放浪日記

刮目せよ、我等が愚行を。

帰国。

2007年08月09日 | 半死的世界旅行


時間は誰しもに平等に流れています。

僕の旅してきた2年以上の年月は、日本にいる僕の家族や友人や、それいままで会ったことのない人たちにも、そしてもちろんあなたにも流れていて、そんな当たり前の事実を、帰国を目前にした今、僕は突きつけられているようで、複雑な気持ちがしています。


日本が恋しいかと問われれば、もちろん恋しいと答えるでしょう。
僕の生まれた国、故郷に帰れることが嬉しくないはずはないですから。
2年以上ものあいだ何回か病に倒れることもあったけれど、とりあえず五体満足で、生きて日本の土を踏めることは、本当にある意味ラッキーだったと思っているし、自分なりによくがんばってきたなとも思っています。


しかし、帰国の喜びの背反に、帰国の不安があることも否めません。
自分の都合で仕事を放り投げるような形で会社を辞め、有り金のすべてを集めて、なんの目的もない旅に出て、ただ放浪し、浪費し、消費した二年半の享楽の歳月。
僕が酒や草に酩酊し、旅先で出会った旅人たちと談笑しているあいだ、日本で生活をし、労働をし、努力していた人たちがいることも事実でしょう。
その差。
その差は、僕が帰国してから骨身にしみて理解しなければいけない部分だと思っています。


僕はこの二年半で、毎日が日曜日のような楽しみを味わってきました。
もし、これが毎日日曜日だったとしたら、あなたが週に1日もしくは2日しか味わえない休日だったとしたら、僕は13年分の休日を前借して使ってしまったことになります。
僕はもうすぐ三十路を迎えようとしています。
三十路の年から、普通の社会人のように働いたとしても、前借の分を考えると、43の歳までは休みがないことになります。
別に僕はそれがいやではありません。
ただ、いまは、帰国という事実、帰国してから待っているであろう厳しい現実が、リアルにこの身にふりかかってくるということを認識できずにいる状態です。

今日、僕は帰国します。
いまは北京のインターネット屋でこうやってブログを書いていますが、あと数時間後に飛行機に乗り、順調に行けば日が変わるころには日本に着いて、家族に会い、風呂に入って、日本のビールを飲んでいることでしょう。
その実感が、まったくないのです。
今日は昨日までの連続のようで、まったく特別な日ではなくて、ただ北京の次の目的地が名古屋だった、そんな感じです。
また、僕の心のなかでは、気持ちの上では、旅が続いているようです。


この旅のなかで多くのことを学びました。
そして、多くの現実を見つめてきました。
でも、この体験を日本での生活に生かす!なんてことは言う気にもなりません。旅はあくまでも非現実の日々の連続であって、日本で待ち構えている生活とは一線を画すものかもしれないので。

なんか、実感のないままの帰国になりそうです。

二年半も海外に出ていて、こんな中途半端な気持ちでいいのかなとも思いますが、これが今の僕の正直な気持ちだからしかたがないですね。

とりあえず、帰国します。







「半死的世界旅行」終了