米自動車2位のフォード・モーターは8日、05年業績予想を下方修正するとともに、06年達成を目指していた税引き前利益70億ドル(7600億円)の中期目標を撤回すると発表した。販売不振や医療費などのコスト増が背景にあり、米大手格付け会社は同社の格付けを、「投機的」に引き下げる可能性を指摘している。
最大手ゼネラル・モーターズ(GM)も3月中旬に、業績予想の下方修正を発表。債券・株式市場にショックが走ったばかりだった。
フォードは表向き、業績悪化の理由に、価格競争の激化やガソリン価格上昇など業界共通の課題を挙げているが、1~3月の米新車販売台数の前年同期比伸び率(営業日あたりで換算)はフォードの5.2%減、GMの3.6%減に対し、トヨタ自動車と日産自動車は10%以上増。米2社の苦境が際立っている。
フォードは今回、特殊要因を除く05年の1株あたり当期利益予想を、1.25~1.50ドルと上下限とも25%前後下方修正した。全体で22億~27億ドルに相当し、前年比約10億ドルの下落にあたる。
これを受け、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、「投資適格」としてはすでに最低水準のBBB(トリプルB)マイナスにある長期債の格付け見通しを、従来の「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。GMと同じ評価で、ジャンク(がらくた)債と呼ばれる「投機的」水準に転落する瀬戸際となった。