『ダイイング・アイ』 東野圭吾著
人が死ぬ直前に見る最後の映像が、人間の目に記憶されているとしたら殺人や事故など多くの事件の解決につながってゆくだろう。
かつて「死体は語る」の著者である、上野正彦は徹底的に調査したらしいが、瞳には何も残らなくまたそういった機能もないみたいです。
まぁあたり前の話だけど…。
まず冒頭から生々しい。
人が生から死へ離脱する瞬間を時間をかけて描く。
車両が胴体にめりこみ、パンパーは彼女の身体を潰し、背骨と腰の骨がボキリ、ボキリと順番に折れてゆく。自分は今死につつあるのだと。
ここから走馬灯が始まる。彼女の思考回路は殆ど停止し、頭脳は最後の映像を見せるためだけに機能しているように思われる。内臓が完全に潰され、腹の筋肉が背中と密着しそうになる。トマトを潰したように破れた皮膚から肉や壊れた内臓が飛び出し血は噴き出ていた。
いよいよすべてが終わるのだと自覚した彼女は、死に続けなければならない人生を最後に目に映った人間の「目」になる覚悟をする。
岸中美菜絵が瑠璃子に乗り移ってまで生き続けたかった理由は明確にされていない。美菜絵が現在どのような生活を送り、過去にはどのような環境で育ったのか、そしてこの先どのような夢や希望があるのか、が描かれておらず、当初はここで人生を終わらせたくないというやりきれない後悔が伝わらなかった。
だが著者が言いたいのは、どんな人でも理不尽な理由で死ぬことは絶対にありえないということ。そして事故を起こした加害者の罪の意識は相当低く、まるで被害者のようなつもりでることに対しての怒りも当然ある。
まさにこれからという、一度しかない人生において、たかが交通事故とかたづけられるのはまったくをもって理不尽だ。
そしてこの世を生きている全ての人々に、無駄な人生なんてないのだと瑠璃子から教わった気がする。慎介が事故後二度と運転をしていないという罪の意識にももちろん救わる。
被害者の親族に襲撃された記憶を一部喪失した雨村慎介は、自分が交通事故を起こした過去を知らされる。
そんな重要なことを忘れてしまったのか分からず、事故の状況を調べる慎介だが、以前の自分が何を考えて行動していたのか、まったく思い出せない。
すっきりしない気持ちを自己満足させる為に行動するのだがその後関係者が徐々に怪しい動きを見せ始め真実にたどり着く。
誰もが少しずつ嘘をつき、
誰かを陥れようとしている。
文章もうまく非常に読みやすい。
心残りは、江島が慎介に復讐することよりも成美のその後が知りたかった。
人が死ぬ直前に見る最後の映像が、人間の目に記憶されているとしたら殺人や事故など多くの事件の解決につながってゆくだろう。
かつて「死体は語る」の著者である、上野正彦は徹底的に調査したらしいが、瞳には何も残らなくまたそういった機能もないみたいです。
まぁあたり前の話だけど…。
まず冒頭から生々しい。
人が生から死へ離脱する瞬間を時間をかけて描く。
車両が胴体にめりこみ、パンパーは彼女の身体を潰し、背骨と腰の骨がボキリ、ボキリと順番に折れてゆく。自分は今死につつあるのだと。
ここから走馬灯が始まる。彼女の思考回路は殆ど停止し、頭脳は最後の映像を見せるためだけに機能しているように思われる。内臓が完全に潰され、腹の筋肉が背中と密着しそうになる。トマトを潰したように破れた皮膚から肉や壊れた内臓が飛び出し血は噴き出ていた。
いよいよすべてが終わるのだと自覚した彼女は、死に続けなければならない人生を最後に目に映った人間の「目」になる覚悟をする。
岸中美菜絵が瑠璃子に乗り移ってまで生き続けたかった理由は明確にされていない。美菜絵が現在どのような生活を送り、過去にはどのような環境で育ったのか、そしてこの先どのような夢や希望があるのか、が描かれておらず、当初はここで人生を終わらせたくないというやりきれない後悔が伝わらなかった。
だが著者が言いたいのは、どんな人でも理不尽な理由で死ぬことは絶対にありえないということ。そして事故を起こした加害者の罪の意識は相当低く、まるで被害者のようなつもりでることに対しての怒りも当然ある。
まさにこれからという、一度しかない人生において、たかが交通事故とかたづけられるのはまったくをもって理不尽だ。
そしてこの世を生きている全ての人々に、無駄な人生なんてないのだと瑠璃子から教わった気がする。慎介が事故後二度と運転をしていないという罪の意識にももちろん救わる。
被害者の親族に襲撃された記憶を一部喪失した雨村慎介は、自分が交通事故を起こした過去を知らされる。
そんな重要なことを忘れてしまったのか分からず、事故の状況を調べる慎介だが、以前の自分が何を考えて行動していたのか、まったく思い出せない。
すっきりしない気持ちを自己満足させる為に行動するのだがその後関係者が徐々に怪しい動きを見せ始め真実にたどり着く。
誰もが少しずつ嘘をつき、
誰かを陥れようとしている。
文章もうまく非常に読みやすい。
心残りは、江島が慎介に復讐することよりも成美のその後が知りたかった。