経済記事

経世在民と言う言葉をもう一度噛み締めたい

「景気がいい」は間もなく終わる

2005年10月24日 | Weblog

円高、金利上昇のダブルパンチ

 今年から来年にかけて、日本経済は分水嶺を迎えそうだ。まずは、このところ円安に振れている為替相場である。
 日本の株式市場は活況で、外国人投資家の日本株買いも続いている。しかし、ドル需要は意外に強く、市場関係者からは「115円を試す展開になる」との声が聞かれる。「株高なのに円安基調」が定着しているのだ。
 ただ、この異例の事態は年内いっぱいで終わる。米国投資法とか本国送金法などと呼ばれている時限立法が終わるからだ。
 この法律には、米企業が海外投資で儲けた資金の本国還流を促進する狙いがあり、今年末までなら本国に送金しても、税金は5.25%で済むという。本来の税率は最大35%。巨額資金がどんどん還流して当然で、1000億~3000億ドルの資金が米国に流れると試算されている。
 この反動が年明けに来るのだ。ドル安、円高に振れるのは間違いない。
 年をまたぐと日本銀行の「量的緩和の解除」も現実味を帯びてくる。最近の論議を見ていると、日銀の福井総裁は地ならしに余念がない。政府内では「まだデフレだ」(竹中経財相)などと反対する声が多いが、「異常な政策をいつまでも続けろという意見にくみすることはできない」(福井総裁)と強気。おそらく年明け早く、遅くとも春までには量的緩和を解除するプロセスに入るだろう。これは当然の流れだが、となると長期金利の上昇が避けられない。マイルドな上昇に抑えられればいいのだが、下手をすれば急騰だ。いよいよ日本も金利上昇局面を迎え、為替は円高に向かっていくという格好になる。
 金利が上昇すれば、景気にも株価にも悪影響が出る。9月の日銀短観によると、大企業製造業と中小の非製造業は先行きに慎重で、中堅企業は製造業も非製造業も足元ですでに下方修正している。原油高によるコスト高で、企業の収益見通しもまだら模様になっている。目立つのは、年度では上方修正でも下期に限れば下方修正という業種だ。そこに金利上昇では、景気は調整局面に入らざるを得なくなる。さらにドルの反動安が重なれば、日本の輸出関連企業は大打撃。業績回復まで四苦八苦ということになりそうだ。
「景気がいい」と騒いでいられるのも、あとわずかの期間だろう。【高橋乗宣】

「トト」154億債務隠し?検査院が訂正要求

2005年10月24日 | Weblog

 売り上げ低迷に悩むスポーツ振興くじ(サッカーくじ、toto)を運営する独立行政法人「日本スポーツ振興センター」が、くじの販売業務を委託しているりそな銀行への債務計154億円について、財務諸表の中の「注記事項」では説明しているものの、貸借対照表に明示せず、会計検査院から「財務状況を適正に表していない」と、訂正を求められたことが、29日わかった。
 財務諸表でのこうした処理について、センターは「中央青山監査法人の助言を受けていた」としている。
 totoは2001年3月から売り出しが始まり、くじの販売や払い戻し業務については、当初から5年契約で、りそな銀行(当時は大和銀行)に委託された。その際、同行はコンピューターシステムの整備など初期投資として350億円を負担した。
 センターはこれを、委託期間中の5年間で年70億円ずつ返済することにしたほか、同行への委託料が年約110億円かかるため、両方を加えると、毎年同行に約180億円ずつ支払うことになっていた。
 しかし、同センターがtoto販売で利益を得たのは初年度だけで、その後、売り上げは減少を続けた。このため、03年度以降、りそな銀行への支払いは多くを翌年度以降に先送りしており、未払い金は04年度末で154億円に上った。
 それにもかかわらず、同センターは、財務諸表内の貸借対照表にこの未払い金を盛り込まず、借金の実情が見えにくい状態にしていたため、検査院が問題視し、改善を要求。これを受け、同センターは、これから公表する04年度の貸借対照表には、りそな銀行への未払い金約150億円を表示することになった。
 同センターでは、「りそな銀行への債務は注記事項として別に表示していたので問題ないと考えていたが、一般の人にわかりやすくするため、貸借対照表に盛り込むことにした」としている。
 totoは、売り上げをスポーツ選手や団体への助成金に充てるため導入された。当初、年1800億円の売り上げを見込んだが、実際はその10分の1に満たない極端な低迷状態で、見込みの甘さが批判を受けている。売り上げ増を目指し、今年度は当選確率の高い新商品「totoGOAL3」を発売したほかインターネット販売も始めた。
(2005年9月29日14時44分 読売新聞)

年金運用益3兆9600億円

2005年10月24日 | Weblog

04年度 実質利回り2・94%

 厚生労働省は十四日午前、厚生、国民両年金の積立金の二〇〇四年度運用実績を発表した。特殊法人「年金資金運用基金」による市場運用や、財政融資資金への預託分などを含む全体の収益は、外国株式や債券の運用が順調だったことを反映し、三兆九千六百億円の黒字となった。
 黒字幅は、国内の株式運用益が大きかった〇三年度の六兆八千七百億円からはほぼ半減したものの、名目利回りから賃金上昇率を除いた「実質利回り」は2・94%を記録。〇四年度の年金改革での見通しだった1・07%を大きく上回った。
 年度末時点の積立金残高は、両年金の合計で百四十七兆九千六百億円。うち厚生年金部分が百三十八兆二千五百億円、国民年金部分が九兆七千百億円だった。収益額の一部を年金給付などに充てたため、前年度末からの増加は両年金で計二兆三千三百億円だった。

平成電電破たん:出資金総額は490億円、返還困難に

2005年10月24日 | Weblog
 
平成電電設備が出資者を募集するため04年に配布したパンフレット

 破たんした通信ベンチャー「平成電電」(東京都渋谷区)=民事再生法の適用申請中=を巡り、同社の事業に出資していた一般投資家への配当金支払いが停止されたことが分かった。元本の返還も、契約期間(5~6年)終了時に出資金が残っていた場合に限られており、約1万9000人の出資者が犠牲になる可能性が出てきた。会社側によると出資金総額は約490億円。出資金募集は破たん直前まで行われており、投資家からは「知っていながら募集したのではないか」と不信の声が高まっている。

 ◇被害1万9000人、直前まで別会社が募集

 ファンドを募集したのは、平成電電とは資本関係がないとされる「平成電電システム」と「平成電電設備」(いずれも千代田区)。「予定基準配当年8%」(後に10%に変更)と新聞や雑誌の広告でPRし、1口100万円で03年9月~05年9月、21回に分けて資金を集め、今年9月までは配当していた。
 2社は募集の際、出資金で平成電電にリースする機器を購入することなどを約束する「匿名組合契約」を締結。購入後に機器を平成電電にリースし、リース料から配当金をねん出していた。契約期間が終了すると、元金に剰余金を上乗せして返還するシステムだった。
 ところが、平成電電破たん後の8日、2社は全国の投資家に「ご報告」と題する書面を郵送。平成電電がリース料を支払わず、今後も支払い停止が予想されることなどから「苦渋の決断だが、11日以降、配当金の支払いを見合わせて頂く」と通知した。さらに、契約書に「元本を保証しない」との規定があることを指摘し「説明義務違反は一切ない。(平成電電の破たんは)中途解約の理由にはならない」などと、出資金の即時返還要求に応じない方針を示した。
 平成電電は96年に通信事業に参入。03年7月からNTT東西の交換機を介さない格安の固定電話サービス「CHOKKA(チョッカ)」を展開した。しかし、契約が採算ラインの100万回線を大きく割り込む約15万回線にとどまり、3日、経営破たんした。【川辺康広、高島博之】

米レフコが破産法適用を申請・投資家に身売り交渉

2005年10月24日 | Weblog

 【ニューヨーク=梶原誠】米商品先物大手のレフコは17日、連邦破産法11条の適用を裁判所に申請したと発表した。同社は一部事業について投資家グループへの身売り交渉を進めており、同法の適用により顧客資産の流出や債務の返済などを通じて企業価値が低下しないようにする措置とみられる。
 適用を申請したのはレフコと一部子会社。JCフラワーズをはじめとする投資家グループと身売り交渉の覚書を交わしている商品先物子会社、さらに米証券取引委員会(SEC)の監督対象となっている証券子会社は申請の対象にしていない。 (15:01)

米住宅担保融資、8兆ドルに・6月末残高

2005年10月24日 | Weblog

 【ニューヨーク=発田真人】米家計の住宅担保ローン残高が約8兆ドル(約920兆円)に達した。米連邦政府の公的債務を上回る規模だ。住宅価格の値上がりで借り入れ余力が増し、消費財の購入資金の手当てなど住宅取得の目的以外の借り入れも広がったもようだ。ただ、足元では住宅市場の減速の兆候も出始めており、住宅依存の消費構造が崩れ、米景気の波乱要因になる可能性もある。
 米連邦準備理事会(FRB)によれば、6月末の住宅担保ローン残高は1年間で12.8%増え、7兆9615億ドルと過去最高を更新した。2005年度末(9月末)の政府の債務(米議会予算局推計)は社会保障基金保有分などを含めた総額で7兆9440億ドルの見通し。7月以降も増加が続く住宅担保ローンの残高が初めて公的債務を超えた。 (07:02)

63公的機関が122兆融資、7千億貸し倒れの恐れ

2005年10月24日 | Weblog

 独立行政法人をはじめとする63公的機関の政策金融の総額が今年3月現在で計約122兆円に上ることが19日、明らかになった。
 読売新聞の調べでは、このうち少なくとも計約7300億円は貸し倒れが懸念される「リスク管理債権」だった。小泉内閣が進める政策金融改革は、政府系金融機関(融資総額約145兆円)が中心で、63機関は対象外となっているが、こうした融資のリスク査定の甘さを指摘する声もある。
 政策金融の実態を明らかにしたのは民主党。同党が調べたのは、団体や個人を対象に、融資や債務保証、出資などを行っている独立行政法人、財団法人、社団法人と株式会社産業再生機構。同党によると、債権総額は約122兆4878億円で、多くは国の特別会計や一般会計、財政投融資基金などを原資としている。
 このうち、貸し倒れが懸念されたり、元本や利息の返済が滞ったりするなど、各機関が「リスク管理債権」と判断した債権は、判明分だけで、9機関計7358億円に上った。
 例えば、中小企業の経営を支援する独立行政法人・中小企業基盤整備機構は、貸付金などの残高1兆4151億円のうち3486億円を「貸倒懸念債権」と「破産更生債権等」に分類。学生たちに奨学金を貸与している同・日本学生支援機構では、3兆7996億円の貸付残高のうち、回収困難と見られる資金は1787億円に上る。また、医療法人などに、医療・介護関連施設の建設資金などを融資する同・福祉医療機構では、貸付残高3兆4057億円のうち、511億円が「リスク管理債権」だった。
(2005年10月20日3時17分 読売新聞)