ったことは間違いないと思う。

天使の牙

2010-05-28 12:29:45 | Weblog
『天使の牙』  大沢在昌著


一千百枚余りの大長篇なのに、一気に読める。それほどの面白さに満ちているかも。


全体のストーリーはこうである。

物語の主人公は、女刑事の明日香と仁王と呼ばれる鬼刑事の古芳。
この二人はコンビを組み、互いにひそかに思いを寄せていた。
そんなある日、保安課の課長から明日香に秘密の指令がくだる。
新型麻薬アフター・バーナーで日本全土を己のものにしようとする巨大な麻薬組織<クライン>、その絶対的独裁者である君国辰郎の愛人、神崎はつみが逃亡し、警察の保護を求めてきた。
組織壊滅の切り札であるはつみの護衛のため、明日香は単身彼女のいるところに駆けつける。
だが、警察内部にクラインと内通するものがいて、明日香とはつみは戦闘ヘリの銃弾をあびてしまう。
重傷をうけた二人は脳移植の手術をうけ、はつみの軀に明日香の精神がやどるようになる。
そして、アスカ(体は、はつみ、脳は、明日香)が今度は、囮の役を担い、クラインに罠をしかるべく、近づいていく。
護衛は仁王。
しかし仁王は本当に信用できる男なのかとアスカは不安にかられてしまう…。


いきなり引っかかったことは、脳移植。
小説だからと言って僕は容赦しない。
そんな簡単に脳移植なんてできる訳ないでしょ。
本人や親族の許可もとらず、生死は心臓なのか脳なのかと叫ばれているこの世の中で…。

警察内部の争いはたしかに見どころがある。
クラインは警察内部の中枢まで食い込んでいて、誰が敵か味方かわからない
そこで保安課の課長は明日香ひとりだけにはつみの護衛を頼むのである。
この誰が敵か味方かわからない状況というのがきいているからこの先の展開が見えなくなるのがいい。


ただ設定が少し安っぽいので、どうにも内容も安っぽくなってる気がする。
サスペンスとしての期待感は標準以上だし、ハードボイルドやサスペンスに特有の重苦しい空気感は文章から感じられた。
そして、脇役かと思ったら結構本編に食い込んでくるキャラや意外性は中々である。

でも何かが足りない。何かが。
恐らく感情移入させるだけの怒りの質量、出力があまりにも低すぎたかも。
それは、女性視点が中心に据えられていることもあるし、先ほど述べた脳移植のせいかもな。

元々強力だった肉体から軟弱な体に移り、弱気に苛まれる主人公はあまりにも怯えすぎていて、狡猾に立ち回ろうともそこには自己の保身が垣間見える。
従って怒りの導火線に火を付けるには低温すぎる。
だって、そもそも被害者だし。
まだ仁王視点の方が燃えられそう。


見た目が違っても、自分の彼女に似てるって気付く彼はなんだか素敵。
自分も同じ状況なら判断できる自信もないし、仮にそうだとしても再び恋愛が始まることも考えられない。
でも本書は始められるのだ。それは美人(以前以上の容姿)だから。
美人がブサイクになる逆バージョンでも読んでみたいな。

そんな信頼関係で繋がってる彼と彼女。
犠牲は多いけど、最後に二人の愛が勝利を勝ち取るね。

それと、人が死に過ぎる。
敵の凶暴性を強調する為だろうが、事件に関係の無い人たちまでがバタバタと倒れていく姿は許せない。
特に、金村の妻の死は可哀想で怖くて情けなかった。
やりすぎると冷めてくる。

最後に、芦田課長をもう少し知りたかった。
単に正義味方なのか分からなく、自分勝手な人とも思えるし、これからって時に意識不明の重体って。
事件のカギの人物が発揮できていなく残念。


ところで、映画化されていたみたいだけど、仁王が“大沢たかお”だったのは絶対あり得ない。
やっぱり映画は見ないほうがいいね。






アメ・アイ TOP6→5

2010-05-25 19:20:37 | Weblog
『TOP6→5』 


いよいよトップ5が決定する
シャナイア・トゥエインをコーチャーに迎え、候補者が彼女の曲を披露する、カントリー週


まずは、リーの「ユー・アー・スティル・ザ・ワン」
単純にカッコ良かった 選曲もバツグン
彼の横向きでマイクに寄り添う独特の唄い方が素敵。
ランディは、得意の低音で曲を制したと評価高。
サイモン・エレン・カーラもベストとコメント

二番目はマイク
曲は「イット・オンリー・ハーツ・ホゥエン・アイム・ブレスィング」
心を込めれば人に伝わるとアドバイスを受ける。
ステージは、あまりパンチが効いておらず、まぁまぁの出来だった。
ジャッジは彼のバラードを高評価するけど、僕はパワフルソウルが好きだな
みんなはどう

次にケイシーの「ドント」
そういえば最近ネットで彼の“ホモ疑惑”が浮上していたな
そんなことを考えながら見ていた僕は、彼の“チェンジ”に期待が膨らむ
趣向を変えると意気込む彼は、得意のギターを最小限にして挑む。
正解も大正解
今までで最高のパフォーマンスを演じた彼は必ず次に残るだろう。
歌唱力を十分発揮した。でも声量が少ないのが気になる

続いてクリスタル
小さな頃からシャナイアのファンだという彼女は、「ノー・ワン・ニーズ・トゥ・ノウ」を披露する
曲に心を委ねてリアルな感情を曲に乗せろとアドバイス受ける。
いつものパワフルなステージと違って少し可愛すぎたかも
サイモンはコーヒーショップのバンドと批判。
エレンは、何でも自分の唄にできる、今まで披露した曲のレベルが高すぎるので、虹の七色に順位をつけるようだと評価高。
彼女が優勝なのだから何をやってもよいのだろう

五番目はアーロン
シャナイアに彼にピッタリの曲と言わせた「ユー・アー・ゴット・アウェイ」でパフォーマンスする。
練習風景では、テクニックばかり気にするな、不安は捨て去るようにとアドバイス。気持ちよく唄い上げれば、観客もそう感じると。
いいこと言うよなぁ~
実際その通り実行し、アーロンはものすごく良かったと思う。
毎回唄が上手くなってゆくのだよ。
高校生の彼は、学校行って、宿題やって、番組出て、エライの一言です
ジャッジはみな絶賛。
次は残れるけど、その次は分かりません。
だってライバルたちはみなスゴイから

トリは、シヴォーン
「エニィ・マン・オブ・マイン」で最後にふさわしいノリノリで登場。
パンク風のカントリーは純粋によかったと思う
でも今回はみなレベルが高かったから、このアレンジが浮いてしまうのはしょうがないかも。


脱落者は、シヴォーン。ついに彼女でした。
不思議ちゃんの脱落で僕も少々涙する


次回のコーチャーは、ハリー・コニック・ジュニア。
候補者でフランク・シナトラに挑戦するよ。お見逃しなく

写真は、シーズン8準優勝者、アダム・ランバート

PS.アリシアが1曲唄ったけど、顔は普通なのに、お尻がもの凄くデカイ
完全なアメリカ人の体形だね。コワイねぇ

オーデュボンの祈り

2010-05-22 15:45:19 | Weblog
『オーデュボンの祈り』  伊坂幸太郎著


ミステリーというよりも童話に近い奇妙な物語。
本書が著者のデビュー作だから、なおスゴイ!

最近「不思議な国のアリス」が映画化されているが、そんなメルヘンな物語に登場しそうなキャラクターたちが実に愉快。

あらすじはこう。
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
江戸時代以来、外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいる。
嘘しか言わない画家、島の法律で殺人を許された男等。
そして、人語を操り、未来が見えるカカシ。
ある日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。
未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?

その他のキャラは、
座ったまま立ち上がることが出来ない「巨漢」の市場のマドンナ。
鳥を溺愛する足の不自由な青年。
外界との交流を持たない島とそこに住む人たち。
地面に耳をつけて音を聞く少女。
妻に過度な愛情を注ぐ郵便屋。

キャラクターが奇人すぎて感情移入はまったくできない。
でも本書はそこが狙いかも。そんなのどうでもよくなってくる。

けして童話では終わらず、現実と寓話の狭間をいかに現実のものに引き込むのか?
著者のテクニックにやられてしまう。

ありえない事柄がさも現実にあるかのように存在していて、そこに時代や場所や人が交差して織り込まれていき、結末へと進んでゆく。

この現実味のある空想話から、実は外部と遮断しつづけている島の住民は、実はまともな人たちであり、現代人が奇妙な人たちに映ってくることがポイントかもしれない。
普段あたりまえの事が実はそうではなかったり、あたり前だと思うようなことが他人には奇妙なことであったり。
そもそも常識って何?正しいことって何?真実って?
一つの物事に解決策が十通りあるのなら真実は十以上あることだと思う。
人の気持ちが多様なら多数決で決定すること自体奇妙なことかもしれない。

そして、物語と島にちりばめられた謎、ヒント、想い、を繋いだ時、大切な何か、が表れてくる。

ページを捲るたびに、いろいろな伏線が張り巡らされていて、その一つ一つが最終的にジグソーパズルのようにはまりだして、一つの大きな絵が完成するように、あるべきところにきちっと収まって、全体像が徐々に見えてくる。
おもしろいなぁ。嬉しくてたまらなくなる。

著者の他作品にも同様だが、文章のリズムも心地よいから、飽きもせず、どんどん読手がはまってゆき、プラスアルファの重要事項が心の中に溶け込んでゆくスタイルがいい。

当初の島のシーンはふわふわ感が続いていて、思考がはっきりしない。もやもやしているような。
白く光った煙にも似た、綺麗な映像が浮かんでくるが、徐々にエッジのきいたシャープ的な映像になってゆく、もちろん時代背景もあるのだけど。
そして、乾燥したパリッとした砂漠地帯みたいな空気になる。結構、快感にも感じてくる。

本書をミステリー作品だと言うのなら、犯人はだれ?動機は?などと色々勘ぐりながら読み進めてしまうけど、そのような感覚はなく、むしろ、ゆるりゆるり流れに身を任せて読めすすめることが大事のような気がした。

この島の外の出来事を知らない住民達と知らず知らずのうちに視野が固まり、外部を受け付けにくくする私達は、実は本質的な部分で繋がっているのだろうな。


心残りは、最後まで、主人公の伊藤が島に来た理由が全然説明されていなかったこと。


何回読んでもおもしろいです。
ちなみに、僕は4回再読しております。



アメ・アイ TOP7→6

2010-05-17 17:36:16 | Weblog
『TOP7→6』 

グラミー12冠、世界で3,000万枚のアルバムセールを放った、アリシア・キーズがコーチャーとして、ついに登場
「心を揺さぶる曲」をテーマに、候補者にアドバイスをする

1番手はケイシーの「ドント・ストップ」
有名な曲だから、聞き流される心配があるので、いかに曲に入り込みるかがカギ。
観客に“いい歌手だ”と思わせれば成功、とアドバイスする。
ケイシーはいつもステージが一緒だなぁ。良くもなく悪くもないけど…
毎回変化が見られないのが残念。
ランディは違った形のステージを見たいとコメント。
まったくその通りだと思う。
トップ6レベルでは他の候補者との比較材料が重要

次は、元塗装販売員リーが「ザ・ボクサー」を披露。
サイモン&ガーファンクルの名曲をどのように仕上げるのか期待高
自分の人生に大きな影響をあたえた曲だという彼は見事に唄いあげた。
最高!その一言につきるぐらいのステージは本当に心に響いたよ
ランディはプロとして成功と絶賛。
エレンはソウルと深みが成長したと、カーラは人生が変わった夜と、みな好印象

続いてティム。曲はグー・グー・ドールズの「ベター・デイズ」
サビが弱いとアリシアから指摘。一生懸命頑張る姿が理解できるが、内容は、カラオケそのもの。脱落者は彼かも
ジャッジはみな残念そう…

四番目にアーロンの「アイ・ビリーブ・アイ・キャン・フライ」
5才から好きだった曲を熱唱する。
いやぁ~、素敵だったよ。唄もうまいし、怖いもの知らずの彼は若さが武器。
ランディは、不思議なアレンジだったけど天性の歌唱力があると、うれしいコメント
それに引きかえサイモンは、唄はダメだと。
どちらも言っていることは良く分かる。この二人の意見がプロの分かれ道。

次はシヴォーンの「ホウェン・ユー・ビリーブ」
ワンピースとストッキングがお洒落。パープルの花柄もいい
ランディは平凡でパッとしないと。
エレンは実力を発揮した。
カーラは唄からはあなたがみえない。
サイモンは、オールドファッションアレンジ。全てが奇妙。
ジャッジみなの意見が分かれるのも珍しいだろう。
彼女は本当にこの曲が好きで唄いたかったらしいが、それでは自己満足に過ぎない。観客は許さないと思う。マライアはハードルが高すぎたな

続いて、ビック・マイク。「ヒーロ」に挑戦
すごく素敵なステージ。うまいうまい
ランディは自分色に染めたと絶賛。
カーラは中途半端。声のトーンと曲があっていないと。
サイモンはテーマを無視、スパイダーマンの曲だ、と。
つまり曲の印象が強すぎると言いたかったのだろう

本日最後は、クリスタル
初めて楽器なしで現れた彼女は、「ピープル・ゲット・レディ」を番組史上最高のステージで披露した。絶賛も絶賛。最高だった
曲の最後に、初めて見に来た父に目が合って思わす涙した。
サイモンはいつも感情を抑える彼女だからうれしかったとコメント。
彼女以外にだれが優勝するのだろうか 考えられない


本日のワースト3は、ケイシー、アーロン、ティム。
そして、脱落者はティム
ケイシーもアーロンも、ティムがいる限り大丈夫だと思っていた感じが伝わりまた残念。
その自信が自分を脅かすのに。

次回はシャナイア・トゥエインがコーチャーで登場する
ということは、カントリーがテーマかな

PS.ゲストのメアリーJは素敵だったけど、エルトン・ジョンは最悪だった
もうダメだな。このおっさん
名曲「ユア・ソング」全然唄えていなかったよ。
声量が低くなってしまったアーティストに限って、セリフのように唄うのだもん。イヤな感じです

写真は、次回のコーチャー、シャナイア

真夏の島に咲く花は

2010-05-16 16:33:31 | Weblog
『真夏の島に咲く花は』  垣根涼介著


自宅でこういう本を読むのがいい。
寝室で横になり、ページを開くとすぐに「南の楽園」に飛べるから。

著者は泥臭い南米・アジア専門かと思いきやこの作品の舞台はフィジー。

脱サラして日本を離れフィジーで日本料理店を営むことにした両親に連れられ、高校からフィジーで暮らし、今やその店の経営を行なう日本人青年のヨシ。
フィジーの魅力にとりつかれOLをやめフィジーの旅行代理店で働く日本人女性の茜。
茜の彼氏であり、ヨシの高校時代からの親友で安い賃金でガソリンスタンドに勤める生粋のフィジー人の青年チョネ。
そして勤勉なインド系フィジー人の父親の経営する観光客向けの土産物店を手伝う、ヨシとチョネの高校時代からの友人でありヨシの彼女のサティー。
人種の異なる男女の四人の若者の生活を通し描く、フィジーという国の持つ独特な問題を浮き彫りにする物語。

特に、南国の島国と資本主義世界が接触したところに起こるそれぞれの困惑が本書の見どころでもある。

実際に、2000年軍事クーデターのあったフィジーで、若者の男女の葛藤は、友情や恋愛を通して、フィジー特有の生活文化の中で、豊かな自然に恵まれ共同生活を営んでいたおおらかなフィジーの人々の日々が、過去の英国の植民地時代を経て資本主義という経済世界に取り込まれてゆく中で生まれた軋みや歪がとてつもなく悲しく映る。

著者は本当に「民族性」を描くのがうまいなぁ。
決して良いことばかりではないはずなのに、いつか必ず訪れてみたくなる国の一つになりました。

でも不満なのは、著者の他の作品が良すぎて少々退屈に感じてしまった。
自身、本を読むのは速い方なのだが、すぐ眠たくなるのは、心地よいのか退屈なのかわからない。

それといつも思うことだけど、約500ページストーリーの中で、4分の3くらいは特に大きな事件らしい事件もない。
でも、冒頭で「まさかあんな事が起こるとは?」というセリフが出てくると期待しない方がおかしい。

この期待させた上のダラダラ感は、一生懸命山を登れば頂上に壮大な絶景が広がっているよ、と言っておいて、到着すると霧一面で何も見えなかった、なんてのと一緒の気がしてムカついてくる。


タイトルの「~咲く花は」キーポイントです。お楽しみに!

アメ・アイ TOP9→7

2010-05-13 19:10:34 | Weblog
『TOP9→7』 

前回マイケルが救われたから、今回は脱落者が二人決定される

テーマは、エルビス・プレスリーの曲。
シーズン8の準優勝者であるアダム・ランバードがコーチャーとして、候補者にアドバイス。

アダムといえば、前シーズンでの予選からすでにエルビス似と言われていたからピッタリくるかも
コーチャーが出演者なのは番組初の試みなのでとっても楽しみ。
まぁ、いつまでたってもオカマ・ランバードなので個人的には好きではない


トップバッターはクリスタルの「セイヴド」
リアルで誠実とアダムに言わせた彼女は、アコギとエレキどちらがいい?と助言を求める。
アダムにエレキだ!とアドバイスされ結果は功を制した。
でも無難な選曲すぎた印象が残る。
今まで以上に楽しそうに唄う姿はよかったのだが…。
ランディはボニー・レイットだと絶賛
グリーンとイエローとレッドが混じりあうキラキラ光ったギターがカッコイイ

2番手は、アンドリュー
前回のワーストのマイケルからパワーをもらったと気合十分で名曲「ハウンド・ドック」で挑む。
全てが物足りないパンチを効かせろ、とアドバイスを受けるも、うまく表現できなくて残念。
みごとなカラオケだった。スローテンポも微妙。
やはりこの人にロックは合わない。今回はテーマに恵まれなかったかも

続いて、ティム。名曲「好きにならずにいられない」を熱唱
みごとにジャッジから高い評価を受けたが、僕は気に入らなかった。
たしかに彼の以前のステージからは比べものにならないぐらい上達はしたけど
良かったのは、1オクターブ上げてファルセットで唄ったところ。
でも全てではなくほんの数何ヶ所のみ。

4番目は、リー。
「ア・リトル・レス・カンバセーション」は活気がある曲なので、笑顔を絶やすなとアドバイスを受ける。
迫力ある引き語りギターで素敵だったが、やはり彼はタダのシンガー。
魅力もなければ華もない。
自信がないことを指摘され続けているが他の何かが足りないのだと思う。
いったいなんだろう…

次は、アーロン。
名曲「ブルー・スゥーエード・シューズ」
全体的にはよかったけど、彼もまたロックは無理
多少ブルースも効いているが。
“ドンチュ”上げろ、見せ場だ。TVの前の僕は応援する。
だがかなりヤバイかも。ワースト3確実だ

続いて、シボーン
白いボディコンで登場した彼女をだんだん好きになってゆく
1966年のヒットナンバー「サスペシャル・マインド」を披露。
ベテランシンガーのような迫力で熱唱する姿を見ると20才には到底みえない。
得意な高い声を一番良い部分にもってきた。こういうのは評価したいな

続いて、マイケル。
前回の挽回で「イン・ザ・ゲットー」を熱唱。
ものすごくカッコイイ素敵なステージを披露
サイモンに、“俺のお気に入り”と絶賛された彼は今回はセーフ間違いない

8番目は、お気に入りのケイティ
「ベイビー・ホワット・ユー・ワォント・ミー・トゥ・ドゥ」
この曲で怒りを表現しろとアドバイスを受ける。
が、ステージの衣装は素敵だったけど、イマイチな唄が光っている。

トリは、ケイシー
正統派のブルージーな曲「ラウディ・ミス・クラウディ」。
展開にパンチを効かせ、ブレイクを入れてクライマックスを作れとアドバイス。
ステージは見事だった。この人はどんどん上達してゆく
でもジャッジのコメント通り、物足りなさを感じてしまった。それは本人がアーティストとして本物だからなのだが。


脱落者は、アンドリューとケイティの二人。
あ~!ケイティが落ちてしまった。ショック
ケイティは「オーバー・ザ・レインボー」唄いたかったって。
サイモンが喜ぶだろうに…


次回のテーマは、「心をゆさぶる曲」
コーチャーはなんと、アリシア・キーズ(上写真)が登場
またまた見逃せないよね

ニッポン泥棒

2010-05-13 18:35:00 | Weblog
『ニッポン泥棒』 大沢在昌著


ある日突然見知らぬ人が自宅にやってきて“あなたは選ばれた人間です”なんて言われたら、確実に宗教団体の勧誘か部屋を間違えた人だと思うだろう。

しかも“いろいろな人物があなたを捜しにやってくる”とも言われて。
本当に平凡な毎日を過ごす自分が、次の日から新たな出来事、その全てが自分にとって良いことばかりが起こってきたら。
自分は、本当に選ばれた人間なのか?と信じ始めてしまうかもしれない。
でも現実にあったら相当怖い。

失職し、妻にも去られた主人公尾津は、見ず知らずの男に「あなたともう一人の女性が、世界を変えるソフトウェアの鍵なのだ」と告げられる。
突然の出来事に驚く尾津。
そして様々な諜報機関が彼を囲い込むべく動き始める。
やがて見えてきたソフトの正体は、世界中の機密情報を盗み出した末に作られた未来予測ソフト「ヒミコ」。
これを開発した集団に、ソフト解凍の鍵を「握らされた」尾津と、もう一人の女性・かおるの運命は?
膨張するネット社会の恐怖を描いた傑作。

この作品の一番の見どころは、いったい誰が味方で誰が敵なのか?だと思う。
肝心な「ヒミコ」にたどり着くまでが非常に長く、ほぼラストまで出てこない。
しかし重要なことは、そのソフトを見つけるや開くことよりも、急展開のスピードでいくつものドンデン返しがあるのだから、まったく退屈せず、ヒミコなんてどうでもよくなってくるから面白い!

主人公は六十五才のオッサンもオッサン。
若い読者が読むと何故コンピュータの知識が皆無のこんな老人を登場させたのか戸惑うだろうし、この人物に共感できることが難しいかも知れない。
会話も理屈っぽいが、知識はあり頭もキレる。
相手の言葉を跳ね返してしまうぐらいのディベート力もある。
だが尾津とコブラがかわす内容にこそこの本のテーマが隠されているものと確信する。
あまりオチ言えません。

キャラクター設定は、冬木がいい。
公安の警官ながら演じるスパイは、非常に鋭くキレもの。
相手を信じさせる絶対の自信さえある。
本当にこのような職業があるとするなら大変な仕事だと実感させられた。

当初は、細田が魅力的な感じがしたが、途中からどんどんキャラが薄くなってゆき、引きつけられたキャラの魅力を十分発揮することなく、他人にチェンジしてゆく形はあまり好ましくない。

もう一人の女性、かおるも残念だが想像できなかった。

ラストの幕引きは意外と呆気ない。でも続編が期待できそうな感じもする。
でもパートⅡは永遠にないだろうな。


上下巻かなりのページ数で読み上げた時、ふとタイトルを思い出した。
たしか、「ニッポン泥棒」。
著者が付けたタイトルの意味。よくわからないな。なんかかみ合わない。

アメリカン・アイドル 9→8

2010-05-03 14:26:19 | Weblog
『TOP9→8』 

メンバー8人を決定する今回のテーマは、ジョン・レノン&ポール・マッカートニーの作品で挑みます

シーズン7で大成功したこのテーマは、音楽界の大スター史上最強コンビの曲をどのように歌いあげるのか 目が離せません

今回はゲストはなし
出演者のライバル同士がコメントし番組をもりあげる。

先陣をきったのは、アーロン
みんなヨーダそのものと言っているが、なんのこっちゃ分からない。
クリスタルは彼のことを弟ようだと思っているらしい。
だってカワイイものなぁ~
曲は「ザ・ロング・エンド・ワイデイング・ロード」
期待したが、ちょっとつまらなかった。
唄が上達しているとは思えないし、歌い方も少々飽きてきた。
本当はもっとアップテンポな曲で若さをアピールした方がよかったのではないか。
スロー系だったら、「イエスタデー」がいいし、ランディがいうようにカントリーアレンジもよいかも。
でもあと数回は残れるはず。ファンはきっと多いはずだから

次に、ケイティ。
プロムに誘われている彼女は、ピンクのボディコンで登場。
みんなの妹と言われているから性格もよいのだろう。やっぱり素敵
名曲「レット・イット・ビー」が意外と良かった
いいね。ほんとイイ!TVを見ながら徐々によくなっていくステージだったよ。 ピアノ一人のアレンジもグッド。ステージ照明からは、哀愁さえも感じさせる。
サイモンは、誰かを思って歌っている気がした、とコメント。
好きな人でもできたのだろうか? だとしたら、大ショック

ちなみに“プロム”とは、アメリカの高校生のパーティー
そこでステージを披露して欲しいということだろう

続いて、アンドリュー。
みんなのムードメーカーの彼は、前回のサイモンのコメント(人間味がない)とまったく逆だという。
彼ほど個性的な人はいない、とアーロン。
自分全開でステージでも巻き返せるのか
名曲「キャント・バイ・ミー・ラブ」を披露。
また一段とTV映りが悪いな。ドリフの加藤茶みたいだった。
ランディは野暮ったいと、カーラは新たな発見なし、とコメント。
本当に魅力的な声を持っているのだが…残念
残れるか心配

4番目は、マイク
いびきがうるさい、大きなテディベアとみな笑う
「エリナ・リグビー」を迫力ある声量とアレンジで魅了する。
幼いころから歌っていた曲、思い入れのある曲
だがサイモンは、これはミュージカルだよ、やりすぎ、とコメント。
それに対して、ランディは、今はミュージカルが流行だから今っぽいんだ、と反論していたが、ランディはサイモンの本来の意味を履き違えている。
歌を今っぽく唄うことがより大事だと思う。

次は、優勝候補のクリスタル
人間ぽいがバカもやる彼女は、みんなから“ママ・ソックス”の愛称で慕われる。本音で話すスタイルは誰にでも好意を持たれるのだろう。
曲は、「カム・トウゲザー」
カーラはボニー・レイットと絶賛。
サイモンも、ラジオで聞いても違和感なし、自分に忠実が成功のカギ、とうれしいコメント。
僕も鳥肌が立つぐらい良かったステージ
この先彼女がステージで“バカ”をやらないかぎり脱落の心配はない。

6番目は、ティム
いつでも笑顔でハッピーな彼は、「オール・マイ・ラビング」を披露。
単純にイイと思った。
エレンは、ナイス選曲、審査員ベストとコメント。
これで次回も出演決定だ

次は、ケイシー
人気ドラマの主人公みたいなハンサムな彼はみなの人気者。
豪快な笑い方が好かれるポイントかもしれない。
曲は、「ジェラシー・ガイ」。
最高に良かった。自身大好きな曲。審査員のコメントもグット。
回を重ねるごとによくなるステージは、ひょっとしたら優勝の兆しさえ感じられる

8番目は、シヴォーン・マグネス
いつも自然体な彼女は、みんなからも不思議がられているので、コメントは少なかったな。
「アクロース・ザ・ユニバース」をソフトに歌い上げた。
ステージそのものが素敵だし、品のあるマダムのようにも見えた。
ただ口先だけで唄っている印象が残り物足りなかった。
彼女の高音はファルセットと呼べるのか微妙だ。

トリは、リー
俺は落ちると毎回いう彼はマイナス思考そのもの。
「ヘイ・ジュード」をみごとに唄いあげたが、結婚式で披露する新郎の友人にしか思えなかったので、イマイチ。
軽いノリが彼の自信の無さを強調する

審査結果の前に、カーラが発掘した天才児、ジェイソン・デルーロが登場。
歌はもちろんのことダンスもすごい。
でもサイモンが絶賛するほどのものでもなかった。
彼はアッシャーの物マネにすぎない

続いてゲスト、シーズン7の準優勝者、ディビット・アーチュレッタが「イマジン」を披露。
期待していたが、ピアノソロが少々ぎこちなく、アーティストとしてはまだまだかもしれない。
アルバムもあまり売れそうもないな。あまり興味なし

もう一人のゲストのリアーナは、ポップカルチャー神髄のシンガー。
個人的に興味がないのでコメントなし


この日のワースト3は以下の3名。
マイケル・アーロン・アンドリュー。ちょっと意外だったな。

もっと意外なのは、ビック・マイクが脱落者だったってこと。
勝手に優勝候補と考えていたから困惑してしまった。
マイクの人生を賭けるステージでは、妻も泣いていた。
名誉挽回の為、大絶賛を浴びた「ディス・ウーマンズ・ワーク」で再び観客の大拍手を受ける。
当然、来週も会おう、とサイモン。なんか出来過ぎだな~。
審査員の“お助け券”発行でマイクは次回へとつなぐことができた。
めでたし、めでたし


次回はついに2名の脱落者が決定する。見逃せません
来週は、コーチャーとして、前回の準優勝者、アダム・ランバートが登場する。
カリスマ性のある彼が伝えるステージで大切なこととは。
またお伝えいたしま~す。お楽しみに…

写真は、“ビック・マイク”こと、マイケル・リンチ。
次回の脱落者2名に入らなければ良いが…