酒の小売業者の団体「全国小売酒販組合中央会」(東京都目黒区、幸田昌一会長)が年金の運用に失敗し約144億円が回収不能になっている問題にからみ、年金事業に加入していない人に「脱退一時金」名目で総額1億4000万円が支払われていたことが4日、国税庁の調査で分かった。支払先は数人で、うち1人に1億円以上渡っているが、中央会は支払先の人物について「誰かわからない」と話している。
また外債購入に関する外資系金融機関との契約書の一部に、会長名の偽のサインがあったことも判明。同庁は会の運営に「著しく適正さを欠く」として同会に対し改善勧告するとともに、早急に内部調査を行って、必要な場合は刑事告発などの法的手続きを取るよう求めている。
同会は2002年12月、年金資金を運用するため、外資系金融機関と信託契約を結び、カナダの会社が発行する外債を約144億円で購入。債券はイギリスの会社を経由して弁護士事務所に貸し付けられるというスキームだったが、イギリスの会社が破たん、144億円全額が回収不能になっていることが分かっている。 (16:00)